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日常系 ※R-18
推しのいる生活 1
※棗くんの推し活(一部抜粋)
棗の朝はまあまあ早い。
棗家は代々目覚めはすこぶる良いという家系で、毎朝起きるだけで三文ずつ貯金できるお得な家系だ。三男である棗にもしっかり受け継がれているので、棗に目覚ましは必要ない。朝、起きたい時間にすっきり目覚めることができる棗は、今日も朝早くから起き出して、スマートに洗面を済ませた。
キッチンへと向かう前に、寝室の向かいにある部屋をそうっと開ける。ここは、棗のパートナーである丸目朋志の部屋だ。彼が目覚ましをセットしている時間はもう少し先なので、まだよく寝ていた。だいたい窓側に背を向けて、扉側を向いて寝ていることが多い朋志は、今日も棗にあどけない寝顔を見せてすやすやと寝息を立てていた。かわいい。一日の始まりにふさわしい栄養補給ができたので、扉をそっと閉めた。
天気の良い日は、だいたい近隣をジョギングしている棗だ。一汗かいた体をシャワーで洗い流すとさっぱりして気持ちがいい。
電気ケトルのスイッチを入れて、カップを出したころ、見計らったように、てとてと廊下を歩く音が聞こえてきた。
「棗さん、おはようございます」
朋志がまだ少し眠たそうな声で挨拶をする。枕につけていた方の髪が跳ねて寝癖がついているが、朋志はまだ気づいていないようだ。起きてすぐ棗のところに来たのだろう。
「おはようございます、朋志さん。ちょうどよかった、どちらにしますか」
棗が朋志に向けて、両手に持った紅茶の缶をかざす。
「こっちがいいです」
「わかりました、ありがとうございません。朋志さん」
「はい」
「髪の毛」
「!」
もう、早く教えてください!とフェードアウトしていく声は、女神が奏でるリラの音もかくや、棗は紅茶の缶を開けた。
「今夜は少し遅くなります」
「わかりました。じゃあ夕飯は作っておきますね」
「ありがとうございます」
「食べたいものはありますか」
「そうですね、最近暑くなってきたので、豚しゃぶがいいですね」
「いいですね、わかりました」
朝食は、ニュースを観ながら一日の予定を言い合うのが日課だ。
「いってらっしゃい」
棗より少し出勤時間が遅い朋志が、玄関先で送り出してくれる。
まだパジャマ代わりのTシャツと短パン姿だ。
「朋志さん」
「はい…あ」
首の後ろに手を回して引き寄せると、素直に目が閉じる。軽く重なる唇は柔らかく、何度も離れてはくっついて、感触を楽しんだ。朋志が棗の胸に手を置いていて、ときどきギュッと棗のシャツを握り込む。まるで猫が甘えているようである。
可愛らしい送り出しに離れがたくなった棗は、お礼に朋志の胸に甘えようとシャツの上から胸を撫であげた。思わぬ刺激に肩を竦めて、頼りなさげに棗を見る朋志に、朝の戯れにしては深い官能を揺さぶられてしまった。
「裾を捲くって”Present”です」
朋志がびっくりしたような顔をして、それから見る間に頬を赤く染めた。おそるおそるTシャツの裾をまくり上げる。朋志の慎ましく佇む胸の飾りは、朝には似つかわしくないほど婬靡に棗を誘った。なにより恥ずかしさを耐える朋志の表情が、理性を簡単に崩していく。
「ありがとうございます。あなたの恥ずかしいところがよく見えます」
痩身の胸に、引き寄せられるようにして唇をつける。
「っん…」
声を抑えられなかった朋志は、恥ずかしそうに口を押さえていた。
敏感な胸に何度も口づけた。一番敏感なところは避けているのに、抱いた体は力が抜けたり、力が入ったりと忙しい。もっと堪能していたいが、これ以上は仕事に行けなくなってしまう。
最後に胸の飾りの際どい場所にキツく吸い付いた。息を詰めてたような声にならない声を聞きながら、痕を残したことを確認して手を引いた。朋志はシャツの裾を持ったままぼうっとしている。恥ずかしがり屋なのに、たまに我を忘れて棗の前に全部晒しているところがたまらない。もはや沼だ。名残惜しいが声をかける。
「これはコマンドではありませんが…、帰ってきたら、ここがどうなっているのか見せてくださいね」
「え…」
「痕はきっと残っているでしょうから」
「あ…っ!」
「では行ってきます」
推しが可愛すぎて、行ってきますの挨拶をつい念入りにしてしまった。
