192 / 206
優しい狼に初めてを奪われました
7※
しおりを挟む真っ裸で、馴染みのないベッドの上でスパダリ攻めと凡人受けの漫画をスマホで一緒に読むという、よく分からない辱めを受けた。
何となしにクラスメイト達を羨んでいたこの場所で、俺の理想とするものを共感したいと言ってくれて嬉しかったのは本当だ。
恋なんて、いや恋人とこのホテルに泊まるなんて、夢のまた夢だろうって諦めてたから。
理想は理想だし、漫画や小説の世界はひたすらに甘く、萌えがたっぷり詰め込まれてはいるけど現実的じゃない。
恋ってどんなだろう。
セックスってほんとに気持ちいいの?
多感な時期に妄想しまくった俺の理想は膨らみに膨らんで、一周まわって諦めかけていた俺の「恋」が三カ月前、いきなり形となった。
良からぬ噂と誤解が結んだ唐突な「恋」は、皮肉にも真実の一端となってるような気がしなくもない。
腰を持ち、めまぐるしく突き上げながら「壊してしまいそうだからもう少し太りましょうね」と、バスルームでと同じ事を囁くハイスペックな恋人は、快感で悶える虚ろな俺に永遠の愛を誓った。
「ずっとこうしてたい……」
「ちょっ……ん、和彦……っ」
「ここ、あと三十分で出なきゃいけないらしいですよ」
「あ、あっ? そ、そうなん……んんっ……」
「七海さんがこのホテルを気に入ったと言うなら、買い上げましょうか」
「なに……っ!? あっ、ん、っ……!」
腰を打ち付けられる度にベッドについた両腕が力なく沈み、ついには枕に突っ伏して振り返る事も出来なくなる。
ギリギリまで引き抜かれた性器が一気に襞を擦り上げ、前立腺と最奥をほぼ同時に攻め立てられると呼吸さえままならないほど気持ちいい。
漫画を音読しようとした和彦を必死で止めて、無言で画面に向かったその後……興奮した和彦からおまけの一回戦を仕掛けられた俺は、こうしてまた枕に顔を埋めて啼いている。
ぐちゅぐちゅと中を掻き回すいやらしい腰付きと、背中にいくつも走るピリッとした痛みが巧妙に交わって、もはや自分でも何が出てんのか分かんないくらい何度も射精した。
和彦の独占欲と愛は比例している。 口付けだけでは足りないとばかりに犯された俺の背中は、多分鬱血だらけで見れたもんじゃないと思う。
「自分で動いてみます?」
「……えっ……? そん、なの……できな……」
ピタと動きを止めた和彦が、俺の腰から手を離した。
絶え間なく全身を駆け巡っていた快感も同時に止まり、ずちゅっ、と性器を引き抜かれて思わず振り返る。
「ゆっくりでいいので、お尻をこちらへ」
「え、……っ……え……っ? こ、こう……?」
和彦にお尻を突き出して上体を沈めた姿は、何というか女豹っぽくてすごく恥ずかしかった。
けれど振り返った先で和彦がどこまでも穏やかに微笑むから、照れながらも俺は引き抜かれた性器の先端に自身の体を寄せていく。
ぐちゅ、と音がした。
疼く孔が性器の先端を難なく受け入れて、微かな抵抗感を伴いつつ挿入ってくるのが分かる。
俺自身に挿入の経験が無いから分からないけど、受け入れたい立場の俺はこの感覚しか知らなくていいと改めて思った。
だって、めちゃくちゃ気持ちいいんだもん。
じわじわと腰を動かして、自ら和彦を受け入れようとしてる今でこそ目隠しが必要だ。
あまりに拙過ぎて笑われてもおかしくないのに、和彦は優しく俺の背中を撫でてくれた。
「……そうです、上手ですよ。少しだけ腰を落としてみてください」
「うん……っ、……あっ」
「いいところにあたるでしょう? 僕のを半分挿入して、こうしてあげると……」
「あぁぁっ……だめ、っ……」
言われた通りにしただけで、全身にビリビリっと電気が走る。
和彦の性器をギュッと締め付けて顎を反らせると、「我慢出来ない」と呟いた恋人から怒涛のように最奥を目指された。
「可愛い……七海さん、可愛いです」
「んやっ……も、出ない……っ、和彦っ……俺、もう……!」
「愛しています、七海さん」
「……あ、っ……や、やぁぁっ……!!」
夜中からずっと疼きっぱなしの性器が、和彦が動く度に中から悦が溢れて止まらない。
ベッドの軋む音が早くなり、襞の摩擦もより一層激しさを増す。
和彦が俺に触れたところすべてが熱を持ってるみたいに熱くて、最奥に放たれたものも熱くて、想いのこもった言葉なんかもっともっと熱くて、何も考えられなかった。
「……っ、……はぁっ……っ」
火照った体はすぐには冷めず、性器を引き抜かれてもわずかに腰を落とすくらいしか出来ない。
ぼんやりとした意識の中、乱れた呼吸と昂ぶった興奮を落ち着かせていると、意図せず繋がった場所が名残惜しげにヒクヒクしていた。
重力に負けて溢れ出てくる和彦の迸りに、なかなか引かない熱が呼び覚まされそうで、縋るように首を撚る。
「……和、彦……」
「続きは帰ってからにしましょう。足りないのは僕も同じです」
「違う……そうじゃなくて……」
振り返った俺に覆い被さり、ちゅっと唇にキスをしてきた和彦は悪戯に先端で孔を刺激してくる。
……何を勘違いしてるんだ。
俺は和彦が出したものが溢れて恥ずかしいから、バスルーム連れてけって意味で呼んだんだよ。
続きは帰ってからにしましょう? ……まだするの?
我慢がきかないと言っていた和彦の台詞を裏付けるように、彼の欲望は止まらないらしい。
それに俺がついていけるかなんて事は、分かりきった話だ。
「ラブホテル、いかがでした?」
「……和彦の気持ちはよく分かったし、俺も夢が叶って嬉しかった。だから今日はもう満足。眠たくてたまんない」
「えっ? そんな、……っ、お家に帰ってからも愛していいでしょう?」
「俺寝ててもいいなら」
「嫌ですよ、起きててください」
「俺もヤダ。無理。精液タンクも体力もゼロ」
「えぇぇっ……そんなぁ……」
和彦はそれから、分かりやすく拗ねていた。
バスルームでお尻を洗ってくれてる最中も、ずっと「いいでしょ?」とお伺いを立ててくる和彦の機嫌は、俺の一言で治ってしまうと知っている。
でも今日はどれだけ甘えられても無理。 寝かせて。
スマホを手に、エッチなシーンでふむふむと真剣に頷いてた和彦に何やら胸騒ぎを覚えた俺の予感は的中したってわけだ。
今日のはそう……確か、『スパダリ攻めは絶倫でした』と銘打ってあったっけ。
10
あなたにおすすめの小説
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由
スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの少年二人は、15歳になり神の祝福でスキルを得た事で道をたがえる。彼らはやがて青年となり、片方は魔王討伐に旅立つ勇者として華々しい活躍をし、もう片方はただ彼の帰還を待つ相変わらずスラム暮らしの存在となる。
これは何も持たない青年がただ勇者の帰りを待つ日常を描いた作品です。
無自覚両片想いの勇者×親友。
読了後、もう一度だけ読み直して頂けると何か見える世界が変わるかもしれません。
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
家を追い出されたのでツバメをやろうとしたら強面の乳兄弟に反対されて困っている
香歌奈
BL
ある日、突然、セレンは生まれ育った伯爵家を追い出された。
異母兄の婚約者に乱暴を働こうとした罪らしいが、全く身に覚えがない。なのに伯爵家当主となっている異母兄は家から締め出したばかりか、ヴァーレン伯爵家の籍まで抹消したと言う。
途方に暮れたセレンは、年の離れた乳兄弟ギーズを頼ることにした。ギーズは顔に大きな傷跡が残る強面の騎士。悪人からは恐れられ、女子供からは怯えられているという。でもセレンにとっては子守をしてくれた優しいお兄さん。ギーズの家に置いてもらう日々は昔のようで居心地がいい。とはいえ、いつまでも養ってもらうわけにはいかない。しかしお坊ちゃん育ちで手に職があるわけでもなく……。
「僕は女性ウケがいい。この顔を生かしてツバメをしようかな」「おい、待て。ツバメの意味がわかっているのか!」美貌の天然青年に振り回される強面騎士は、ついに実力行使に出る?!
【完結】もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない
バナナ男さん
BL
唯一の仇名が《根暗の根本君》である地味男である<根本 源(ねもと げん)>には、まるで王子様の様なキラキラ幼馴染<空野 翔(そらの かける)>がいる。
ある日、そんな幼馴染と仲良くなりたいカースト上位女子に呼び出され、金魚のフンと言われてしまい、改めて自分の立ち位置というモノを冷静に考えたが……あれ?なんか俺達っておかしくない??
イケメンヤンデレ男子✕地味な平凡男子のちょっとした日常の一コマ話です。
溺愛極道と逃げたがりのウサギ
イワキヒロチカ
BL
完全会員制クラブでキャストとして働く湊には、忘れられない人がいた。
想い合いながら、…想っているからこそ逃げ出すしかなかった初恋の相手が。
悲しい別れから五年経ち、少しずつ悲しみも癒えてきていたある日、オーナーが客人としてクラブに連れてきた男はまさかの初恋の相手、松平竜次郎その人で……。
※本編完結済。アフター&サイドストーリー更新中。
二人のその後の話は【極道とウサギの甘いその後+ナンバリング】、サイドストーリー的なものは【タイトル(メインになるキャラ)】で表記しています。
脱落モブ男が人気アイドルに愛されるわけがない
綿毛ぽぽ
BL
アイドルを夢見るも、デビューできずオーディション番組に出演しても脱落ばかりの地味男、亀谷日翔はついに夢を諦めた。そしてひょんなことから事務所にあるカフェで働き始めると、かつて出演していた番組のデビューメンバーと再会する。テレビでも引っ張りだこで相変わらずビジュアルが強い二人は何故か俺に対して距離が近い。
━━━━━━━━━━━
現役人気アイドル×脱落モブ男
表紙はくま様からお借りしました
https://www.pixiv.net/artworks/84182395
白い部屋で愛を囁いて
氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。
シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。
※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる