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日常系 ※R-18
乙女の憂鬱 4
「棗さん…」
「はい」
「…」
それ以上言葉に詰まった朋志を、棗は急かさなかった。
とてつもなく恥ずかしい。
口を重くしているのは、パートナーと一緒にいるときはなんでもないのに、一人の時には匂いで体を熱くして。浅ましい姿を変に思われたり、笑われたりしするのも辛いが、なにより棗への気持ちを疑われたり、裏切りだと思われたりしたらどうしよう…という不安だ。
画面越しに見る棗は、じっとこちらを見ている。
熱っぽい目で、朋志の言葉を待っている。強い目の力に誘導されるように震えるように口を開く。
「棗さん…が朝、キ、キスしてくれて、でも帰ってきたら一人で…、ここなら棗さんの匂い、…残っているから…」
「……、朋志さん…」
「ごめんなさい…」
「どうして謝まるのでしょうか…」
「俺…一人でこんなこと…、いつもはこんなことないのに…変に思わないで…」
とうとう涙を流して泣き出した朋志に棗が焦った声を上げる。
「ちょ、泣かないでください…ああ、どうして僕はこう…、朋志さん、変なんかじゃありませんあああ、…”Look”」
「あ…っ」
棗からのコマンドがスマホを通して朋志の耳に届く。大きく体をビクつかせたので、ベッドのスプリングが軋んで、合わせてスマホが揺れた。
コマンドが入った朋志は、今まで羞恥で泣いていたことも忘れて、棗の声に浮かされたようにスマホを握り、画面越しにこちらを見ている棗と目を合わせる。
「いきなりコマンドを使ってしまってすみません。目を合わせてくれてありがとうございます」
「棗さん…」
「朋志さん、体が熱くなってしまったんですね、静めるために熱くなったところを手で…?」
「…ぅ…はい…」
「大丈夫ですよ、それは当たり前のことですから、僕のこと考えてくれたのでしょう?」
「はい」
「本当は僕がその熱を慰めたかったですけども…」
とんでもないことをさらっと言う棗だ。朋志の熱を慰める…。今も充分恥ずかしいが、 想像だけでおかしくなりそうだ。それなのに棗ときたら、嫌になるくらいの笑顔で目はやけどしそうなくらいで。
「それは…っ」
「恥ずかしい…ですか」
「はい…とても…」
「ふふ、そうですね…朋志さん、手は最初からそこへ…? 僕の匂いで体が熱くなって、それから?」
「あ…ぅ」
ーーー 言わされてしまう…でも、もうそれでいい…
「棗さんの匂い、で、お腹全体が熱くなって…」
「ええ」
「ぅ…う、」
「朋志さん」
「…気がついたら触っていて、棗さんから着信があって…」
「最後までできましたか」
「……いいえ」
一瞬なにか強い感覚はあったが、達することはできなかった。棗からの着信で一瞬萎えたが、棗の声を聞いて、普通のことだと肯定してもらって、画面越しだが目を見ながら話をしているうちに、恥ずかしいことだが、また熱を持ってきているのだ。
「まだ、です」
「それは辛かったですね、すみません。…ねえ朋志さんの体の熱…静めるのを僕に手伝わせてくれませんか」
「…っ」
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