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トラウマ持ちのSubが幸せになる方法
トラウマ持ちのSubが幸せになる方法 2
棗が帰ってくる前に、お風呂の掃除をして、料理を作ることが目標だ。
冷蔵庫には、野菜しかない。
慌ててタンパク質を求めて、近くのスーパーへ買い物にいく。
一緒に暮らしはじめて、棗にはいろいろ拘りがあることがわかった。
一つは食生活。
もともとタンパク質に拘りがあることはわかっていた。筋肉の増強ではなく、筋肉の維持をすることが目的のようだ。
プロテインはあまり飲ま無いので、だいたいは食べ物から摂取する。好みもあり、肉類や大豆系の食べ物から摂ることが多いようだ。
でも摂りすぎも良くないので、食べたくても食べられないときもあるようで。
朋志は、棗は単にタンパク質が好物なのかも…と思っている。
朋志も紅茶があれば概ね幸せなので、棗もタンパク質があれば幸せなのだろう。
棗の好きそうなタンパク質をエコバッグに入れてマンションに戻る。
スマホには、もうすぐ帰りますとメッセージが入っていた。
目標がまだ達成されていない。
買ってきたものは冷蔵庫に入れて、バスルームへと急ぐ。
バタバタとバスルームの掃除をしているうちに夢中になっていたようで、いつの間にか棗が戻ってきていた。
スーツ姿の棗が、バスルームにひょいと顔を出して、朋志を呼ぶ。
「こんなところにいましたか」
「お…おかえりなさい」
「ただいま、掃除をしてくれていたのですか」
「はい、でも夕食はまだです…」
棗と一緒に暮らしてわかったことはまだある。
家事関係の動きが順序よくできない。
掃除だけは職業柄手際よくできるのだが、全体の動きを組み立てたり、時短になるように工夫したりなどができないのだ。
いや、朋志は基本的になにをさせてもマイペースがすぎる傾向にあるが、一人だと気にならなかったことが気になるようになった。
「朋志さん、それよりちょっとこっちに来てください」
「は、はい」
棗は気にならないのだろうか。
一緒に暮らしたいと言ったものの、どんくさい朋志にがっかりしていないだろうか。
手を拭いて棗の前に立つ。
「ちょっと後ろを向いてもらえますか」
「はい」
くるりと後ろを向いて、棗に背中を見せる。
棗はしばらく無言で朋志の後ろ姿を眺めていた。
後ろからお腹に手が周り、軽く引き寄せられ、棗の顎が肩に乗る。
「今日もありがとうございます、夕食は僕が作りますよ」
耳に唇が掠めてびっくりしている間に、棗は機嫌良さげにバスルームから出ていった。
棗は、朋志の後ろ姿が好きらしい。エプロンと体の隙間具合がいいみたいだ。何を言っているのかわからないが、そうらしい。
全くもって朋志には理解できない、棗だけが楽しい世界だ。
服の隙間なんて、ただ風を通すだけにしか思えない。でも棗はそれでいいのだ。知れば知るほど棗は不思議な人だと思う。
棗にどんくさい自分がどう見えるのかと心配している間に、当の棗は、さっさと好きなことをして行ってしまった。
朋志は、掃除の続きをはじめる。
多分、朋志が掃除を終えてキッチンに行く頃には、なにか美味しそうなものが出来ているはずだ。でも一番に、風呂掃除をしていた朋志に感謝して、褒めてくれるだろう。
そんなことを考えていると。
好きだなぁ…と思うわけである。
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