迅雷上等♡─無欠版─

須藤慎弥

文字の大きさ
58 / 223
⑥判明したんですけど

─雷─⑦

しおりを挟む


… … …



 高校三年の秋、俺はついにオトナの階段をのぼった。

 男と色んな初体験をしてしまったあげく、それは出会って半年のダチ。

 〝ヤリチン〟と〝シチュエーション〟にやり込められた感満載だし、この手のことに興味が無かった童貞男子の裏をかかれた気がしなくもない。

 でもま……相手が迅ならいいかなって感じ。

 根拠は無え。 後先も考えてねぇ。

 伝説保持者のヤリ迅の言葉を鵜呑みにするのは特別警報もんだが、女の代わりではないってハッキリ言ってくれたから、俺は迅の気持ちを信じる。

 なんつーか、迅に女が途切れなかった理由が分かっちまったもんな。

 カノジョじゃないただのセフレ相手に、その気を持たせるのがすげぇ上手いんだもん。

 顔良し、声良し、スタイル良し。 喧嘩も強くて、こっちがおとなしくしてたら存分に甘やかしてくれる、五拍子揃った迅。

 いやコイツに限ってはそれ以上にイイとこ盛りだくさん。

 そんなの、女が夢中になんねぇはずないって。


「おはよぉ」
「あっ、先輩! おはよーございます!」
「……っす」
「迅ッ、ちゃんと挨拶しろよ! 一文字で朝の挨拶完結するってのはどうかと思うぞ!」
「まぁまぁ。 雷は朝から元気ねぇ」


 セフレ契約を結んだ次の日の朝、パンツスーツに身を包んだ修也先輩と宿前で落ち合った。

 今朝は女バージョンでの登場だった先輩は、バッチリメイクに茶髪ロングのくるくるウィッグをポニーテールにして、若干肩幅広めだけどなかなかの長身美人。

 なんで先輩がこの姿で居るのかって言うと、今から開店前のお店を見に連れてってくれるんだ。

 まだ二十歳なのに店長に抜擢されたなんてマジで尊敬。 俺の引っ越し先で新しい店舗がオープンするってのは、偶然過ぎて怖え。


「アンタ達、昨日買ってた朝ごはんは食べたの? あたしは朝食あったから良かったけど」
「うっ! あっ! 俺たち腹減ってないから昼メシと一緒でいいかなって!」
「そう?」


 朝メシにと昨日買っといたおにぎりは、迅が持ってるコンビニの袋に入ったまま。

 なぜなら、チェックアウトの時間ギリギリまで迅にいじくられたせい。

 新たなセフレを手に入れた迅は、俺が目覚めた瞬間から不気味なくらいご機嫌だったんだよ。


『おはよ、雷にゃん』
『うー……? んー……。 迅、おは……ひゃッ♡』
『昨日三回も抜いたのに朝勃ちしてんの』
『あっ、だめだ! 朝は俺、特にビンカンで……やんッ♡』
『可愛いな』
『ちょっ、ちょっと待て! 朝からデカチン迅様を押し当ててくるな!』
『雷にゃんが寝落ちすっから俺は一回しか抜いてねぇんだ。 ギンギン当たり前』
『うぅぅーー!! だってあんなコトやこんなコトで俺、頭パンクしちまって……ッ』
『だよな、分かる。 雷にゃんは寝顔まで可愛いからさ、寝込み襲う気も失せて俺もあれからすぐ寝た。 こうやって……抱き枕にしてな』
『あぁ……っ♡ 迅、ッ……ギュッてすんの、好きなのか……ッ?』
『いや、別に。 でも雷にゃんだから』
『んんっ♡ はぅッ♡』
『抱きしめられんの、雷にゃんも好きだろ?』
『え……ッ? 俺が……?』
『好きだからって、俺以外のヤツにさせるなよ。 もち、翼にも』
『あッ♡ 迅っ……朝はビンカンなんだってばぁぁーー!!』


