個人授業は放課後に

須藤慎弥

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16一4※

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   由宇の体を横向きにした橘は、片足を抱え上げて指を二本に増やし、ぐちゅぐちゅと後孔を掻き回して楽しんでいる。

   包帯が巻かれた手で由宇の足に触れているので、彼は本当に痛みを感じにくい質なのかもしれない。


「……ぅぅ……っ、んっ、っ……ん……っ」


   バスルームでの時と同様に異物感と快感がせめぎ合っていて、由宇は恥ずかしくてたまらず顔を覆ったまま、時折背中を走る甘い痺れに啼いていた。

   橘は、由宇のこの反応を見るためにわざと音を立てているのだと思う。

   たっぷり濡らされたそこは、痛みを感じる事なく橘の指先を受け入れていて、掻き回す音と共に襞への擦りが激しくなっていた。

   「好き」と言ってもらいたいがために、中を解され始めてから由宇は「やめて」とは言っていない。

   どこか分からないけれど、中のとあるポイントを擦られたり押されたりすると背中がビクッと揺れるので、その度に橘が「フッ」と微かに笑う気配がする。

   ……恥ずかしい。

   セックスとはこんなに恥ずかしいものなのか。

   まさかそんなところを使うとは思ってもみなかったので、現実味がなくてまだどこか疑いを持っていた。


(これじゃ……っ、疑いようがないよ、ね……。  こんな入念にぐちゅってしてくるんだもん……)


「おいコラ、声やめんな」
「え、?  ……っ……んぁっ、っ……ん…!」
「痛いだけじゃねーだろ。  さっきから体ピクピク動いてんぞ」
「……ぅっ、……っ言わない、で……っ」


   痛みや不快感だけではなくなってきたと知られてしまっている。

   そのせいで、橘は楽しげにニヤついていたらしい。

   口を開けば橘が喜ぶ「やめて」を言いそうになるので、必死で押し殺していたのに…気持ち良さを感じ始めている事がバレて顔が熱くなった。

   視線を感じたけれど顔を見られたくなくて、枕に頬擦りして橘からの凝視を避ける。


「そろそろコレは入るんじゃね?」


   橘の声に枕から顔を上げると、ズルッと指を抜かれてピンク色の卵型の物体を見せられた。

   大きさもちょうど卵くらいで、さっきまで由宇の中を散々弄んで艶めいた指先がいやらしくそれを摘んでいる。


「……っ?  なに、それ……?」
「バイブ」
「…………ッッ!?」
「拡張と開発、開始」


(何っ?  先生いま何て言った!?  バイブ……!?)


   こんな時に先生口調にならないでほしかった。

   一瞬、はい!と元気よく返事をしてしまいそうになったではないか。


「う、嘘でしょ、っ?  ちょ、ねぇ、待って!  俺初心者!  初心者ーーっ」
「エロい声出せよ。  誰が喚いていいっつった?」
「だ、だだって、ぅわ、わわわわ、んんっ──!」


   抵抗むなしく、卵型の物体が入り口に押し当てられて息を呑むと、それは難無く中へと侵入してきた。

   ずちゅ、と液体の擦れる音がしたかと思えば、襞に物体の感触を直に感じて瞳を瞑る。

   ただし、目を閉じるとより感覚が冴え渡ってしまい、モロにその物が中に在る事を感じる羽目になった。

   橘は、由宇の秘部を見詰めて唇の端を上げる。


「入んじゃん。  しかも余裕」
「ぬいて、……ぬいてよぉっ……ぅぅっ…」
「まだスイッチは入れねーから安心しろ。  初心者だしな」
「そ、そうだよっ、初心者……!  ……入ってる……なんか入ってるぅぅ……っ」
「俺こんなの使うの初めて。  一緒に初体験だな、由宇」
「名前……っ、卑怯だよ先生!  ……こんな、時に……っ」


   卵型のヤツに出て行ってほしくて無意識に締め上げてしまうと、さらに立体感が増す。

   その上楽しげな橘から名前を呼ばれ、不覚にもキュンっとした際にまた締め上げてしまい、それが見事に良い所にあたって背中をのけ反らせた。

   これが橘が言っていた「拡張」なのだとしても、そんなに簡単には受け入れられない。

   橘の腕を掴もうと由宇は手を伸ばしかけたが、無表情に戻った彼の手のひらに何かが握られているのを見て動きを止めた。


「これで終わりじゃねーからな。  しっかり意識保ってイくの我慢しとけよ」
「なに、!?  終わりじゃないってどういう……ぅぁぁぁっ……!」


   意地悪な魔王様がお出ましだ、と思ったその時、おとなしかった物体が中でブルブルと振動を始めた。

   突然の襞への強烈な刺激に、由宇は我慢出来ず高く啼いてしまう。

   驚いたのはほんの少しだけで、数秒も経つとよく分からない何かが下腹部を襲い、思わず背中を丸めて呻いた。


「あ、悪い。  手が滑った」
「ぁぁぁ……っ!  も、もうっ、と、止めて!  止めてぇぇっ……!」
「止めるわけねーだろ。  手が滑ってスイッチベッドの下に落としたし」


   橘がそう言うと、カシャン、とベッドの下に何かが落下する音がしたが、それがこの振動を引き起こしたスイッチではないのか。

   それは反則だ。

   止める気がないと言ったも同然で、中を犯し続ける小さな物体からの振動に耐え兼ねて、由宇の瞳からは涙が溢れた。


「意図的!!  絶対それ意図的ーーっ!  拾って!  これ止めてよぉぉ……っ!」
「うるせー口だな。  ほら、こっち向け」
「んんん!  んっ……!  ん、んっ……ふっ……ぅぅ……っ」


(うるさいって……!  うるさいって……!  こんなの文句言うに決まってるじゃんっ)


   由宇の顎を取った橘が深く口付けてきたけれど、誤魔化されたくない。

   やんわりと舌を絡ませる、彼なりの目一杯優しいキスで由宇の頭をぼんやりさせようという魔王様の魂胆なんか、お見通しなのだから──。



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