必然ラヴァーズ

須藤慎弥

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39☆

39☆ 5・アキラとケイタはセナハルの味方

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 すっかり和解し熱々なカップルに戻った二人は、こちらが鬱陶しく思うほどベタベタし始めている。

 アキラとケイタは楽屋で何度かこういう場面に遭遇しているので驚きはしなかったが、成田は箸を止めて不躾に二人を見てしまうほど唖然としていた。


「聖南さん、またごはん抜いてたんじゃないですか?  痩せましたよね、絶対」
「食いたくなかったからな。  葉璃に拒否られたらどうしよってそればっか考えてて」
「ダメじゃないですか。  ちゃんと食べないと、お仕事できないですよ」


 ハルがセナの顔を覗き込むと、セナはその柔らかそうな両頬を捕らえて二人はおでこをくっつけ合わせて会話し始めた。

 一瞬目の前でキスシーンを見せ付けられるのかとドキッとした三人だったが、それでなくても完全に蚊帳の外である。


「だなー。  たまに目眩してたから眼鏡掛けっぱなしだった」
「もう~眼鏡はあんまり外で掛けないでって言ったじゃないですか」
「いいじゃん、みんながみんな葉璃みたいに目が♡になるわけじゃねぇだろ。  ……あーでもこれは葉璃だけの特権にしときたいのか」
「そうです。  眼鏡聖南さんかっこいいですから」
「なぁ、この時間に出て来てるっつー事は今日は泊まれんだろ?」
「……はい。  あ、でも明日のレッスン午前からなんでアレはナシですよ」
「そんなの無理だって。  二回でやめとくから」
「何時間の二回ですか、それ」
「酒飲んどこ」
「あーまた保たせる気じゃないですかっ。  休憩くれるって言いながらいっつもくれないのに……」
「コラコラコラコラ!  そこの二人!  こんなところで生々しい会話はやめてくれ!  とりあえず離れろ!」


 大声で二人の空間を遮ったのは、これ以上見ていられないとばかりに立ち上がった成田だった。

 ハッとして離れたハルとは対照的に、すでにハル不足から解消されたセナはいつもの王様風情に戻っている。

 離れたハルの腰を抱いて密着し、セナは左手でハルへ料理を取り分けた。


「足りねぇだろ?  何か頼め、たくさん」
「俺夜ご飯食べてきたからそんな食べられないですよ」
「葉璃なら食えるって」
「人を大食いみたいに……」


 無事に復活したセナが、笑顔も交えてハルを甘やかし始めた事で、アキラもケイタも今日この時間を作って正解だったと二人で顔を見合わせた。

 先刻までのあの調子では、セナはハルと連絡を取れないどころか、まともに食事も取らないせいで後にぶっ倒れるのは必至に思えた。

 目の前でセナがハルに「あーん」と言いながら食べさせてやっている様を、ケイタも微笑ましく見た。

 セナはもう、ハルが居ないと死んでしまうかもしれない。

 それほどセナにとってハルは重要な存在になっているようで、だからこそほんの少しの不安やすれ違いがとても大きな事件となってしまう。

 目の前で、照れながらも口を開けてセナから食べさせてもらっているハルも、こちらまで笑顔になってしまうほどとても幸せそうだ。

 二人が離れ離れになると悪循環しか生まないので、今後もアキラとケイタはお節介を焼き続けようと心の中で強く思った。

 熱々な二人を他所に、アキラはケイタと改めて乾杯して美味しいお酒をしばらく楽しんだ。

 ただ一人、その光景が初見である成田だけは、目のやり場に困ると視線が泳ぎっぱなしではあったが……。





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