 ──セフレ契約の威力を甘く見てた。

 昨日散々俺のちくびをもてあそんだ甘々カレシが、今日も健在中。

 そんなこんなで朝からシコシコされて、俺の腹に散った二人分の精液を洗い流すためだけに激アツ風呂を使用した。

 なんて贅沢なんだと思いながら。

 夜とは全然違う、爽やかな空気と目の前の森林に目を奪われるヒマもなく、そこでも迅はイケメン面で俺をいっぱい抱きしめてきた。

 俺とセフレになれたのがそんなに嬉しいのかって、思わず聞いちまいそうになるぐらい迅の機嫌がすこぶるイイ。

 分かんねぇでもないけどな。

 だって、迅は何ヶ月もずっと〝セフレになりたい〟願望を匂わせてきてたのに、俺はまったく気付かないでいた。
  
 〝末っ子気質を発揮した迅は世話が焼けるなぁ〟、〝地雷が分かんねぇから難しいヤツだなぁ〟……という、迅にしてみればかわいそうな勘違いをしていた俺だ。

 もっと早く気付いてやれてれば、迅が性欲モンスターにならずに済んだのに……。


「──雷~? まだおネム~?」
「へっ!?」


 見た目も口調もまるで女に変身した先輩に、顔を覗き込まれてハッとした。


「なんか顔赤くない? 雷、だいじょーぶ?」
「風呂熱かったからな。 のぼせた? 水飲むか?」
「い、いや、だいじょぶ! んへっ」


 ほんのついさっきまで、おばけの心配が無い開放感溢れる露天風呂でギュッ、チュッ、ギュッ、ってしてたのを思い出すと、顔面が熱い。 おまけに心臓のチクチクも引き摺ってて、迅のイケメン面が見らんねぇ。

 なんとなく優しく聞こえる迅のイケボとカレシ並みの気づかいは、たぶんセフレを途切れさせないコイツなりのテクニックなんだ。

 動揺してどうする、俺。


「昨日言い忘れてたんだけどぉ、うちの新しい店舗ってこの辺で一番大きなモールの中にオープンするんだよねー」
「えっ、モール? それって、迅がバイトしてる店が入ってるモール?」
「そうそう~。 迅クンが働いてるお店って、メンズファッションブランドが集中してる三階のエスカレーター前にあるでしょ?」
「……そうっすけど」
「うちの店は二階なのぉ! しかも、charmantの真下!」
「へぇ……」




しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

もう一度言って欲しいオレと思わず言ってしまったあいつの話する?

藍音
BL
ある日、親友の壮介はおれたちの友情をぶち壊すようなことを言い出したんだ。 なんで?どうして? そんな二人の出会いから、二人の想いを綴るラブストーリーです。 片想い進行中の方、失恋経験のある方に是非読んでもらいたい、切ないお話です。 勇太と壮介の視点が交互に入れ替わりながら進みます。 お話の重複は可能な限り避けながら、ストーリーは進行していきます。 少しでもお楽しみいただけたら、嬉しいです。 (R4.11.3 全体に手を入れました) 【ちょこっとネタバレ】 番外編にて二人の想いが通じた後日譚を進行中。 BL大賞期間内に番外編も完結予定です。

創作BL短編集

さるやま
BL
短編まとめました。 美形×平凡、ヤンデレ、執着・溺愛攻め多め

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

生まれ変わりは嫌われ者

青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。 「ケイラ…っ!!」 王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。 「グレン……。愛してる。」 「あぁ。俺も愛してるケイラ。」 壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。 ━━━━━━━━━━━━━━━ あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。 なのにー、 運命というのは時に残酷なものだ。 俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。 一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。 ★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

学校一のイケメンとひとつ屋根の下

おもちDX
BL
高校二年生の瑞は、母親の再婚で連れ子の同級生と家族になるらしい。顔合わせの時、そこにいたのはボソボソと喋る陰気な男の子。しかしよくよく名前を聞いてみれば、学校一のイケメンと名高い逢坂だった! 学校との激しいギャップに驚きつつも距離を縮めようとする瑞だが、逢坂からの印象は最悪なようで……? キラキライケメンなのに家ではジメジメ!?なギャップ男子 × 地味グループ所属の能天気な男の子 立場の全く違う二人が家族となり、やがて特別な感情が芽生えるラブストーリー。 全年齢

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

処理中です...