225 / 541
39☆
39☆ 5・アキラとケイタはセナハルの味方
しおりを挟むすっかり和解し熱々なカップルに戻った二人は、こちらが鬱陶しく思うほどベタベタし始めている。
アキラとケイタは楽屋で何度かこういう場面に遭遇しているので驚きはしなかったが、成田は箸を止めて不躾に二人を見てしまうほど唖然としていた。
「聖南さん、またごはん抜いてたんじゃないですか? 痩せましたよね、絶対」
「食いたくなかったからな。 葉璃に拒否られたらどうしよってそればっか考えてて」
「ダメじゃないですか。 ちゃんと食べないと、お仕事できないですよ」
ハルがセナの顔を覗き込むと、セナはその柔らかそうな両頬を捕らえて二人はおでこをくっつけ合わせて会話し始めた。
一瞬目の前でキスシーンを見せ付けられるのかとドキッとした三人だったが、それでなくても完全に蚊帳の外である。
「だなー。 たまに目眩してたから眼鏡掛けっぱなしだった」
「もう~眼鏡はあんまり外で掛けないでって言ったじゃないですか」
「いいじゃん、みんながみんな葉璃みたいに目が♡になるわけじゃねぇだろ。 ……あーでもこれは葉璃だけの特権にしときたいのか」
「そうです。 眼鏡聖南さんかっこいいですから」
「なぁ、この時間に出て来てるっつー事は今日は泊まれんだろ?」
「……はい。 あ、でも明日のレッスン午前からなんでアレはナシですよ」
「そんなの無理だって。 二回でやめとくから」
「何時間の二回ですか、それ」
「酒飲んどこ」
「あーまた保たせる気じゃないですかっ。 休憩くれるって言いながらいっつもくれないのに……」
「コラコラコラコラ! そこの二人! こんなところで生々しい会話はやめてくれ! とりあえず離れろ!」
大声で二人の空間を遮ったのは、これ以上見ていられないとばかりに立ち上がった成田だった。
ハッとして離れたハルとは対照的に、すでにハル不足から解消されたセナはいつもの王様風情に戻っている。
離れたハルの腰を抱いて密着し、セナは左手でハルへ料理を取り分けた。
「足りねぇだろ? 何か頼め、たくさん」
「俺夜ご飯食べてきたからそんな食べられないですよ」
「葉璃なら食えるって」
「人を大食いみたいに……」
無事に復活したセナが、笑顔も交えてハルを甘やかし始めた事で、アキラもケイタも今日この時間を作って正解だったと二人で顔を見合わせた。
先刻までのあの調子では、セナはハルと連絡を取れないどころか、まともに食事も取らないせいで後にぶっ倒れるのは必至に思えた。
目の前でセナがハルに「あーん」と言いながら食べさせてやっている様を、ケイタも微笑ましく見た。
セナはもう、ハルが居ないと死んでしまうかもしれない。
それほどセナにとってハルは重要な存在になっているようで、だからこそほんの少しの不安やすれ違いがとても大きな事件となってしまう。
目の前で、照れながらも口を開けてセナから食べさせてもらっているハルも、こちらまで笑顔になってしまうほどとても幸せそうだ。
二人が離れ離れになると悪循環しか生まないので、今後もアキラとケイタはお節介を焼き続けようと心の中で強く思った。
熱々な二人を他所に、アキラはケイタと改めて乾杯して美味しいお酒をしばらく楽しんだ。
ただ一人、その光景が初見である成田だけは、目のやり場に困ると視線が泳ぎっぱなしではあったが……。
13
あなたにおすすめの小説
人気アイドルグループのリーダーは、気苦労が絶えない
タタミ
BL
大人気5人組アイドルグループ・JETのリーダーである矢代頼は、気苦労が絶えない。
対メンバー、対事務所、対仕事の全てにおいて潤滑剤役を果たす日々を送る最中、矢代は人気2トップの御厨と立花が『仲が良い』では片付けられない距離感になっていることが気にかかり──
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
【完結】ルガルの星―冷徹な社長は、僕の運命を知っていた―
綾波絢斗
BL
この世界には、二つの特別な称号を持つ者たちが存在する。
一つは、絶対的な権力を持つ王の称号――ルガル(lugal)。
もう一つは、ルガルと対をなし、その力を補う「番」――ムル(mul)。
ルガルは生まれながらに選ばれし存在。
国家からエリート教育と地位を与えられ、能力に応じて厳格なランク分けが行われる。
最上位のルガルは、政治さえも動かす絶対者だ。
一方で、ムルは生まれた瞬間にはその正体がわからない。
遺伝子検査や学力テストを経て候補が絞られるが、
最終的に「真のムル」かどうかを見極められるのは――ルガルだけ。
ムルが覚醒したとき、同じ場所に「紋章」が現れ、その瞬間から、ルガルとムルの力は共鳴し始める。
ムルの能力はルガルの力を最大限に引き出す。
ゆえにルガルたちは、自らのムルを求め、時には他人のムル候補を奪い合う。
そして、すべての出生データと遺伝情報を管理するのは、
巨大企業イルジオン――国家をも超える存在。
その頂点に立つ社長、一条レイ。
冷徹なルガルの頂点に君臨する彼が「自分のムル」と出会った。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる