迅雷上等♡─無欠版─

須藤慎弥

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⑩カレシが出来ました!

─雷─⑧

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 モジ男から俺を取り返した迅は、すかさず背中に隠してくれた。 それと同時に「右腕掴んで」と謎の指示を受けて、素直に従う。

 まだ息が荒い。 こんな時になんだけど、はぁはぁ言ってる迅はかなりエロい。

 はぁぁッッ♡ 迅がイケメン過ぎて死ねる!

 俺がピンチなのなんで分かったんだろッ?

 「迅ーッッ!」って助け呼ぶ前にバッチリ来てくれたし、ピンポイントでここまで来てくれるなんて、運命としか考えらんねぇじゃんッ♡


「な、なんですか、あなたは! あなたの名前じゃなくて、俺はこの子の……っ」
「誰だお前」
「き、君こそ、彼女の何なんだ! ま、まさか彼氏……?」
「そうだけど」


 ンッ、おぉぉッッ、即答なんですねぇ~~ッ?

 嬉しいッ、嬉しいぞ、迅!

 なんとなく迅の背中にくっつきたい気分になって、実際にピトッと擦り寄ってみる。 するとテンプレみてぇに俺の体内のキュンキュンが発動した。

 男らしい背中。 黒シャツ似合い過ぎ。 走って駆け付けてくれたから何だか温かいし、迅のいい匂いでクラクラしそう。

 はあぁー……お前やっぱイケメンだわ♡ イケメンの中のイケメンだ♡

 俺が彼ピッピの背中でハスハスしてる間に、迅がハッキリキッパリ宣言してくれたおかげで、玉砕が決定したモジ男の悔しそうな声がトイレ前に響いた。


「あ゙ぁ~っ、彼氏がいたのかぁ……! そりゃ居るよね、君カワイイもんね」
「──えッ! 俺カワイイ!? カワイイ!?」
「とてもカワイイよ! ……ん? ……俺?」


 反応しちゃダメだと分かってんのに、〝カワイイ〟に敏感な俺はつい迅の背中から顔を出した。

 雷ギャルだけど〝俺〟は〝俺〟なんだから、そこに引っ掛かられるとテンションガタ落ち。


「なんだよ。 俺って言っちゃいけねぇっての? でも〝僕〟ってガラじゃねぇんだよなぁ、俺」
「んっ? ん……っ? お、俺っ? 僕っ?」


 はぁ? 何なんだよ。 マンガみてぇにオロオロしやがって。

 ……もしかしてモジ男、ずっと俺が〝私〟だと思ってたのか? ちょっと高めかもしんねぇけど、声とか喉仏とかで分かるだろ。

 先輩なんて、ガッツリ男の声で見た目キャリアウーマンやってんだぜ?

 てっきり俺もそういう風に見られてるんだと思ってた。
 

「お前知らなかったのか。 コイツ男だぞ」
「ええ!? 男……っ!? えっ? はっ? でも見た目男には……!」
「可愛いだろ」


 迅のヤツぅぅ~ッ! サラッとナチュラルに雷自慢しやがって~~ッッ♡

 聞いたッ? 聞いたッ?

 ドヤ顔で「可愛いだろ」って!! もぉッ、キュンです!!

 俺のこと本気で女だと思ってたらしいモジ男には悪いけど、この格好をしてるのは迅のためで、カワイイって言われてキュンキュンすんのも迅だけだ。

 マジで、他の野郎なんかクソどうでもいい。


「か、カワイイ、けど、……!」
「今どき性別気にして恋愛するとかダセェからな。 でもコイツが男だって知ってそんな反応してるって事は、お前には無理なんだろ」
「い、いやそんな……っ、俺は本当にその子の事が好きで……!」
「聞こえなかったのか? てか意味分かってる? コイツは俺のもんだから失せろっつってんの。 二度と俺のもんに告るな。 触るな。 話しかけるな。 次はキレる」
「────!」
「────ッッ♡」
「上の階のシャルマンって店のショップ店員してっから、文句あんならいつでも来いよ。 そんかわり、次コイツに近付いたら俺の右ストレートが飛ぶ」


 悔しそうに歪んだツラに向かって、迅があごをしゃくった。 「さっさと行け」と言わんばかりの態度に、モジ男はカノジョへのプレゼントをクシャッと握って去って行った。


「……やっぱお前はトラブルメーカーだな」


 モジ男の姿が見えなくなるまで見張ってる黒豹が、ボソッと呟いた。 チラっと見上げたそのツラには、〝右ストレートぶっ放したかった〟ってデカデカと書いてある。

 俺に右腕掴んどけって言ってたの、こういう事だったのか……。

 職場がある店内、土日で家族連れも多い中で無敗伝説を更新しねぇようにって。

 はぁぁ……キュン……♡ 初めてのおとなしいキュンだ。

 俺様迅様かっこよすぎてキュン死と蘇生を繰り返したっての。

 一つ一つに反応したかったくらい、嬉しいセリフのオンパレードだった。 だから俺は文句なんてねぇよ。 助けて、くれたし……。


「……トラブルにはなってねぇもん……モテただけだもん……」
「てめぇ……よくそんな口が叩けんな?」
「うわわわわッッ!?」


 ヤバッッ!! せっかく押さえてたのに、俺が余計な反論しちまったから右腕の封印が解かれた……!!

 逆に迅から俺の右腕を掴まれて、グイッと引っ張られる。

 そのままエスカレーターで上の階に上がり、迅のバイト先の前は通らずに別の通路から寝具売り場のトイレに連行された。

 メンズ服のテナントがズラっと並んだ奥に、あんまり流行ってない寝具売り場がある事を今知った。

 軽口は叩けない雰囲気。

 モジ男にキレられなかった分の怒りを、俺にぶつけそうな気配。

 ここだけ異空間みてぇに客の居ない、都合のいいシチュエーション。

 …………ドキッ。 …………ドキッ。





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