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バーのカウンターに座ったまま、倉見は緊張した面持ちで俯いていた。
両隣に座っていたサチ姐とスーちゃんが、その顔を交互に覗き込む。
「かわいい……」
サチ姐は低い声でそう呟くと、「ちょっとォ!」と綾瀬の肩を叩いた。
「悔しいけど、アンタの男の趣味最高よ」
思いっきり肩を叩かれて、綾瀬は「痛ぇよ…」と顔をしかめた。
「それで?お兄さんはカズミちゃんとドコまで進んでるの?」
「え?」
隣に座っていたスーちゃんにそう聞かれて、倉見は戸惑った。膝に置かれていたスーちゃんの手が、スッと自分の股間に触れる。
「あ……!」
倉見は思わず声を出して腰を引いた。倉見の背後に立って、それを見ていた綾瀬が怒ったように言った。
「ちょっと、どこ触ってんだよ!?俺だってまだ触っ――」
ってないのに……と言おうとして倉見と目が合い、慌てて口ごもる。
「なぁに…アンタたち、まだヤッてないの?」
サチ姐はそう言うと、タバコに火をつけて楽しそうに笑った。
「いいだろ、別に」
綾瀬は口を尖らすと、「キスまでOKの許可は貰ってるもん」と呟き、「ね」と倉見を見て笑う。
倉見は照れ笑いを浮かべた。
「アンタがキスだけ?」
サチ姐は疑わしい目を向けると、「そんなんで満足できる男ォ?!」と笑った。
「気を付けてねぇ。カズミちゃんって、可愛い顔してるけど中身ケダモノだから」
スーちゃんがそう言って舐めるように倉見を見る。そして綾瀬の方へ手を伸ばして、人差し指で胸を押した。
「ホンとはヤリたくてウズウズしてるくせに……」
「カッコつけちゃってさ」
「我慢してるのよ。ね?」
2人に煽られ、綾瀬はムキになって言った。
「やめろよ。そういうこと言うの」
「やめろよ!――だって。まァ~男らしい」
サチ姐は紫煙を豪快に吐き出して笑った。
「なんだかいつものカズミちゃんじゃないみたい」
スーちゃんはそう言うと、緊張して黙っている倉見に擦り寄り「男がイヤになったら、いつでもお姉さんの所にいらっしゃい」と、耳元で囁いた。
「アンタだって男じゃないさ」
「元、ですゥ」
と、スーちゃんはサチ姐に向かって舌を出す。
「アタシはもう女ですから」
そう言ってドサクサ紛れに再び倉見の股間に触ると、「受け入れ態勢は整ってるのよ」と誘惑する。
「ちょっと!」
綾瀬はたまらず、倉見とスーちゃんの間に割って入った。
「もういい加減にしてよ、2人して」
そして「連れてくるんじゃなかった」と不貞腐れる。
その様子を、カウンターの向こうで見ていたエージが苦笑しながら言った。
「お姉様方、程々にしてあげてよ」
「エージさぁん」
綾瀬は救いを求めるように言った。
「なんでコイツ等いるの?」
コイツ等だって……とサチ姐とスーちゃんが顔を見合わせる。
「一海を泣かせた男をひと目拝みたかったんだとさ」
そう言うと、エージもカウンター越しに倉見を見て頷く。
「俺も会えて嬉しいよ。なかなかいい男じゃないか」
そしてニッコリ笑いかけると、「年下に飽きたら年上の男なんてどう?」と誘惑する。
「はぁ……」
倉見はどういう顔をしていいのか分からず、引きつった笑みを浮かべた。
「ちょっと、エージさんまで!」
呆れたように綾瀬が言うと、テツも同調するように言った。
「そうだよ、エージ君ひどい」
自分の隣にいたテツを見て、エージは「ゴメンゴメン」と謝る。
「冗談だよ、イジけるな」
肩を抱いて頬にキスするエージに、テツは「もう」と膨れる。
倉見は綾瀬を見て言った。
「あの2人って……?」
「テツさんはエージさんのパートナーだよ」
「あぁ……」
倉見は納得したように頷いてみせたが、見るもの聞くもの全てが未知の世界で困惑しきりだった。
