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意地悪な聖南は、俺があんまり好きじゃないバックで二回達した。
ころん、と横になった俺を後ろから抱き締めてくる聖南のものはまだ入ったままだ。
───疲れた。
どれくらい時間が経ったかなんて怖くて時計も見られない。
外が明るくて可愛い鳥のさえずりが聞こえてきてるから、大体の予想は付くけど……とにかく疲れた。
そういえば俺、一昨日から寝てないんだった。
「あー6時間か。 ……記録更新ならず」
「……更新しなくていいって言ってるのに……」
「こんだけ葉璃を愛してやれるのは俺しか居ないんだからな。 別れたところで誰相手にしても葉璃はもう物足んねぇと思う」
「なっ……!?」
急に重たい事を言う聖南を振り返ると、唇を啄まれて舌を舐められた。
「俺の事を思ってでも、もう逃げんなってこと。 俺らの事は俺らにとって大切な人達だけが知ってりゃいいと思ってるし、そいつらは否定なんかしないで応援してくれっから」
「で、でも……聖南さん、世間に公表してもいいとか言ったらしいじゃないですか……」
「それは状況見てからな。 葉璃の抱えてるモヤモヤが別のモヤモヤに変わったら大変だから、今はしない。 葉璃が嫌だと思う事はしない」
俺を抱く腕に力を込めてきた聖南の体温と言葉に、心がジーンと温かくなった。
はじめっから、俺は何回も何回もぐるぐる一人で悩んで、その度に聖南から遠ざかってきた。
大好きって気持ちが強くなった今、俺自身のせいで聖南が脅かされてしまうかもしれないと思うと、悲しくて苦しくて、いても立ってもいられなかった。
でも聖南はいつもすぐに捕まえて、安心しろって言ってくれる。
俺は聖南に甘えっぱなしだ。
まだ子どもだからって言い訳なんか通用しないくらい、一人で突っ走り過ぎだ……。
聖南からの好意に深く深く沈み過ぎて溺れてしまいそうなのに、その一歩手前で俺がもがき始めて暴れて、聖南に難なく救出される。
地に足付けよう、聖南と並んで歩ける日を夢見て俺も頑張らなきゃって奮闘してた俺は一体どこいっちゃったの。
「……俺……聖南さんと居たい……離れなきゃって分かってるのに、……聖南さんから離れられるわけない……。 俺はもっとちゃんと聖南さんと向き合いたいのに、俺は何も返してあげられない……」
背後から伸びる聖南の腕にしがみついて、俺はまた情けなくも涙を流した。
俺の抱える不安さえも聖南が受け止めてくれようとしてるのに、いつまでもグジグジ悩んだらダメって事も分かってるのに、聖南の優しさがひどくこたえた。
「あ、コラ、また泣いてんのっ? 泣くのはセックスの時だけにしろよ。 泣かせたくねぇよ」
「……んんっ……痛っ……」
こっそり涙を拭こうとしたのに、中に入ったままの聖南が無理に上体を起こして顔を覗き込んできた。
そして一度キスを落としてくると少しだけ離れて、視線を合わせてくる。
「葉璃。 お前の卑屈さもネガティブさも俺が全部受け止めてやる。 不安は抱えてても構わねぇよ、だって俺が全部そのまま愛してやるから。 葉璃は俺に何も返してやれねーとか言うけど、お前の存在だけで俺は救われてんの。 何べん言ったら分かるのかね、この子は」
「……でも……でも……」
「一昨日言っただろ。 俺への気持ちが離れたんなら、そんときは別れてやる。 葉璃の幸せが第一だからだ。 でも俺の事が大事で、傷付けたくないって言うなら別れてやらねぇ、絶対に。 俺にとって、葉璃が離れていく事が一番傷付くしショックだ」
いや大ショック、と言い直す聖南の瞳は真剣そのもので、揺れる俺の瞳をまじまじと見詰めていた。
俺が離れていく事が一番傷付く……?
「……聖南さん、こわくないの? 俺との事バレたら、周りに色々言われちゃうかもしれないし、仕事も減って……」
「んな事を考えてたのか。 そのどっちも葉璃より大切じゃねぇからどうでもいいな。 こわくねぇよ、俺は。 ただ俺との関係がバレて世間から葉璃がバッシング浴びて傷付けちまったら……っていうのは怖ぇ」
「……んんんッッ……!」
さっきまで少し柔らかくなって落ち着いてたはずの聖南のものが、何故か中で強度を取り戻して俺のいいとこを押してきた。
突然の痺れるような快感に喉を反らせると、そこへ聖南が吸い付く。
「あっ……ダメ、……聖南さんっ……」
「悪りぃ。 葉璃のぐるぐるが俺には惚気にしか聞こえねぇもんだから」
「惚気っ? ……惚気じゃっ……! 俺はほんとに不安で……っ!」
「いいって、不安でも。 葉璃がそういう子ってのはもう分かってる。 どんなに悩んでても俺で悩んでるならさいこー。 全部受け止めてやる。 だからな、俺から二度と離れるな。 何度でも言うからな、俺から離れるな」
───悩んでていいの?
不安でいっぱいでぐるぐるしててもいいの?
聖南さんはそんな俺でも好きでいてくれるの……?
「……っ聖南さん……っ」
きっと、後にも先にも、この人だけだ。
俺の事、ぜんぶひっくるめて愛してやるって言ってくれるのは……。
大好きな聖南の隣で、いつか俺も自信持って「全部どうでもいい、聖南さんさえ居れば」って言える日がくるのかな。
「聖南さん……っ、……ありがとう……」
「なんでお礼? 葉璃の恋人なんだから当然だろ。 ……俺を想ってぐるぐるしてる葉璃もかわいーしな」
そう言って微笑む獣は、この日は一際美しく、逞しく見えた。
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