108 / 223
⑪情交
─迅─⑥
しおりを挟む雷をベッドの中央まで運んで、ビビらせねぇようにゆっくり横たえた。
冷たいシーツの上に寝転んだ雷から気丈に見つめられ、ドキドキが伝染する。
何かを言いたそうに、撫でてもらいたそうに、もっさん達と同じような猫目でジーッと見てくる。
てか雷は、何の意地だか俺と目が合うと瞬きしねぇんだよ。 見開いてるわけじゃねぇんだけど、当然目が乾くからだんだんと潤んできて、最後には泣きそうなツラになる。
そんな目で見つめられてみろ。
誰でも即落ちだっつの。
「……雷にゃん。 そんな俺のツラガン見してねぇで、背中に腕回せ」
「な、な、なんで……?」
「いいから」
照れてしょうがねぇうるうる攻撃を何とか躱して、雷の腕を取った。
手首掴んで俺を抱きしめろって言っただけで、他のコトなんて何も眼中にありませんとばかりに、童貞男子は真っ赤なツラして照れやがる。
「……ん、……こう?」
「もっと」
「えッ、もっとって……。 こう?」
「もっとだ」
「えぇッ? 意味分かんねぇ、何コレッ?」
恐る恐る俺の背中に回ってきた腕が、物足りなかった。
服着たまま抱き合うのとは全然違うからな。
触れ合ったら我慢がきかなくなるって、本能的に分かってんのかもしんねぇ。
何しろ俺達はオス同士だし。
「こうやれって言ってんの」
「あ……ッッ♡」
照れ屋な飼い猫のもどかしいハグもいいが、俺はもっともっと密着したかった。
ギュッと抱きしめて「こうしろ」と囁くと、小さく鳴いて同じだけ抱きしめ返してくれる。
腕にすっぽり収まる雷はチビだし、同じ男とは思えねぇくらい肩幅華奢だし、これだけ密着してやっと感じるほどの薄い胸ではあるんだが、タオルで守られた俺の息子は何故かもう半勃ち。
不名誉な伝説がまったく役に立たねぇ。
抱き合ってるだけで興奮するって何なんだ。 童貞か。
「あったけぇだろ?」
「うん……♡ ぬくぬくだぁ♡」
「……雷にゃんいい匂い」
「迅も一緒じゃん! ……ヘヘッ♡ 俺達おんなじ匂い」
「………………」
は? いや、……は?
ナチュラルに照れ笑いしながらそんなこと言っちまうの?
俺の体は正直で、すでに半勃ちのチン◯がピクッと反応した。
ピュアっピュアな童貞男子の無邪気さの前では、やっぱりヤリチン伝説なんか通用しねぇじゃん。
「……何だそれ。 クソ可愛い。 ハンパ無ぇ。 語彙力無くなる」
「う、ッ? 迅さん急にヤンキー出てまっせ、……って、迅……苦し……ッ、早まるな! 俺はまだ死にたくねぇぞぉ!」
「雷にゃんが可愛すぎるからいけねぇんだろ。 なんだよ、俺達おんなじ匂いって。 パワーワード過ぎ」
「そのままの意味じゃんー! それをそんな風に受け取るとは思わな……んんッ♡」
可愛すぎて憎たらしいとしか言いようのない唇に、迷わず噛み付いた。
絞め殺す勢いで抱きしめた後だから、舌を捕らえやすい。
俺の鼻先が雷の柔らけぇほっぺたに食い込むほど、深い場所まで舌を突き入れて絡ませた。
背中に回っていた腕が、弱々しく俺の肩を押してくる。
鼻からハートマーク付きの甘ったるい吐息を溢して、もどかしそうに足をモゾモゾ動かす雷は慣れねぇキスに毎度必死だ。
「雷にゃん、どっちのキスが好き?」
「ふっ、んッ♡ ん、ッ……♡ んぇッ?」
唇を離してやると、一発抜いた後みてぇにフニャフニャなツラして、おまけに腕力も無くなってる。
本人にも言ったが、キスの合間に喘ぐヤツも、余韻に浸るヤツも、俺は初めて見た。
慣れてねぇからだってのは分かってんだけど、それならどっちが好きなんだってささやかな疑問を持つのは、彼氏として当然。
余韻真っ只中で油断してる唇に、チュッと一度キスを落とす。
「これか、……」
「ん、んッ♡」
「これ」
「んむぅッッ! ん、んッ……んッ……♡」
二回目はバッチリ舌を絡ませた。
キスの角度を変えて、引き気味の滑った塊を吸い上げる。 じゅぷっ、と粘液の交わる音がしたのを合図に唇を離して、口内に溜まった唾液を飲み干した。
舌なめずりしつつ、キスだけでイき顔をする雷に再度聞いてみる。
「どっち?」
「……はぅ、……ッ、ど、どっちかと言うと俺は……チュッの方……」
「舌入れない方ってこと?」
「…………うん」
「なんで?」
「チュッてされるとドキドキッてする、から……すき。 ベロ入りはエッチな気分になるんだよ。 そ、その……なので、外であんま、ベロチューはしないでほしいな、と……」
「………………」
やられた。
なんの気無しの興味と疑問を投げかけた俺の方が、惚ける羽目になった。
「可愛いかよ」
