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プロローグ
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あれから公園で時間を潰し時刻は18時、気が付けば夕焼け小焼けが鳴っていた。
俺達はそれを合図に家に帰る事にした。
米田と別れ、自分の家の玄関を前にした瞬間、新太の心は一気に重くなりドアを開けかけた手が動きを止める。
……また誰か来たのかな。
葬式が終わりはや数日、家には顔も名前も知らない人達が帰ってくるなり「お父さんは残念だったね」だの「お父さんは立派な人だった」だと当たり障りの無い言葉を掛けてくる。
その度に「ありがとうございます」と適当にお礼を言う。本心じゃないのに。
俺はそれが堪らなく嫌だった。
アイツは、あの男は立派な人間なんかじゃない。
本当はアイツなんて死んで当然の男だったんですとでも言ってやりたかった。
俺達を放っておいて仕事と言っては年単位で居なくなってたアイツが死んで今さら父親だのとは俺は認めたくない。
「……ただいま。」
玄関を開けて最初に目に入ったのは見慣れた廊下だった。
リビングに繋がる扉に浴室、左には2階へ上がる階段がそこにある。
リビングに繋がる扉からは明かりが漏れていて母さんがそこで夜ご飯の準備をしているのだろう。
俺は足早に靴を脱いで廊下を抜けてリビングに入った。
「おかえり新太。夕飯出来てるわよ。食べる?」
リビングに入るや母親の永井瀬名がキッチンから声を掛ける
「食べる。」
「じゃあ座って待ってて」
そう母親に言われ、大人しく席に着く。
机にあったリモコンを操作してアニメ番組にチャンネルを合わせる。
「学校はどうだった?」
「特に、何も。米田が怒られてただけ」
「どうせ授業中にお喋りでもしたんじゃないの?」
「そんな感じ」
キッチンから母さんの笑い声が聞こえる。
「そんな事より今日は誰も来なかったの?」
「あ~、今日は誰も来なかったわよ。」
なんだか心が軽くなった感じがする。
ようやく誰も彼もがクソ親父の事を忘れ始めたのだろうと思うとせいせいする。
「……なら良かった。」
「そりゃ3、4日経ってるんだから来ないわよ。私の両親は遠い所に居るしお父さんの親族も少ないからそんなもんでしょ。」
そう言われればクソ親父の親戚は父に母に弟だと言う人と葬式での喪主席で顔を合わせただけだ。
それに思い返してみれば母さんの両親とは今の今まで顔を合わせた事も無かったような気がする。
しばらくすると母さんがキッチンから料理を持って姿を出して配膳を始める。
今日は唐揚げに米と味噌汁だった。
「けどアイツの葬式の時人が凄い来てたじゃん。あの人達は誰なのさ」
テーブルの真ん中に置かれた唐揚げを1つ摘み米と共にかき込む。
アイツ、クソ父親の葬式にはそれはそれは大勢の人が来ていた。
冗談抜きで300人以上は葬式に来てたような気がする
焼香の列は途切れる事が無かったしずっと喪主席の方で立ってたから足はパンパンで辛かったのだ。
「葬式に来てた人達は大体お父さん、吉継さんの知り合いの人よ。あの人って家に帰ってくる度に友達が10人も20人も増えてる様な人だったから」
「ゴキブリじゃんクソ親父。」
「ちょっとご飯食べてる時にゴキブリなんて言わないでよ」
むくれ顔の母さんに謝り視線をテレビに向ける。
今人気のファンタジー物のアニメで主人公が魔法を放ちながら目の前の魔物達と対峙している。
「…………なぁ母さん。このアニメみたいに魔法が使えたらどうする?」
「ん~一瞬で掃除が終わる魔法かしら。この家って地味に広いのよねぇ……」
「主婦じゃん」
いかにも母さんらしい答えで思わず笑いが零れた。
「…………ねぇ新太。魔法、教えてあげようか?」
俺達はそれを合図に家に帰る事にした。
米田と別れ、自分の家の玄関を前にした瞬間、新太の心は一気に重くなりドアを開けかけた手が動きを止める。
……また誰か来たのかな。
葬式が終わりはや数日、家には顔も名前も知らない人達が帰ってくるなり「お父さんは残念だったね」だの「お父さんは立派な人だった」だと当たり障りの無い言葉を掛けてくる。
その度に「ありがとうございます」と適当にお礼を言う。本心じゃないのに。
俺はそれが堪らなく嫌だった。
アイツは、あの男は立派な人間なんかじゃない。
本当はアイツなんて死んで当然の男だったんですとでも言ってやりたかった。
俺達を放っておいて仕事と言っては年単位で居なくなってたアイツが死んで今さら父親だのとは俺は認めたくない。
「……ただいま。」
玄関を開けて最初に目に入ったのは見慣れた廊下だった。
リビングに繋がる扉に浴室、左には2階へ上がる階段がそこにある。
リビングに繋がる扉からは明かりが漏れていて母さんがそこで夜ご飯の準備をしているのだろう。
俺は足早に靴を脱いで廊下を抜けてリビングに入った。
「おかえり新太。夕飯出来てるわよ。食べる?」
リビングに入るや母親の永井瀬名がキッチンから声を掛ける
「食べる。」
「じゃあ座って待ってて」
そう母親に言われ、大人しく席に着く。
机にあったリモコンを操作してアニメ番組にチャンネルを合わせる。
「学校はどうだった?」
「特に、何も。米田が怒られてただけ」
「どうせ授業中にお喋りでもしたんじゃないの?」
「そんな感じ」
キッチンから母さんの笑い声が聞こえる。
「そんな事より今日は誰も来なかったの?」
「あ~、今日は誰も来なかったわよ。」
なんだか心が軽くなった感じがする。
ようやく誰も彼もがクソ親父の事を忘れ始めたのだろうと思うとせいせいする。
「……なら良かった。」
「そりゃ3、4日経ってるんだから来ないわよ。私の両親は遠い所に居るしお父さんの親族も少ないからそんなもんでしょ。」
そう言われればクソ親父の親戚は父に母に弟だと言う人と葬式での喪主席で顔を合わせただけだ。
それに思い返してみれば母さんの両親とは今の今まで顔を合わせた事も無かったような気がする。
しばらくすると母さんがキッチンから料理を持って姿を出して配膳を始める。
今日は唐揚げに米と味噌汁だった。
「けどアイツの葬式の時人が凄い来てたじゃん。あの人達は誰なのさ」
テーブルの真ん中に置かれた唐揚げを1つ摘み米と共にかき込む。
アイツ、クソ父親の葬式にはそれはそれは大勢の人が来ていた。
冗談抜きで300人以上は葬式に来てたような気がする
焼香の列は途切れる事が無かったしずっと喪主席の方で立ってたから足はパンパンで辛かったのだ。
「葬式に来てた人達は大体お父さん、吉継さんの知り合いの人よ。あの人って家に帰ってくる度に友達が10人も20人も増えてる様な人だったから」
「ゴキブリじゃんクソ親父。」
「ちょっとご飯食べてる時にゴキブリなんて言わないでよ」
むくれ顔の母さんに謝り視線をテレビに向ける。
今人気のファンタジー物のアニメで主人公が魔法を放ちながら目の前の魔物達と対峙している。
「…………なぁ母さん。このアニメみたいに魔法が使えたらどうする?」
「ん~一瞬で掃除が終わる魔法かしら。この家って地味に広いのよねぇ……」
「主婦じゃん」
いかにも母さんらしい答えで思わず笑いが零れた。
「…………ねぇ新太。魔法、教えてあげようか?」
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