小学生に戻ってるっ!?……の裏側で ~引きこもり高校生と入れ替わった小学生がいつの間にかハーレムを築いている話~

日々熟々

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7話 二日目の朝

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「ほ、本当にパパっとでいいからね?」

 今、僕はなぜか狭いシャワーブースの中で遥くんに背中……に限らず体のかなりの部分を洗ってもらっている。

 とりあえずもう時間も時間なのでシャワーを浴びて寝ようと思ったら、遥くんに「背中を流そうか?」と言われた。

 慌てて断ったんだけど、遥くんは諦めてくれずに「外にいるから必要になったら呼んでね」とまで言われた。

 「なんでそこまで……」と思いながらシャワーを浴び始めて……すぐに遥くんの言っている意味が分かった。

「ね?体曲げると痛いでしょ?」

 遥くんとしては「言うより実際に体験したほうが早い」と思ってたらしい。

 シャワーを浴びて足元のシャンプーを取ろうとして……かがもうとした時にお腹に激痛が走って思わず叫んでしまった。

 野田くんにボコボコに殴られたせいか、お腹曲げるだけで痛い……。

 ちょっとでも前かがみになると痛いので、頭から腰回り以外のほとんどすべてを遥くんに洗ってもらってしまった……。

「なんか……ごめん……」

「ううん、ボクのせいみたいなものだから……」

 遥くんはそう言ってくれるけど……。

 いきなり同居人に頭が上がらなくなってしまいそうだ。



 色々騒ぎながらシャワーを浴び終わった後、備え付けの机に向かう。

 部屋にはベッドと机、そして収納が左右対称に備え付けられていた。

 そしてその間は共有スペースなんだろうけど、今まで遥くんの一人部屋だったせいか真ん中にローテーブルとクッションが置かれてた。

「なにやってるの?」

 ノートパソコンに向かう僕の後ろに、シャツとボクサーパンツだけの遥くんが立った。

 ちなみに僕はパジャマ代わりのジャージを着ている。

 どうも遥くんは基本的に薄着のようだ。

「えっと、お兄ちゃんに今日の事報告しようと思って。
 僕スマホ持ってないから」

「ああ、それで……。
 LINEとか聞いちゃ駄目な感じかと思った」

 なるほど、友だちになるって言ってから遥くんがなんかチラチラ見てくるなと思ったらそういうことか。

「ごめんね。
 僕もぜひとも遥くんのLINE教えてほしいです」

 パソコンのアプリとしてのLINEは入っているから、ぜひとも交換してほしい。

 遥くんとLINEを交換してからお兄ちゃんと連絡を取る。

 お兄ちゃんからはもうすでに「どうだった?」というメッセージだけ入っていたけど……。

 どうしようかな?

 遥くんはお兄ちゃんと連絡を取るって聞いてすぐに離れてくれたからなにも隠すことはないんだけど……。

『早速友だちができたよ』

 今日のことについてはそれだけ送った。

『そうか良かったな』

 お兄ちゃんからの返事はすぐに返ってきた。

『どんな子だ』

『うーんと、可愛い子』

 イジメられっ子と言うわけにはいかないので、それだけ送った。

『何だ女の子か』

『あ、ううん、男の子』

『可愛い男の子なのか?』

『うん』

 イジメられっ子以外だと、まだそれくらいしか遥くんのこと知らない。

『あ、内部生の子』

『そうか、色々教えてもらえると良いな』

 たしかに。

 少なくとも僕よりはいろんなことに詳しいだろう。

『ずっと寮暮らしで寮も同じ部屋なんだよ』

 そのまま寝るまでお兄ちゃんと話をしていた。

『それじゃ、そろそろ寝るね』

『ああ』

『嫌になったらすぐにこっち来て良いんだからな』

 一瞬、どう返事を返そうか迷って……。

『うん、その時は連絡するね』

 無難な返事を返した。



「あ、遥くんうるさくしてごめんね」

 喋ってたわけじゃないけど、ずっとカチャカチャキーボードいじってた。

「ううん、お兄さんと仲良さそうで羨ましい」

 そういう遥くんの顔はちょっと寂しそうな笑顔だけど……兄弟と仲悪いのかな?

「それじゃ、そろそろ電気消すね」

 聞いて良いのか悩んでいるうちに時間切れになってしまった。

「うん、おやすみなさい」

「おやすみ」

 …………人におやすみを言うのいつぐらいぶりだろう。

 そう思いながら布団に潜り込んで、目を閉じた。



 体をゆさゆさ揺らされている……。

「優太くん……優太くん……朝だよ、起きて……」

 名前を呼ばれてまだ重たいまぶたを開けると…………なんか可愛い女の人がいた。

 アイドルかと思うくらい可愛い女の人の顔が僕の顔を覗き込むみたいにしてすぐそばにある。

 一瞬心臓が止まるかと思うくらい驚いたけど……。

「何だ遥くんか……」

「?」

 遥くんはよく分かってない顔しているけど、寝起きに遥くんの顔は心臓に悪い。

「おはよ、朝だよ」

「あ、うん……おはよ……。
 あれ?目覚まし時計は?」

 時計を見るとたしかに目覚ましをセットしてた時間だけど……寝ぼけたまま止めちゃった?

「ごめん、鳴ってたから止めちゃった」

 あ、そうか、相部屋で目覚まし鳴らしてたらうるさいよね。

「ううん、こっちこそうるさくして、ごめん」

 でも、明日からどうしようかなぁ?

「ううん、それは全然いいんだけど……なんなら明日からもボクが起こそうか?」

「え?いいの?」

 寝起きの悪い僕は、よく目覚ましを止めては遅刻しかけてたから起こしてくれるならありがたいけど……。

「うん、ボクは朝早起きだから任せてよ」

「それじゃ、悪いけどお願いします」

 遥くんも張り切ってるみたいだし、お言葉に甘えよう。

「それでなんだけど……優太くんは朝ごはん食べる派?」

 朝ごはんか……家じゃ食べてなかったけど……。

「えっと、いつもは食べてなかったけど、食堂で食べなきゃダメなんだっけ?」

 寮には寮生用の食堂があって、そこで朝と夜のご飯は出るって聞いていたけど……。

「あ、ううん、そんなことはないよ、食事はそれぞれの自由だから」

 僕の返事を聞いた遥くんがなにか袋を後ろに隠した。

「でも……この寮、野田くんも住んでるから……」

 …………マジかー。

 それは本当に最悪だ。

 食堂とかで顔をあわせたりしたら……。

「だから朝ごはん食べない派で良かったよ」

「ホントだね……ありがとう教えてくれて。
 危なかった……」

 いつもは食べないんだけど、食堂というものに興味があって初日くらいは覗いてみようと思ってたから遥くんが教えてくれなかったら危なかった。

「晩ごはんの時間はいつもあのグループで食べてるみたいだから心配いらないし、階も違うからそれほど心配はいらないけど、共有トイレとかお風呂とかは気をつけたほうが良いかも」

 なるほど、たしかにそのとおりだ。

 トイレとシャワーが部屋についててよかった……。

「ところで……それなに?」

 さっき隠そうとしたコンビニの袋が背中からちょっとはみ出してるけど。

 突っ込まれた遥くんは少し気まずそうな顔をしている。

「…………あの……もし朝ごはん食べるなら必要になるかなって、下のコンビニで……」

 遥くんがおずおずと出した袋の中には、寮の一階にあるコンビニのサンドイッチとおにぎりが入っていた。

「パン派かごはん派か分からなかったから……。
 あの、これは僕がお昼に食べるから気にしないでね」

 そうは言うけど、細っこい遥くんが一人で食べるには量が多いし……。

「もしよければ、一緒に食べる?」

 パン派かごはん派か分からなかったとしても、両方買ってくるっていうことはどっちにしても残った方は遥くんが食べるつもりだったんだろうし、それならいっそのこと。

「え……あ……うん……」

 妙に恥ずかしそうにしている遥くんと半分こして食べた。

 誰かと一緒に朝ごはん食べるなんてお兄ちゃんが中学に上がる前以来だ。

 ただのコンビニのご飯なのにやけに美味しい気がした。



 イジメっ子グループに絡まれないように授業の始まるギリギリの時間に登校する。

 本当は遥くんは毎日こうしていたらしいんだけど、昨日は寮に同居人――僕だ――が入る話をするために先生に呼ばれて早く登校していたらしい。

 その帰りに野田くんに見つかってしまったんだそうだ。

 なんか……僕のせいみたいで申し訳なかった。



 廊下をゆっくり歩いて時間調整して、チャイムギリギリで教室に入る。

 遥くんは僕よりも少しだけ早く教室に入っている。

 僕も遥くんもイジメられ慣れた人間として『下手に仲良く思われない方がいい』という考えで一致していた。

 ということで、学校では話はもちろん出来るだけ目も合わせずに関わり合いを持たないことしようって二人で話して決めた。

 ちょっと寂しいけど、ここでイジメられっ子二人が仲の良いところを見せたって、なにも良いことがないどころか悪いことになるのは目に見えている。

 僕が席についても隣の遥くんは昨日と同じように俯いているし、僕は僕で席につくなり窓から空を見上げる。

 ……今日は天気がいいから空がキレイだなぁ……。



 相変わらず授業の合間の休み時間はイジメっ子グループはクラスメートたちと楽しそうに話して過ごしていた。

 ここら辺は事前に遥くんから聞いていたとおりで、今までもこの時間はほとんど平和な時間だったらしい。

 たまに気まぐれに絡んでくることもあるらしいけど、休み時間は短いしそんなに酷いことにはならないって言ってた。

 だから問題は……。

 キーンコーンカーンコーン。

 チャイムが鳴って、結局何一つ理解できないことを話していた先生が教室から出ていく。

 クラス中が慌ただしくなってきて……。

 イジメっ子グループが僕と遥くんの席を囲んだ。

 問題は昼休みだ。
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