「いや別に俺、狙って言ってるわけじゃ……ッ」
「分かってる。 天然だから可愛いんだよ。 てか質が悪い」
「んんッ……♡ ん、むぅッ、んッ♡ んッ……♡」
可愛すぎてムカつくんで、押し付けた唇を割ったあと舌を甘噛みしてやった。
ビクビクッと体を震わせた雷の体を抱きしめて、非力な抵抗を受けようが構わず呼吸諸とも奪ってやる。
タオル越しに膨らんだ俺達のチン◯がソワソワしてんぞ。
いつまでキスしてんだって。
でもしょうがねぇじゃん。 コイツの小せぇ舌、めちゃめちゃ美味えんだから。
「ぷは……ッ! 迅、おま……ッ、今俺が言ったこと聞いてた!? 俺はチュッの方が好きって……!」
「聞いてた。 でもここは外じゃねぇし」
「あ……ッ」
「やらしいことしようとしてるし」
「う……ッ」
「エッチな気分になってもらわねぇと、……困るし」
「直耳にイケボはやめぃッ」
「……声はどうしようもねぇよ」
柄にも無く照れ隠しの意味もあったんだ。
好きなヤツから好き好き言われて照れない方がおかしくて、散々俺の予定を狂わせてくるから反撃しようとしたってのに……まさか返り討ちに遭うとは。
……やるな、雷にゃん。
10
あなたにおすすめの小説
もう一度言って欲しいオレと思わず言ってしまったあいつの話する?
藍音
BL
ある日、親友の壮介はおれたちの友情をぶち壊すようなことを言い出したんだ。
なんで?どうして?
そんな二人の出会いから、二人の想いを綴るラブストーリーです。
片想い進行中の方、失恋経験のある方に是非読んでもらいたい、切ないお話です。
勇太と壮介の視点が交互に入れ替わりながら進みます。
お話の重複は可能な限り避けながら、ストーリーは進行していきます。
少しでもお楽しみいただけたら、嬉しいです。
(R4.11.3 全体に手を入れました)
【ちょこっとネタバレ】
番外編にて二人の想いが通じた後日譚を進行中。
BL大賞期間内に番外編も完結予定です。
生まれ変わりは嫌われ者
青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。
「ケイラ…っ!!」
王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。
「グレン……。愛してる。」
「あぁ。俺も愛してるケイラ。」
壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。
━━━━━━━━━━━━━━━
あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。
なのにー、
運命というのは時に残酷なものだ。
俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。
一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。
★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!
告白ごっこ
みなみ ゆうき
BL
ある事情から極力目立たず地味にひっそりと学園生活を送っていた瑠衣(るい)。
ある日偶然に自分をターゲットに告白という名の罰ゲームが行われることを知ってしまう。それを実行することになったのは学園の人気者で同級生の昴流(すばる)。
更に1ヶ月以内に昴流が瑠衣を口説き落とし好きだと言わせることが出来るかということを新しい賭けにしようとしている事に憤りを覚えた瑠衣は一計を案じ、自分の方から先に告白をし、その直後に全てを知っていると種明かしをすることで、早々に馬鹿げたゲームに決着をつけてやろうと考える。しかし、この告白が原因で事態は瑠衣の想定とは違った方向に動きだし……。
テンプレの罰ゲーム告白ものです。
表紙イラストは、かさしま様より描いていただきました!
ムーンライトノベルズでも同時公開。
【完】君に届かない声
未希かずは(Miki)
BL
内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。
ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。
すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。
執着囲い込み☓健気。ハピエンです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる