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日常系 ※R-18
乙女の憂鬱 5
棗に手伝ってもらう?
そんなことしてもいいのか、恥ずかしい、こんな離れたところからどうやって、これって一人でするものだと思うけれど、もう今さらなの…?世のパートナーたちはこんなときどうやって立ち回るのが正解なの…。まとまらないことをつらつら考えているうちにポロッと出たのは。
「どうやって…」
「ああ、朋志さん…いいのですか」
「あっ」
この言い方では了承したのも同じ。証拠に棗は感極まっている。なんかこわい。
迷いはあるが、朋志もこの体の熱をどうにかしたい。棗の匂いでここまで昂りはしたが、決め手はなかった。画面越しでも棗が導いてくれたら…。
「俺…どうしたらいいのか…」
「朋志さん、さっきのコマンドを覚えていますか」
「はい」
「そのまま、”Look”です。僕を見ていてください」
「はい…」
「ありがとうございます。…朋志さんは、僕の匂いでと言いましたが、僕の手は想像しましたか。唇は?舌は?」
「…ぅ」
言いながら、棗が見せた舌先から目が離せなくなる。ほんの少し舌先を見せただけだったのに、妙にどきどきした。気恥ずかしいけど、目は逸らせない。
「し、てない…です」
いや、したかもしれない。棗の匂いを感じるのはいつも抱きしめられたり、朋志がコマンドを強請りにいくときだ。他には淹れたての紅茶を渡してくれるとき、料理を一緒に作るとき…、そんなことを想像した。
笑顔のまま、棗が続ける。
「胸に手をあててください…ええ、そうです」
言われるまま胸に手を置く。
「ん…」
「僕は朋志さんの体に触れているところを想像します。…あなたの肌はほんのり小麦色で夏には日焼けの跡があって、元の肌の色との対比に色気を感じます。今あなたが触っているところ…そこにもありますよ」
「え…」
朋志が触っているのは鎖骨から少し下のところだが、そんなところに日焼け跡なんてあっただろうか。
「あとは肩から下に肩甲骨を横断してあります。それは朋志さんがベランダでエアコンフィルターの埃を掃除していたときにできたものですが、あなたをいつも僕がその境目を辿って触っていることを知っていますか」
「え」
知らない。確かに、棗は朋志の体に触れることは多いが、どこをどうとは考えたことはない。朋志は棗の匂いと体温を感じたくてスキンシップをしている。棗もそうだと思っていた。
「指で辿ってください」
棗が指を、鎖骨の下の日焼け跡があるというあたりをカーブしながら横に動かす。ゆっくりと朋志も同じようにしてみる。
「あ」
この動きは知っている。例えば、一緒にテレビを見ているときに肩に手がまわっているときの指先。気まぐれに触れてくるとき。朋志は自分で触っているのに、まるで棗に触られているかのような錯覚を起こした。途端に背中をゾクゾクとした震えが走って、目を開けていられない。
「いつものあなたも気持ちよさそうですが、今日は少し違いますね…まるで僕がいつも想像しているかわいい朋志さんです」
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