個人授業は放課後に

須藤慎弥

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   卵型のそれにはコードが付いていて、舌を吸われている最中も、振動しているそれが橘によってゆるゆると動かされているのでまるでキスに集中出来ない。

   鼻で呼吸をしようと頑張ってみたいのに、意図しない吐息が漏れてしまう。

   だがその我慢できない吐息を漏らすと、余計に橘からの舌攻撃が強まるので、逞しい肩を掴んだ由宇は悶える事しか術が無かった。


「見ろよ、触ってねーのにトロットロ」
「……んんっ……ん、んっ……っ……んっ……」
「これイってんじゃねーの?」


   これ以上ないほど楽しそうな橘に、ツン、と性器を触られる。

   そのイタズラな手のひらは、中のバイブをほったらかして由宇の性器をゆるやかに扱き始めた。


(ダ、ダメ、先生……っ……触ったら……っ出ちゃうってば……っ!)


   二時間我慢しなければ「好き」とは言ってくれない。

   けれどこの動きは明らかに射精を促している。

   おまけに、滑らかな舌が縦横無尽に由宇の口腔内を犯していて、必死でその動きに付いていこうとするものの手腕に差があり過ぎた。
 
   舌を受け止めながら器用に性器を扱かれ、振動中のあれが内壁をブルブルと蠢いて刺激してくるのに、……我慢なんか出来るはずがない。

   橘の大きな手のひらは、絶妙な力加減で由宇の性器を扱き続けた。

   自分でも分かるほど先走りが次々と溢れ出ていて、橘の動きを図らずもスムーズにしている事が恥ずかしくて泣けてくる。

   震え続ける異物のせいで襞が熱くなり、ぬめぬめした橘の手のひらが、敏感で弱い肌を休みなく擦り……突如、下腹部に力が入った。

   ……耐えられなかった。

   
「んんん──っっ!」


   頭の中にスパークが散る。

   橘の肩を、指先が赤らむほどギュッと持ったがすぐに力尽きてベッドに滑り落ちた。

   夢と現実の世界の狭間にいるかのようなふわふわとした浮遊感に苛まれ、数秒もの間、脳内が空っぽになるという経験を初めて体感した。


「……あーぁ、イっちまった」
「……ん、……っ……ふぅ、……」


   自身の精液でお腹が汚れてしまった生温かさを感じながら、やっと唇を離してくれた橘に涙を舐め取られた。

   目が開けられない。

   呼吸も整わない。

   射精の余韻で中がうねっても振動が止まってくれる事はなく、由宇のやわらかくなった性器からはしばらく半透明の液体が僅かずつ溢れ落ちていた。

   肩で息をしている頭上で悪魔の微笑が待ち構えているとも知らず、由宇は瞳を瞑ったままだ。


「早えな。  もっと我慢しろよ」
「……で、できなっ……できない……!  できな、い……もん……!」
「おい目開けろ。  寝るなよ」
「止め、て……おねが、っ……これ、とめて……っ」
「止めんのはいいけどバイブは入れっぱだぞ」
「えぇっ……!  抜いてほし、い……んだけど……」


   終始鈍い音を立て、由宇の涙など知らん顔で蠢いているのだから、ひとまずその存在ごと取り除いてほしい。

   ベッドの下からスイッチを拾った橘が、残念そうに動きは止めてくれたけれど本当に取り出してはくれなかった。

   性器を扱いていた手のひらはいつの間にかバイブのコードに戻っていて、それが動かされる度に襞を擦られては片目を細めて熱っぽさに耐えた。

   これだけ恥ずかしい場所をひっきりなしにイジられていては、疲労感を感じていても寝るに寝れない。

   中の固形物をなるべく意識しないように呼吸を整えていると、橘がニヤッ、と妖しく笑って由宇の背中に触れた。


(この笑い方……嫌な予感しかしないんだけど……っっ)


「これ抜いたら開発にも拡張にもなんねーじゃん。  ほら、体起こせ。  俺の舐めろ」
「────っ!?」
「お前の口で俺のも抜いて」


   無理やり四つん這いにさせられ、逃げられないよう後頭部を持たれた由宇は、橘の立派に起立した巨砲を再び拝まされる。

   さっきそれっぽい事をしたばかりなのに、またもや由宇の口をご所望らしいが「出来ない!」と全力で頭を振った。

   そんな大それたエッチな事をサラッと言われても、由宇の想像の範疇を有に超えるため必死だ。


「む、無理!  無理無理無理無理!!!」
「無理じゃなくて咥えんだよ。  今日はさすがに喉まで突っ込めとは言わねーから」
「だって、し、し、し、した事ないよ!  俺、初心者だって何回も言ってるだろ!」
「こんな感じかなーみたいな、想像でいい」
「そんなの絶対気持ち良くないと思うよ!  やめとこっ、ねっ?  先生っ?」


   その想像さえ由宇には出来ないと言っているのだが、橘は三白眼を崩さない。

   睨み合うように見詰め合い、由宇はダメ元で「ねっ?ねっ?」と首を傾げてお伺いを立ててみた。

   すると橘の目元がスッと細められ、唇の端が上がる。


「ん、今のはちょっと可愛かった。  て事で、はい、どうぞ」
「むむーーっっ!」
「歯立てんなよ」
「…………っっ……」


   橘にぶりっ子をしてみても無駄だった。

   むしろ由宇の後頭部を押さえる力が強まり、無理やり巨砲を口に含まされる。

   限界まで唇を開けてみたが、やはり竿部分までは到底入れられなかった。


(うぅっ……苦しいっ……!  大きい……っ!  なんで先生の、こんなデカいの……!?)



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