両隣に座っていたサチ姐とスーちゃんが、その顔を交互に覗き込む。
「かわいい……」
サチ姐は低い声でそう呟くと、「ちょっとォ!」と綾瀬の肩を叩いた。
「悔しいけど、アンタの男の趣味最高よ」
思いっきり肩を叩かれて、綾瀬は「痛ぇよ…」と顔をしかめた。
「それで?お兄さんはカズミちゃんとドコまで進んでるの?」
「え?」
隣に座っていたスーちゃんにそう聞かれて、倉見は戸惑った。膝に置かれていたスーちゃんの手が、スッと自分の股間に触れる。
「あ……!」
倉見は思わず声を出して腰を引いた。倉見の背後に立って、それを見ていた綾瀬が怒ったように言った。
「ちょっと、どこ触ってんだよ!?俺だってまだ触っ――」
ってないのに……と言おうとして倉見と目が合い、慌てて口ごもる。
「なぁに…アンタたち、まだヤッてないの?」
サチ姐はそう言うと、タバコに火をつけて楽しそうに笑った。
「いいだろ、別に」
綾瀬は口を尖らすと、「キスまでOKの許可は貰ってるもん」と呟き、「ね」と倉見を見て笑う。
倉見は照れ笑いを浮かべた。
「アンタがキスだけ?」
サチ姐は疑わしい目を向けると、「そんなんで満足できる男ォ?!」と笑った。
「気を付けてねぇ。カズミちゃんって、可愛い顔してるけど中身ケダモノだから」
スーちゃんがそう言って舐めるように倉見を見る。そして綾瀬の方へ手を伸ばして、人差し指で胸を押した。
「ホンとはヤリたくてウズウズしてるくせに……」
「カッコつけちゃってさ」
「我慢してるのよ。ね?」
2人に煽られ、綾瀬はムキになって言った。
「やめろよ。そういうこと言うの」
「やめろよ!――だって。まァ~男らしい」
サチ姐は紫煙を豪快に吐き出して笑った。
「なんだかいつものカズミちゃんじゃないみたい」
スーちゃんはそう言うと、緊張して黙っている倉見に擦り寄り「男がイヤになったら、いつでもお姉さんの所にいらっしゃい」と、耳元で囁いた。
「アンタだって男じゃないさ」
「元、ですゥ」
と、スーちゃんはサチ姐に向かって舌を出す。
「アタシはもう女ですから」
そう言ってドサクサ紛れに再び倉見の股間に触ると、「受け入れ態勢は整ってるのよ」と誘惑する。
「ちょっと!」
綾瀬はたまらず、倉見とスーちゃんの間に割って入った。
「もういい加減にしてよ、2人して」
そして「連れてくるんじゃなかった」と不貞腐れる。
その様子を、カウンターの向こうで見ていたエージが苦笑しながら言った。
「お姉様方、程々にしてあげてよ」
「エージさぁん」
綾瀬は救いを求めるように言った。
「なんでコイツ等いるの?」
コイツ等だって……とサチ姐とスーちゃんが顔を見合わせる。
「一海を泣かせた男をひと目拝みたかったんだとさ」
そう言うと、エージもカウンター越しに倉見を見て頷く。
「俺も会えて嬉しいよ。なかなかいい男じゃないか」
そしてニッコリ笑いかけると、「年下に飽きたら年上の男なんてどう?」と誘惑する。
「はぁ……」
倉見はどういう顔をしていいのか分からず、引きつった笑みを浮かべた。
「ちょっと、エージさんまで!」
呆れたように綾瀬が言うと、テツも同調するように言った。
「そうだよ、エージ君ひどい」
自分の隣にいたテツを見て、エージは「ゴメンゴメン」と謝る。
「冗談だよ、イジけるな」
肩を抱いて頬にキスするエージに、テツは「もう」と膨れる。
倉見は綾瀬を見て言った。
「あの2人って……?」
「テツさんはエージさんのパートナーだよ」
「あぁ……」
倉見は納得したように頷いてみせたが、見るもの聞くもの全てが未知の世界で困惑しきりだった。
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