棗にとってパートナーとは、一日の活力である。
棗の朝はまあまあ早い。
棗家は代々目覚めはすこぶる良いという家系で、毎朝起きるだけで三文ずつ貯金できるお得な家系だ。三男である棗にもしっかり受け継がれているので、棗に目覚ましは必要ない。朝、起きたい時間にすっきり目覚めることができる棗は、今日も朝早くから起き出して、スマートに洗面を済ませた。
キッチンへと向かう前に、寝室の向かいにある部屋をそうっと開ける。ここは、棗のパートナーである丸目朋志の部屋だ。彼が目覚ましをセットしている時間はもう少し先なので、まだよく寝ていた。だいたい窓側に背を向けて、扉側を向いて寝ていることが多い朋志は、今日も棗にあどけない寝顔を見せてすやすやと寝息を立てていた。かわいい。一日の始まりにふさわしい栄養補給ができたので、扉をそっと閉めた。
天気の良い日は、だいたい近隣をジョギングしている棗だ。一汗かいた体をシャワーで洗い流すとさっぱりして気持ちがいい。
電気ケトルのスイッチを入れて、カップを出したころ、見計らったように、てとてと廊下を歩く音が聞こえてきた。
「棗さん、おはようございます」
朋志がまだ少し眠たそうな声で挨拶をする。枕につけていた方の髪が跳ねて寝癖がついているが、朋志はまだ気づいていないようだ。起きてすぐ棗のところに来たのだろう。
「おはようございます、朋志さん。ちょうどよかった、どちらにしますか」
棗が朋志に向けて、両手に持った紅茶の缶をかざす。
「こっちがいいです」
「わかりました、ありがとうございません。朋志さん」
「はい」
「髪の毛」
「!」
もう、早く教えてください!とフェードアウトしていく声は、女神が奏でるリラの音もかくや、棗は紅茶の缶を開けた。
「今夜は少し遅くなります」
「わかりました。じゃあ夕飯は作っておきますね」
「ありがとうございます」
「食べたいものはありますか」
「そうですね、最近暑くなってきたので、豚しゃぶがいいですね」
「いいですね、わかりました」
朝食は、ニュースを観ながら一日の予定を言い合うのが日課だ。
「いってらっしゃい」
棗より少し出勤時間が遅い朋志が、玄関先で送り出してくれる。
まだパジャマ代わりのTシャツと短パン姿だ。
「朋志さん」
「はい…あ」
首の後ろに手を回して引き寄せると、素直に目が閉じる。軽く重なる唇は柔らかく、何度も離れてはくっついて、感触を楽しんだ。朋志が棗の胸に手を置いていて、ときどきギュッと棗のシャツを握り込む。まるで猫が甘えているようである。
可愛らしい送り出しに離れがたくなった棗は、お礼に朋志の胸に甘えようとシャツの上から胸を撫であげた。思わぬ刺激に肩を竦めて、頼りなさげに棗を見る朋志に、朝の戯れにしては深い官能を揺さぶられてしまった。
「裾を捲くって”Present”です」
朋志がびっくりしたような顔をして、それから見る間に頬を赤く染めた。おそるおそるTシャツの裾をまくり上げる。朋志の慎ましく佇む胸の飾りは、朝には似つかわしくないほど婬靡に棗を誘った。なにより恥ずかしさを耐える朋志の表情が、理性を簡単に崩していく。
「ありがとうございます。あなたの恥ずかしいところがよく見えます」
痩身の胸に、引き寄せられるようにして唇をつける。
「っん…」
声を抑えられなかった朋志は、恥ずかしそうに口を押さえていた。
敏感な胸に何度も口づけた。一番敏感なところは避けているのに、抱いた体は力が抜けたり、力が入ったりと忙しい。もっと堪能していたいが、これ以上は仕事に行けなくなってしまう。
最後に胸の飾りの際どい場所にキツく吸い付いた。息を詰めてたような声にならない声を聞きながら、痕を残したことを確認して手を引いた。朋志はシャツの裾を持ったままぼうっとしている。恥ずかしがり屋なのに、たまに我を忘れて棗の前に全部晒しているところがたまらない。もはや沼だ。名残惜しいが声をかける。
「これはコマンドではありませんが…、帰ってきたら、ここがどうなっているのか見せてくださいね」
「え…」
「痕はきっと残っているでしょうから」
「あ…っ!」
「では行ってきます」
推しが可愛すぎて、行ってきますの挨拶をつい念入りにしてしまった。
棗にとってパートナーとは、一日の活力である。
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