【R-18】トラウマ持ちのSubは縛られたい 〜Dom/Subユニバース

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日常系

不思議な招待状 1

※ハロウィン小話。ファンタジーです。
※朋志くんが受け取った招待状は、不思議なお城で開催される舞踏会への招待状でした…。だいたい3話前後くらいの予定です。
※至って真面目に書きましたが、トンデモ系です。
※朋志くんが回想しているのは、『灯り、夜空を彩り、夢を紡ぐ。 1~4』のことです。

ーーーーーー



 
 棗にお願いされたのは、昼ご飯の写真だ。

 夕飯のメニューを被らないようにするため、と言われて、なぜかあれよあれよとやり取りしているうちに、食べている写真まで撮ることになり送信している朋志だ。
 棗は、”Sub”性である朋志の、”Dom”性を持つパートナーだ。ついでに棗は、朋志への関心がかなり強く、ちょっと変質的なところがある。顔がとんでもなく良いので、残念感漂う美形だ。しかし、朋志は、そのような一般的な感覚とは縁遠いのんびりなタイプなので、おかげで二人の間関係はすこぶる良好だった。

 写真を送り終え、フォルダの中の写真をなんの気なしに見ながら、ふと、棗が仮装している写真で目が止まる。隣には朋志もいた。去年のハロウィンは、棗が衣装を用意してくれて、仮装パーティーに参加したのだ。
 その後は…、と考えたところで、頬に熱が灯る。職場で考えることではない。

 もうすぐハロウィン。
 棗との会話で、ハロウィンの話題はまだしていない。
 ーーー 今年のハロウィンはサプライズにしよう。
 朋志に並々ならぬ関心を持っている棗の目をかいくぐって用意するのは至難の技だが、朋志には、内緒で料理教室にも通ったことがあるという実績がある。それとなくハロウィンやイベント事の話題を避けて…。なんとかなるだろう。

 大掛かりな衣装や飾りを用意することは、時間的にもコスト的にも、スペース的にも難しいが、ちょっとしたリースに飾り付けをするくらいなら、棗にもバレずにできると思う。
 そうと決まれば。朋志は、スマホのメモに買い物リストを作って保存し、仕事を再開した。


 朋志より棗のほうが少し帰宅が遅い。
 一人になるタイミングを見計らって、少しずつ準備を進めていた。棗の驚く顔と、喜んだ顔を想像しながら。

 そして、ハロウィン当日。
 棗は、昨夜から「少し遅くなります」と言っていた。
 「わかりました」と言いながら、内心”やったー”と喜んだ朋志だ。これで、棗が帰宅するまでの間に、部屋の飾り付けをして、かぼちゃスープにジャックオーランタンの顔を乗せる。デザートには料理教室で習ったかぼちゃのパイを作って、棗用の珈琲を淹れる。ささやかだが、朋志の精一杯だ。
 仕事を終えて、急いで帰宅し、頭の中で作ったタイムスケジュール通りに動いていく。”手際よく”が苦手な朋志は、あわあわしながら準備をしていた。


 だいたいの準備を終えたところで、時計を見ると、まだ棗が帰って来るには余裕があった。
 キッチンの端に置きっぱなしになっていたカバンを自室に持って行く。その時、見慣れないものを見たような気がした。

 机の上に、封筒が置いてあった。宛名には朋志の名前が英字体で書かれており、手に取ってみると、封蝋が施されていた。
 それを見て、朋志が一番に思ったのは、『棗に先を越された』だった。
 棗が戻ってくるまでにハロウィンの準備をしようとした朋志と同じように、棗もハロウィンをサプライズしようとしていたのだ。ということは、朋志が出社したあと机に置いたのか。封を切ると、中には、二つ折りのカードが入っていた。
 開いてみると、「ようこそ、我が仮装パーティーへ…?……わぁぁっ!!」口に出して読み終わらないうちに朋志はカードから発せられた眩しい光に包まれ、辺りが白く見えなくなるのを感じた。




 それからどれくらい時間が経ったのか定かではない。
 「あ、あれ…?」
 光が治まり、眩しさに瞑っていた目を開いてみると、そこには見慣れない光景が広がっていた。
 「ここは…?」
 全く見覚えのない場所だった。洋館なのか、宮殿なのかと思うほど広い空間。誰もいないが、ダンスホールにも見える。扉はあるが、とても遠い。朋志にとって、映画でしか見たこともないような光景だった。
 自室にいたはずなのに、どうしてこんなところに…?
 一人ポツンと立っていると、寂しさが湧いてくる。
 「棗さん…」
 あたりを見回しても誰もいない。朋志はここにいない棗を呼ぶことしかできなかった。
 



 「おや、こんなところに迷い人ですか」
 朋志のよく知る声が、ホール内に響いた。

 「棗さん!」
 その声は棗だった。一番聞きたかった声。
 不安を払拭するように、声の方へと駆け寄った。
 「えっ」
 黒いマントから灰色のフリルが覗いているが、全身が黒くてよく見えない。アイマスクが顔の上半分を隠している。近くで見ると、レースになっていて、どこか夜空を舞う蝙蝠を思わせるようなデザインだ。
 「な、棗さん…ですか…?」
 マスクをしていても、姿形は棗に見えるが、衣装のせいもあるのか一瞬棗に思えなくて、近づく足が止まった。
 
 問われた男は、ゆっくりと朋志に近づいた。
 「ナツメ? …ええ、そうですよ、僕の招待は気に入ってくれましたか?」
 男の言葉に、机の上にあった招待状を思い出す。
 「招待…、あっ、これですか…?」

 「ええ、ええ。確かに受け取りました」
 棗は胸に招待状を仕舞う。
 「あなたもパーティーに相応しい衣装に着替えましょう」
 「えっ」
 そう言われた時には、普段着ではなく、燕尾服のような服装に変わっていた。
 闇夜を纏った棗とは違い、フリルのついたブラウスは白く、ジャケットも深い緑にグレーの刺繍が入っていた。
 「似合っていますよ」
 棗が満足そうに頷くので、朋志も、戸惑いながら頷いた。

 「これから、仲間たちが集ってきます」
 「…パーティー…ですか」
 朋志の問いかけを合図にでもしたのか、薄暗かったホールに蝋燭の火がそこかしこから灯り、ホール内を照らした。
 「!!」
 暗くてわからなかったけれど、高い天井に、豪華なシャンデリア、床には幾何学模様が描かれているが、黒や灰色を基調としているので、派手すぎず、むしろちょっと怖いくらいだ。ホールの一角には舞台らしきものまである。舞台の付近は客席のない劇場にも見える。ステンドグラスが施された窓からは、満月が浮かんでいた。

 「さ、あなたもこれを」
 そう言って手渡されたのは、アイマスクだ。デザインは棗の蝙蝠にも似ているが、縁取りは金色だ。あまりにも見慣れないもので、手が止まってしまった。
 「これを…?」
 「仮面舞踏会です、これが一番必要なものですよ」






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