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トラウマ持ちのSubが幸せになる方法
罪作り 5
心を打ち明けてくれた朋志を安心させたかった。
「朋志さん、大丈夫です。少しも変なところはありませんよ」
「棗さん…」
「よく話してくれましたね、ありがとうございます」
「はい」
ホッとしたように体の力を抜いた朋志に、わからないことへの戸惑いがあった事が伝わってくる。朋志の胸に耳をあてるとまだドキドキしていた。
「朋志さん」
「はい」
「僕は、プレイへの不安が強いところもあなたの一部だと思って、そんなSubであるあなたのために何かできることを嬉しく思っていました。でも、それだけではだめだったのですね」
「そんなことはありません」
「そうですか、今のあなたは不安が無くなって高揚しているだけのように見えます」
「…棗さん…、そんな、ひどいです」
「ひどくありません。あなた、わかっていますか」
「え、…あっ」
朋志が着ているTシャツの上からでも小さく尖っているとわかるものを口に招き入れた。舌で潰して飴玉を舐めるように転がせる。びっくりしてこわばってしまった体の、背中に手を回して引き寄せ、反対側の尖りも指で押しつぶす。
足の間から膝に腰へと入れていき、朋志の中を陣取っていく。重ねた体に反応して形作ってきたものを押し付けた。戸惑いの声をあげながら、棗の肩に手を置いた指が彷徨って、その仕草が朋志の迷いそのものを伝えてきたが、敏感な体をもう少し味わっていたかった。朋志の指が棗の首に落ち、棗の髪をかき混ぜる。
「棗さん…」
その声に拒否の色がなかったことに堪らなって、顔を上げると、舌で唇を割りながら口内へと挿し込み、細い声を吸い上げる。口の中で混ざりあった二人のだ液を朋志は従順に飲んだ。
棗は顔を上げ、薄く開いた唇を震わせてキスの余韻に浸っている朋志を堪能する。
朋志には刺激が強すぎただろう。棗も、もっと大切に優しくしたかったが、直接的で生々しくないと朋志には伝わらないような気がした。
「こういうことを僕に合わせてするのでもプレイでするのでもなく、朋志さんからしたいと思えるかですよ」
まだどこか焦点の合わなかった目が閉じ、溢れそうで溢れなかった涙が一粒ほろりと流れ落ちて棗を捉える。
棗は恍惚として自分のSubを見ていた。どんなことでも受け入れたいと思った。
朋志が棗に伸ばした手を引いて胸で握り込み、棗をじいっと見つめてくる。
「したいです…もっとしたい…」
「…」
棗がすぐに返事をしないので、焦れた朋志が声をあげる。
「本当です、違うって言わないでください…」
「…僕は、あなたに言わせたりしていませんか」
「俺がしたいです、棗さん、もうお願い…っ」
充分だった。唇を寄せると、んっと口が閉じる。なにをしてもかわいいとしか思えない。閉じた唇を啄み、緩んだところを吸っていく。幾度かのうちに緩んだ体を抱きしめる。すぐに背中に腕が回され、指がそろっと肩甲骨から首へと上がっていった。繊細な動きに朋志の心を感じて、棗は観念した。
「いじわるを言ってしまってすみません」
「…いいえ、今までの俺が棗さんにそう思わせていますね…すみません…」
「何を謝ることがありますか、それもあなたでしょう」
そうは言っても、朋志自身きっとよくわかっていないだろう。ただもう棗は待つだけをしなくてよくなったのだ。
朋志は、棗にそう言って受け入れてもらいホッとした表情になった。棗を見ているうちにみるみる顔が赤くなっていった。
「朋志さん、また熱が上がってきたのではないですか」
「え…」
「無理をさせましたね、すみません、今日までは僕の部屋で寝てくださいね」
早く横になったほうがいいですよと抱き起こした途端、朋志が棗の腕をすり抜けてぴょっと立ち上がる。
「朋志さん?」
「きょ、今日は自分の部屋で寝ます」
棗が目を丸くして朋志を見る。何が起こったのかわからなかった。
「だって…そんな棗さんの部屋なんてムリです…おやすみなさい!充分温かくして寝ますから心配はいりません」
そして、ぴやっと部屋に入って行った。
ソファに一人取り残された棗は、背もたれに沈み込むようにして倒れた。思い浮かべるのは先程の朋志の挙動だ。
棗相手に今更何を意識することがあるのか。
今までとことこくっついてきて散々、触られるのが好きだの、匂いが好きだの言っていたのに。うっとりした顔で見つめられたことも数えきれない。無自覚で棗を煽ってくる朋志が、憎くて可愛くて悶えていたのだが。
棗の部屋がムリなんて、顔を真っ赤にしてどの口が言うのか。
「まいりました…」
しかし棗にとっては嬉しい変化だった。
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