【R-18】トラウマ持ちのSubは縛られたい 〜Dom/Subユニバース

np03999

文字の大きさ
124 / 151
蜜月かもしれません

構ってちゃんの人たち 7




 棗は、畑仕事から戻ってきた父の理一に、こってり絞られていた。
 「この馬鹿者」
 「はい、すみません」
 「パートナーより兄弟喧嘩を優先するとは…、パートナー失格だ」
 「はい…」
 「お父さん、もう理人さんもわかってますからそれくらいで…」
 「む…」
 母の美月みづきが理一を宥める。そして、理生と理久を見る。

 「理生さんも、理久さんも、理人さんが嫌がっていることをするのはやめておきなさい」
 まるで子どもに言い聞かせるようである。

 「ふぁーい」

 「でも、理人には何度もパートナーに挨拶をしたいって言うのを断られているんです」
 「そーそー、ずるくね?」

 「そう言われても、僕は朋志さんをあなたたちに会わせる気はありません」
 「まあ」
 「そうなのか、理人」
 両親ががっかりしたようすで棗に話しかける。
 「ええ、…まあ…」
 「ほら、酷いでしょう?」
 理久が、両親を味方につけようと援護する。

 「かわいいコだったよ、トモくん」
 「理生、その呼び方やめてください」
 「男の嫉妬は醜いぞ、理人」
 「…っ」

 「我儘で、甘ちゃんプレイしかしないうえ、心が狭い理人のパートナーなんて、並大抵のSubじゃ務まらないだろ、そりゃあ気になるよ」

 酷い言われようであるが、自己評価とも大きくズレはない。悔しい限りである。

 
 「プレイは同意がないと出来ないけど、ちょっとかわいがるのは自由じゃん、笑った顔も可愛かったよ」
 「勝手に朋志さんと仲良くならないでください」
 「理人、うるさい。理生がそこまで言うくらいかわいい人なら、俺も気になります」
 「なに、トモくんって言うのか、その子は」
 「まだ客間で休んでいるのかしら。元気になったら私もトモくんに会いたいわあ」
 「SubはDomの共有財産です。独り占めはやめてください」
 「僕のパートナーです!」
 「じゃあトモくんに聞けば良いじゃーん」
 「そうだな」
 「トモくんに聞きましょう」

 もはや棗には、”トモくん”の横行を止められない。
 わいのわいの言い出した家族を、諦念の心境で眺めた。



 「それが嫌だったんです」
 白状するしかなかった。



 家族みんなDom。
 しかし、両親のパートナーとして恵吾と言うSubがいつも身近にいた。恵吾は、棗たち兄弟にも優しく、なにくれとなく気にかけてくれる。

 そのせいか、棗家はみんなSubが好きなのだ。

 恵吾は、プレイこそパートナーの両親としかしないが、みんな恵吾が好きで、なにかしてあげたい、喜ぶ顔がみたい、構ってほしいと思っている。
 実家にいるころの棗もそうだった。
 「ありがとう、理人さん」と言われると胸が擽ったくて嬉しかった。
 

 棗は、家族が言うように、我儘で心が狭い。自分のSubが他のDomにちやほやされているところなんか見たくない。

 朋志は、棗だけのSubだ。

 Domとして評価が低い棗を選んでくれた朋志に、執着しないわけがない。
 たとえ家族でも、Domである以上はなにが起こるかわからない。まして朋志は、棗の家族なら、愛想良く振る舞うに違いない。見てられない。
 まさしく心の狭い考えだ。
 Domにたいして過剰な防衛本能が働いていることはわかっているが、世間一般にDomの数は多くない。
 Subに関心が強いうえ、局地的にDomが集中している実家は鬼門だったのに。

 


 「お話中すみません」
 障子の向こうから恵吾の声。
 「丸目さんが理人さんと話がしたいと仰っていて、お連れしましたが…よかったですか」
 障子に映るのは、恵吾と思わしき影ともう一つ。
 「朋志さんっ」
 棗が走る勢いで障子を開ける。
 「わ」
 驚く恵吾の後ろには朋志がいた。
 「棗さん…」




感想 3

あなたにおすすめの小説

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科 空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する 高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体 それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった 至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する 意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク” 消える教師 山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

おすすめのマッサージ屋を紹介したら後輩の様子がおかしい件

ひきこ
BL
名ばかり管理職で疲労困憊の山口は、偶然見つけたマッサージ店で、長年諦めていたどうやっても改善しない体調不良が改善した。 せっかくなので後輩を連れて行ったらどうやら様子がおかしくて、もう行くなって言ってくる。 クールだったはずがいつのまにか世話焼いてしまう年下敬語後輩Dom × (自分が世話を焼いてるつもりの)脳筋系天然先輩Sub がわちゃわちゃする話。 『加減を知らない初心者Domがグイグイ懐いてくる』と同じ世界で地続きのお話です。 (全く別の話なのでどちらも単体で読んでいただけます) https://www.alphapolis.co.jp/novel/21582922/922916390 サブタイトルに◆がついているものは後輩視点です。 同人誌版と同じ表紙に差し替えました。 表紙イラスト:浴槽つぼカルビ様(X@shabuuma11 )ありがとうございます!

響花学園

うなさん
BL
私の性癖しか満たさない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい

日向汐
BL
続編・番外編はTwitter(べったー)に載せていきますので、よかったらぜひ🤲 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 過保護なかわいい系美形の後輩。 たまに見せる甘い言動が受けの心を揺する♡ そんなお話。 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 【攻め】 雨宮千冬(あめみや・ちふゆ) 大学1年。法学部。 淡いピンク髪、甘い顔立ちの砂糖系イケメン。 甘く切ないラブソングが人気の、歌い手「フユ」として匿名活動中。 【受け】 睦月伊織(むつき・いおり) 大学2年。工学部。 黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度で、ちょっとずぼら。恋愛は初心。