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トラウマ持ちのSubが幸せになる方法
トラウマ持ちのSubが幸せになる方法 1
朋志が正社員として採用されたことで、配属先が変わることになった。
今まで働いていたメンバーが、チーフの梶にかけ合ってくれて、更衣室の一角を借りてお別れ会を開いてくれた。
朋志より少し年上の男性が一人と、ご年配だが元気な熟女が三名。
「丸目くん、栄転おめでとう」
「え、栄転…?」
「そうよぅ、社員になっても今と同じことはしないわよ」
「頑張ってね」
「僕は、ばーちゃんと言ったら制裁加えられるおねーさん達の相手を一人でするのはちょっと…、丸目さんがいないと困るっていうか…」
「お姉さんで合ってるわよ、丸目くんを引き止めちゃだめでしょうに」
「通勤時間は大丈夫?」
「はい、今とあまり変わらないので安心しました」
棗のマンションの最寄り駅から、新しい配属先は普通列車で五駅と近いのだ。
「そう言えば」
と、朋志の失敗談で話が湧く。
どんくさい朋志は、結構いろいろやらかしてきているので、蒸し返されるのは恥ずかしい。でも、朋志が本当にしんどい時も、笑顔でフォローをしてくれた人たちなのだ。
その時に助けてもらったことを思い出して、もう一緒に働けないと思うと、胸に隙間ができたように感じて、目頭が熱くなった。
次に更衣室を使う人たちがそろそろ来るということで、会はお開きとなった。
「元気でね」
「体調に気をつけて」
「大丈夫よぅ、丸目さんにはもうパートナーがいるんだから」
「そうねえ、よかったわねぇ」
「また遊びに来てください、ばーちゃんズの世界観…マジで異世界なので…」
「ふふ…はい、ありがとうございました」
帰りにアパートに寄り、大家さんへの挨拶をして棗のマンションへ戻った。まだ棗が戻るまでには時間がある。
合鍵は結構前にスルッと渡されていた。いつでも好きなときに使っても良いと言われていたのだが、使ったことはほとんどない。棗からもあれこれと言われた事はなく、ずっといつも持ち歩くお財布のなかに仕舞っていた。
取り出して、鍵穴に通して回す。カチリと音がして解錠される。
とても当たり前の事なのだが、一人で感動して身悶えてしまう朋志である。
朋志の部屋は棗の寝室の向かいにある。
他の部屋よりこじんまりしているが、日当たりは良い。ベッドもある。
ベッドは、棗が引っ越し祝いに用意してくれたのだ。
「本当は毎日一緒に寝たいですよ」と言いながら。
棗のベッドは大きい。二人で寝ても余裕がある。
しかし。
朋志からすれば、毎日棗と寝るのはハードルが高い。
朋志は棗の匂いが好きだ。棗は新緑系のいい匂いがする。フェチレベルで好きだと思っているが、これが不思議なことに、毎日一緒に寝れるー吸いたい放題だーやったーとはならないのである。やったーよりも、照れる、恥ずかしい、緊張するという気持ちのほうが先にくる。
アパートから泊まりに来ていた時にはできていたことが、一緒に暮らすと出来なくなる。不思議すぎる。
なので、棗に一緒に寝たいと言われた時も、じわじわ頬が赤くなるのを止められずにただ、「あの、…えっと、毎日はちょっと…」と断ってしまった。乙女思考の自覚がない朋志は、せっかく棗が誘ってくれているのに、断ることになってしまい申し訳無くてオロオロしていた。
棗も、残念そうにしながら予想はついていたようで、「一人の時間も大切ですね」と言ってくれたのだ。
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