【R-18】トラウマ持ちのSubは縛られたい 〜Dom/Subユニバース

np03999

文字の大きさ
140 / 151
トラウマ持ちのSubが幸せになる方法

トラウマ持ちのSubが幸せになる方法 7




 気持ちはふわふわしていた。
 プレイ中なのもあるが、なにより棗の気持ちが聞けて嬉しかった。
 棗にソファまで抱いて連れて行ってもらい、温かい紅茶を飲む。
 隣には棗が同じように紅茶を飲んでいる。なんとも言えない幸せな気分だ。
 ーーー  なにを'"お願い"しようか…。

 朋志は一人でいることに慣れている。
 だいたいのことは一人でしてきたし、できる範囲で生きてきた。
 棗とパートナーになり、なんでもできる棗に憧れた。一緒に暮らすようになってからは、棗にどんくさい自分がどう思われているのかが気になった。
 棗はなんでもできる。今までより間近で見ることで、コンプレックスも刺激された。
 朋志が思うほど棗が朋志のコンプレックスを気にしていないかもしれないことはなんとなく気づくことができた。かといって、朋志より忙しい人にあれこれ頼み事はできない。暇をしていたからといって気軽にいろいろと頼めるものでもないし、ものを頼むという発想もない。大抵のことは誰に頼まなくてもできることだ。なのに、棗は朋志の想像を越えていた。
 ”Please” 
 して欲しいことをお願いする。
 朋志が忙しい棗のためになにかしたいと思ったように、棗は気を遣いがちな朋志が甘えやすいようにしてくれたのかも知れない。
 そう思うと、胸のあたりがじわじわと熱を持ってきたような気がする。
 棗を前にすると、それで合ってますか?とは恥ずかしいし野暮な気がして聞けないのだが。
 朋志の視線に気づいて棗が細めの目をさらに細くする。
 その目の優しさにあと押しされ、朋志が口を開く。
 「棗さん」
 「はい」
 「”お願い”です。寝る時間まで隣にいてくだい」
 「ええ」
 「あ、あと俺…部屋に読みかけの雑誌があって取りに行きたいから、俺の部屋まで連れて行ってください”お願い”します、棗さん…」
 「もちろんです」
 棗が朋志の背中に手を回すのに合わせて、朋志から手を伸ばして棗の肩に回す。
 「こんなこと”お願い”にしていいでしょうか…」
 「朋志さんの”こんなこと”が聞きたかったので、僕は嬉しいですよ」
 「…」
 「朋志さん…?」
 抱き上げられた朋志が棗の肩にぎゅうっと抱きついたので、棗が目を丸くしている。
 「俺も…嬉しくて…」
 「そうですか」
 棗が朋志に頬を擦り寄せる。めったにない棗の甘えた姿に朋志はまた嬉しくなり、胸をときめかせた。

 棗はずっと隣にいてくれた。朋志は棗の隣で生活の知恵や簡単な料理のレシピが紹介されている、おそらく主婦向けの雑誌を読んでいた。棗は最初に「?」という表情をしていたが、「掃除の裏ワザが載っているので気になって」と言うと納得したようだった。本当は、時短で簡単という見出しの料理レシピを目当てに買った雑誌だ。料理教室のことはまだ棗には内緒なのだ。
 とはいえ、雑誌の内容に集中できたのは最初だけだ。最初は棗が隣にいてくれたので安心してプレイを楽しんでいた。時々、縛ってもらったところを見て、棗の存在を感じて、真綿にでも包まれているようなふわふわとした安心感の中にいたのだ。棗が背中や体を労るように撫でてくれたのも嬉しかった。
 でも、今度はどんな”お願い”をすればもっと棗が喜んでくれるのだろうと考えるようになって、そこから朋志は雑誌の内容に集中できず、文字が目を通り抜けていくようになってしまった。


感想 3

あなたにおすすめの小説

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科 空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する 高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体 それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった 至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する 意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク” 消える教師 山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

おすすめのマッサージ屋を紹介したら後輩の様子がおかしい件

ひきこ
BL
名ばかり管理職で疲労困憊の山口は、偶然見つけたマッサージ店で、長年諦めていたどうやっても改善しない体調不良が改善した。 せっかくなので後輩を連れて行ったらどうやら様子がおかしくて、もう行くなって言ってくる。 クールだったはずがいつのまにか世話焼いてしまう年下敬語後輩Dom × (自分が世話を焼いてるつもりの)脳筋系天然先輩Sub がわちゃわちゃする話。 『加減を知らない初心者Domがグイグイ懐いてくる』と同じ世界で地続きのお話です。 (全く別の話なのでどちらも単体で読んでいただけます) https://www.alphapolis.co.jp/novel/21582922/922916390 サブタイトルに◆がついているものは後輩視点です。 同人誌版と同じ表紙に差し替えました。 表紙イラスト:浴槽つぼカルビ様(X@shabuuma11 )ありがとうございます!

響花学園

うなさん
BL
私の性癖しか満たさない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい

日向汐
BL
続編・番外編はTwitter(べったー)に載せていきますので、よかったらぜひ🤲 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 過保護なかわいい系美形の後輩。 たまに見せる甘い言動が受けの心を揺する♡ そんなお話。 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 【攻め】 雨宮千冬(あめみや・ちふゆ) 大学1年。法学部。 淡いピンク髪、甘い顔立ちの砂糖系イケメン。 甘く切ないラブソングが人気の、歌い手「フユ」として匿名活動中。 【受け】 睦月伊織(むつき・いおり) 大学2年。工学部。 黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度で、ちょっとずぼら。恋愛は初心。