迅雷上等♡─無欠版─

須藤慎弥

文字の大きさ
109 / 223
⑪情交

─迅─⑦(♡)

しおりを挟む




 誰かに見られてるわけでもねぇのに、カーテンを閉め忘れた事を今さら思い出して無意識に気を逸らそうとする俺。

 そういう類のもんを必要以上にビビるはずの雷は、今日に限って俺の言う事を素直に聞いて〝可愛い〟を爆走中。

 改めて、あの旅館で浮かれてたのは俺だけだったんだと反省した。

 一つの事しか考えらんねぇ雷がキャパオーバーするくらいのドキドキを抱えてると、窓から誰かが覗いてるかもしれないという恐怖には怯えねぇって事が分かった。

 対して俺は、めちゃめちゃ気になる。

 俺の予定を狂わすのは雷だけで充分だ。


「あ、ッ……迅どこ行くんだッ」
「ローション持ってくる」
「えッ!? ろ、ろーしょん……ッ!? どこにあんの!?」
「鞄に入ってる」


 突然ベッドから下りた俺を、縋るような寂しんぼの猫目が追い掛けてくる。

 俺はおばけの覗き対策にカーテンを閉めて、斜め掛けの鞄からローションボトルを取り出した。

 これはちゃんと調べて買った、アナル用。 もちろん使用経験は無い。


「お前……ッ、そんなもん持ち歩いてウロウロしてたのか!!」
「浣腸目的でイチジク持ち歩いてたヤツに言われたくねぇよ」
「ぐぬぅ……ッ、それはごもっとも……ッ!」
「フッ……」


 俺が手にしたローションをまじまじと見てくるコイツの覚悟は、ついさっき確認したから何も問題無え。

 揶揄ったのも、一人でやらせちまった罪悪感と〝もう勝手な事するなよ〟っていう釘刺しだったんだけど、まぁ単純バカな雷には伝わってないんだろうな。

 ベッドに片膝を乗せて上がると、マットレスがもふっと沈む。

 このベッドいいな。 デカさもクッション性もマジでいい。

 いつか雷と住む日が来たら、ベッドだけは奮発しようと心に決める。

 ただその前に、俺には一つやる事があった。

 腰にタオルだけ巻いた姿で寝転んでいる、俺の無邪気な飼い猫に意思を問うめちゃくちゃ恥ずか死ぬ行為、今日で二回目じゃん。


「さーて、乳首開発の前に告りますか」
「ヒッ……!? いや迅さん、そ、そういうのって申告制導入しない方が……ッ」
「俺も緊張してんだよ」
「迅が……ッ? あの迅が……緊張ッ? 数々の伝説を残してきたヤリ迅が……ッ? 今も緊張って何?のツラして俺を睨んでる迅が……ッ? マジ……? 俺ついに告られんの……ッ? でも何回も好きって言ってくれてるよな……ッ? 改めて言うことでもなくね……ッ?」


 ……それ心ン中で言ってるつもりなんだろ、バカ雷にゃん。

 体を起こしながらブツブツ、ブツブツ。

 俺だって緊張してるに決まってる。 先週のアレはどさくさ紛れだったし、あんなのが俺達のはじまりだなんてイヤだったんだよ。

 暴走のおかげで〝好き〟って言いまくれるようになった。

 躊躇なく雷に触りまくれるようになった。

 耳元で囁いてガチ照れさせるっていう、特殊な嗜好も増えた。

 別に今さら言うことでも無えとは思うんだが、総合的に見て俺がいま一番言わなきゃなんねぇ事は一つ。

 雷と向き合って座り、小せえ両手を取って握る。

 ポッとほっぺたをピンク色に染めた雷を可愛いと思い、打って変わった雰囲気に俺の方が呑まれそうになった。

 濡れた金色の前髪から覗く目を真剣に見詰める。



 好き。 雷にゃん、俺はお前の事が好き。
 お前しか要らない。
 俺はお前に好かれてたい。
 バカ素直でバカ正直で危なっかしい雷にゃんを守るのは、俺しか居ねぇだろ。
 死ぬまで養ってやるから、俺と一緒に居ろよ。



「──雷にゃん、俺と付き合って」






しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

創作BL短編集

さるやま
BL
短編まとめました。 美形×平凡、ヤンデレ、執着・溺愛攻め多め

もう一度言って欲しいオレと思わず言ってしまったあいつの話する?

藍音
BL
ある日、親友の壮介はおれたちの友情をぶち壊すようなことを言い出したんだ。 なんで?どうして? そんな二人の出会いから、二人の想いを綴るラブストーリーです。 片想い進行中の方、失恋経験のある方に是非読んでもらいたい、切ないお話です。 勇太と壮介の視点が交互に入れ替わりながら進みます。 お話の重複は可能な限り避けながら、ストーリーは進行していきます。 少しでもお楽しみいただけたら、嬉しいです。 (R4.11.3 全体に手を入れました) 【ちょこっとネタバレ】 番外編にて二人の想いが通じた後日譚を進行中。 BL大賞期間内に番外編も完結予定です。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

告白ごっこ

みなみ ゆうき
BL
ある事情から極力目立たず地味にひっそりと学園生活を送っていた瑠衣(るい)。 ある日偶然に自分をターゲットに告白という名の罰ゲームが行われることを知ってしまう。それを実行することになったのは学園の人気者で同級生の昴流(すばる)。 更に1ヶ月以内に昴流が瑠衣を口説き落とし好きだと言わせることが出来るかということを新しい賭けにしようとしている事に憤りを覚えた瑠衣は一計を案じ、自分の方から先に告白をし、その直後に全てを知っていると種明かしをすることで、早々に馬鹿げたゲームに決着をつけてやろうと考える。しかし、この告白が原因で事態は瑠衣の想定とは違った方向に動きだし……。 テンプレの罰ゲーム告白ものです。 表紙イラストは、かさしま様より描いていただきました! ムーンライトノベルズでも同時公開。

生まれ変わりは嫌われ者

青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。 「ケイラ…っ!!」 王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。 「グレン……。愛してる。」 「あぁ。俺も愛してるケイラ。」 壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。 ━━━━━━━━━━━━━━━ あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。 なのにー、 運命というのは時に残酷なものだ。 俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。 一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。 ★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

学校一のイケメンとひとつ屋根の下

おもちDX
BL
高校二年生の瑞は、母親の再婚で連れ子の同級生と家族になるらしい。顔合わせの時、そこにいたのはボソボソと喋る陰気な男の子。しかしよくよく名前を聞いてみれば、学校一のイケメンと名高い逢坂だった! 学校との激しいギャップに驚きつつも距離を縮めようとする瑞だが、逢坂からの印象は最悪なようで……? キラキライケメンなのに家ではジメジメ!?なギャップ男子 × 地味グループ所属の能天気な男の子 立場の全く違う二人が家族となり、やがて特別な感情が芽生えるラブストーリー。 全年齢

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

処理中です...