【R-18】トラウマ持ちのSubは縛られたい 〜Dom/Subユニバース

np03999

文字の大きさ
141 / 151
トラウマ持ちのSubが幸せになる方法

トラウマ持ちのSubが幸せになる方法 8


 棗は、朋志の”お願い”を受け入れてくれている。
 朋志の”お願い”が聞きたいと、そう言っていた。なにか特別な”お願い”を要求されたわけでもないのに、高いハードルに感じてしまう。
 その理由はわかっていた。
 朋志が好きなコマンドの一つに”Look”がある。それは棗を見ているだけで幸せになれるコマンドだ。
 朋志は棗と目を合わせて棗が朋志を見てくれているというだけで胸がときめく。照れて目を反らしそうになるのだが、同時に棗を独り占めしていると思えるのでいつでも言ってくれたらいいのにと思っている。
 ”Please”は、他のコマンドに比べて解釈に幅のあるコマンドだ。
 その時々で朋志が考えて、発信しないといけない。
 棗は朋志のDomだが、朋志を裁いたりはしない。
 朋志が棗から与えられたコマンドで何を言うのか待っているのだ。朋志が何を言っても棗は笑顔で受け入れてくれるだろう。
 棗が朋志のことをSubとして、パートナーとして認めてくれて、さらに一歩進んでみようとしているのかも知れない。
 「あ…」
 棗は朋志の思考までも手中に収めようとしているのだろうか。その考えは朋志を震えさせた。棗の持つDom性による支配だと思えたからだ。それも甘い…。
 朋志はいつでも棗に…棗だけに尽くしたいと思っている。朋志のたった一人のDomに。棗は朋志を跪かせない。棗はプレイ中すらSubの全てを曝け出させて服従を知らしめたり、Domとして、Subとしての役割を表面化させない。そのようなDomとしての甘さを棗がコンプレックスに思っていることは知っていて、朋志はああと熱いため息を吐きながら縛られた足の先から広がる震えに身を任せる。Subである朋志にとってこれ以上ない喜び。喜悦のため息だった。
 ーーー こんな支配が欲しかった…。
 プレイへの不安感が強い朋志に合わせて、甘く満たして安心させてくれるプレイをしてくれる棗に、これ以上ないほど嵌まりきっているのに…。
 「棗さん…」
 「朋志さん?」
 呼ばれて隣に座っている棗が振り向くと、いつになく頬を上気させている朋志に目を見開いている。そんな棗に構わず抑えがたい衝動に駆られて口を開く 
「…ええ…もちろん」
 すぐに願いは叶えられた。
 「朋志さん、疲れさせてしまいましたか…?でしたらもうこのへんで…」
 「だめです」
 「…朋志さん…?」
 顔を見られたくない朋志は優しく包み込んでくれている体を引き寄せて強く抱き返す。
 「棗さん…”お願い”…もっと…棗さんを知りたい…」
 棗の甘い支配が欲しい。
 ”お願い”をして朋志の全部を伝えないといけない。そう思うのに、言葉がうまく出でこない。胸がときめいて、頭もクラクラするような気がする。
 棗がそっと朋志の手を取り、指を絡める。そんな淡い刺激も今の朋志には神経ごと掴まれたような衝撃を体中で感じた。
 「ええ…僕のこと…」
 頬を撫でられるに促されて視線が絡まる。
 朋志のDomはやっぱりうっとりするほど綺麗で格好いい。
 ふるいつきたくなる衝動を抑えて、妖艶に微笑む棗を見つめる。
 「なにを知りたいですか…」
 
 ーーー もっと縛られたい…棗さんに…
 そして、朋志を甘く支配するDomのことをもっと知りたい…どうすれば喜んでくれるのかを知りたい…


 朋志の頭の中にはそれしかなかった。
 
感想 3

あなたにおすすめの小説

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科 空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する 高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体 それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった 至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する 意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク” 消える教師 山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

おすすめのマッサージ屋を紹介したら後輩の様子がおかしい件

ひきこ
BL
名ばかり管理職で疲労困憊の山口は、偶然見つけたマッサージ店で、長年諦めていたどうやっても改善しない体調不良が改善した。 せっかくなので後輩を連れて行ったらどうやら様子がおかしくて、もう行くなって言ってくる。 クールだったはずがいつのまにか世話焼いてしまう年下敬語後輩Dom × (自分が世話を焼いてるつもりの)脳筋系天然先輩Sub がわちゃわちゃする話。 『加減を知らない初心者Domがグイグイ懐いてくる』と同じ世界で地続きのお話です。 (全く別の話なのでどちらも単体で読んでいただけます) https://www.alphapolis.co.jp/novel/21582922/922916390 サブタイトルに◆がついているものは後輩視点です。 同人誌版と同じ表紙に差し替えました。 表紙イラスト:浴槽つぼカルビ様(X@shabuuma11 )ありがとうございます!

響花学園

うなさん
BL
私の性癖しか満たさない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい

日向汐
BL
続編・番外編はTwitter(べったー)に載せていきますので、よかったらぜひ🤲 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 過保護なかわいい系美形の後輩。 たまに見せる甘い言動が受けの心を揺する♡ そんなお話。 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 【攻め】 雨宮千冬(あめみや・ちふゆ) 大学1年。法学部。 淡いピンク髪、甘い顔立ちの砂糖系イケメン。 甘く切ないラブソングが人気の、歌い手「フユ」として匿名活動中。 【受け】 睦月伊織(むつき・いおり) 大学2年。工学部。 黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度で、ちょっとずぼら。恋愛は初心。