295 / 541
45♡
45♡10
しおりを挟むまだ社長は到着してないみたいで、通話は開始されていない。
アキラさんがしみじみと、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった俺の顔を見てくるから、そんなに凝視しないでと言いたかった。
そしてテーブルに肘を付いて、出されたお茶を飲みながら世間話をするように問い掛けてきた。
「ハル、セナのどこが好き?」
「え……っ?」
「もうハルは、セナの全部を知ってるだろ。 セナの事好き?」
……何でそんな事を聞くんだろう。
唐突な問いは核心を突いていて、流れっぱなしだった涙が引っ込んだ。
「好き、です。 ……そりゃあ最初は、俺男だし姉の春香と間違えてるでしょって突っぱねてましたけど、……ほんとに聖南さんしつこくて。 それがだんだん嬉しくなってきて、聖南さんの目にうつるのが俺だけだったらいいなって思うようになったんです。 強くてかっこいい聖南さんも、弱くて甘えてくる聖南さんも、俺は好きです。 もう……離れたくないです」
「そっか。 ……それなら、何があってもセナから離れないでやって。 ハルはセナにとって生きがいになってるから。 多分ハルが居なくなったら、セナは死んでしまう。 ちょっとのすれ違いでゲッソリ痩せる奴だからな」
「はは……そうでしたね、食べないし寝ないですもんね」
あれは……年明けからすぐの頃だったかな。
モデルさんとの一件で聖南は一人で抱え込んで、文字通り自爆寸前だったところを、アキラさんとケイタさんの計らいで事無きを得たっけ。
「そうなんだよ。 どんだけ言ってもメシ食わねぇでコーヒーばっか飲んでさ。 セナの体調管理もハルの役目になるな」
「……ふふっ。 アキラさんも、聖南さんの事大好きなんですね」
心配のあまり、こうして俺と一緒にここに居てくれる事もだけど、小さい頃の聖南の事をこんなにもよく覚えてるところを見ると、アキラさんの中でも今日の件含め聖南の今後は心配の種だったに違いない。
友人として、仲間として、聖南を思う気持ちが痛いほど伝わってきた。
男である俺との付き合いを一切偏見視しないで応援してくれてるのも、聖南が俺の事を大事にしてくれてるからだ。
アキラさんとケイタさんにはいの一番に俺との事を話したみたいだけど、それも納得だった。
「大好きっつーと語弊あるけどな。 セナの事は昔から家族同然だと思ってる。 俺もケイタも、セナが背中押してくれなかったら役者やってないしな」
「……そうなんですか? ……聖南さんがお二人を役者に薦めたんですか?」
「そう。 俺もケイタも同時期に舞台の仕事きて、CROWNとの両立は絶対無理だって断ってたんだ。 けどセナが、CROWNの仕事を減らしてでもやれ、お前らはそっちのが向いてる、って元も子もない事言いやがって」
「そうなんだ……。 お二人とも、初めから役者志望なのかと思ってました」
アキラさんもケイタさんも年に一度はドラマに出てるみたいで、同時期に舞台の仕事をこなしたりする事もある。
去年二人が別々のドラマに出てたのをこっそり俺は観てたけど、子役時代からいくつも芝居を経験しているからか二人ともアイドルとは思えないほど違和感が無かった。
「俺らのどこを見てそう思ったのか分かんねぇけど、セナは洞察力に長けてる。 先見の明もあるし、ダンスも人一倍覚えんの早いし、歌も敵わねぇし、いつの間にか曲まで作れるようになってっし。 才能の塊だな、セナは。 尊敬してるよ、マジで」
「……聖南さんも、アキラさんとケイタさんの事大好きで尊敬してるから、俺の事話したんでしょうね。 信頼してるんだ……。 そうやってアキラさん達が思ってくれてるの、聖南さんにちゃんと伝わってるんですよ、きっと」
「こんな話照れくさくて本人には絶対言わないけどな。 ……あ、しまった、そういやケイタに連絡すんの忘れてた。 まーたアイツ、俺は除け者かって拗ねるぞ」
めんどくせーと破顔するアキラさんに、俺は三人の絆を見た。
まだまだ話を聞いていたかったけど、笑顔だったアキラさんの顔が急に強張った事で、たちまち俺達の間に緊張が走った。
13
あなたにおすすめの小説
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
溺愛アルファの完璧なる巣作り
夕凪
BL
【本編完結済】(番外編SSを追加中です)
ユリウスはその日、騎士団の任務のために赴いた異国の山中で、死にかけの子どもを拾った。
抱き上げて、すぐに気づいた。
これは僕のオメガだ、と。
ユリウスはその子どもを大事に大事に世話した。
やがてようやく死の淵から脱した子どもは、ユリウスの下で成長していくが、その子にはある特殊な事情があって……。
こんなに愛してるのにすれ違うことなんてある?というほどに溺愛するアルファと、愛されていることに気づかない薄幸オメガのお話。(になる予定)
※この作品は完全なるフィクションです。登場する人物名や国名、団体名、宗教等はすべて架空のものであり、実在のものと一切の関係はありません。
話の内容上、宗教的な描写も登場するかと思いますが、繰り返しますがフィクションです。特定の宗教に対して批判や肯定をしているわけではありません。
クラウス×エミールのスピンオフあります。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/504363362/542779091
ふたなり治験棟 企画12月31公開
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる