【R-18】トラウマ持ちのSubは縛られたい 〜Dom/Subユニバース

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それから、これから。心の糸を編んでいく

食いだおれとバイキングと満漢全席と酒池肉林 2


 朋志は、棗に追求されるまでそのままでいいだろうと結論をだして、結果の入った封筒を、仕事で使うカバンの中に入れた。
 


 しかし、相手は棗である。
 その日の晩、棗は何を察したのか、ご飯を食べながら、「そういえば、検診の結果は戻ってきましたか? そろそろでしたね」と、言い出した。
 「は…」
 エスパー?
 そろそろもなにも、今日でしたよ?
 職場に監視カメラでもついてるのかと思って、一瞬動きが止まった朋志だ。
 棗の執着が怖いような、でも把握されてる感が、そこまで嫌ではない。いや、むしろ…。

 「朋志さん?」
 「は、はい、ちょうど戻ってきたところです」
 「本当ですか? どうでしたか」
 「実は…」
 「?」

 食後の紅茶を棗が用意してくれている間に、カバンから結果が入った封筒を取って、リビングに戻ってきた。
 なぜ棗がそこまで朋志の検診結果を気にするのか、今ひとつピンときていない朋志には、棗の待ち構える視線が痛かった。
 「これです」
 「ありがとうございます」
 棗が受け取った封筒をそっと開け、結果の書かれてある紙を開いた。その手が微かに震えている。
 「あ…っ」
 「…?」

 「こ、これが、朋志さんの内側…」

 「は、はい…」
 よくわからない悦に入っている棗の言葉に、どう返事をするのが正解かわからない。朋志は、わからないなりに歩みよりたいとは思っている。
 「あ」
 「でも俺、ちょっと引っかかってしまって」
 棗が気づいたのと、朋志が説明をしたのが同じタイミングだった。

 「朋志さん」
 「はい」
 朋志が結果を見せるのを渋ったのは、重大な病気ではないまでも、引っかかってしまったからだった。

 「あなた…痩せすぎですね…」
 「う…、でも、食べてます…たくさん…」
 「あと、中性脂肪が低くて引っかかってますね」
 「それは…、朝食を抜いて検査したからです…多分…絶対…」
 朋志は淡々とした棗の追求に、身が縮む思いだった。
 
 「あの、棗さんの結果はどうでしたか」
 「僕ですか、ちょっと待ってください」
 待ってましたとばかりにリビングを出た棗がまたすぐ戻ってきた。

 「はい、どうぞ」
 なぜか棗は名刺交換をするかのように、脇を締めながら朋志に渡してきた。
 「あ、ありがとうございます」
 朋志もつられて、両手で受け取った。
 折りたたまれた結果を開いた朋志は、「わ、…ぁ…」と感動の声をあげた。
 すごい。
 オールA判定。
 どの項目も、標本として出しいくらいちょうどいい数値だった。
 朋志は急に恥ずかしくなった。
 何が、どう。
 なんとなく。
 いや、だいたい同じものを食べている棗が、健康優良を具現化している。
 なぜ。
 どうして。

 「棗さん」
 「はい」
 「それ返してください」
 「え?」
 「俺も返しますからっ」
 「ちょっ、朋志さんっ…わっ!」
 
 棗が持っている朋志の検診結果に手を伸ばしたが、その距離分を棗が後ろに引いた。
 「あっ!」
 さらに手を伸ばした朋志はバランスを崩して、棗に向かって倒れ込んだ。朋志を受け止めながら、同じくバランスを崩した棗も、ズルっと音がしそうなくらい見事にソファから滑り落ちた。


 「った…ぁ」
 「…ぅ」
 「朋志さん…」
 「…すみません! 棗さん、大丈夫ですか?!」
 「僕は大丈夫ですよ。朋志さんこそ大丈夫ですか?」
 棗を下にして滑り落ちた朋志は、正直どこも痛くない。
 それよりも、朋志の体重を上乗せして落ちた棗のほうが痛いに違いない。
 「俺はそんな…棗さんのほうが…」
 慌てて棗の上から起き上がる。
 「あっ!」
 その手を引かれて抱き込まれた朋志は、また棗の上に倒れ込んだ。
 「本当に、軽いですね…」
 棗は朋志を抱いたまま起き上がり、朋志をソファに座らせた。棗も隣に座る。
 「…俺も、棗さんと同じものを食べているのに…」


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