迅雷上等♡─無欠版─

須藤慎弥

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⑫ツンデレ彼氏が甘々なんですけど

─雷─⑨

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… … …



 死ぬほど眠ぃ。

 仰向けになって薄目で天井を睨んでると、どんどん瞼が重たくなってくる。

 でも眠れねぇ。 夢ン中に落ちらんねぇ。

 なんでって、苦しいからだ。

 計五発抜いても余力がありそうな迅が、疲労コンパイ瀕死寸前の俺を抱き枕にして絞め殺そうとするんだよ。

 可愛いからって。 好きだぞって。

 マジで朝まで寝かせてくれなかった。

 童貞男子なんだからお手柔らかに頼むって、ヤバイと感じた時から散々言ったのに。

 「頼むから今日はカンベンして」って、ガチ懇願で泣き言吐いても許してくれなかった迅は、好きな子ほどイジメたい厄介男子ってことでおけ?

 はぁ、……。


「──迅さんよぉ、鳥が鳴いてる」
「だな」
「外が明るくなってる」
「だな」
「肌寒みぃ。 鳥肌立ってきた」
「暖房の温度上げてくる」


 俺に甘々な迅は、ササッとクイーンベッドをおりてエアコンの温度調節に向かう。

 抱き枕解放。 この隙にみのむしになって布団の中に籠城だ。


「うわッ……!」


 が、しかし。 戻って来た迅から布団を捲られ、コロコロッと引き寄せられてまた抱き枕状態に戻った。

 今度はしっかり足まで絡ませてきて、普段の迅からは考えらんねぇくらいベタベタしてくる末っ子気質な彼ピッピにひたすら戸惑う。

 少しの時間も惜しいとばかりに密着してくるとか、出会った頃のことを思うと豹変と言っていい。


「レイトチェックアウトだからギリギリまで寝てていーよ」
「……なんすか、それ」
「大体午前中チェックアウトのホテルが多いんだけど、ここは十五時までオッケー」
「そうなんだ、じゃあゆっくり寝れるじゃん。 ふぁぁ……」


 半分聞いてなかったけど、まだ六時前だしとりあえず睡眠は取れそうで一安心。

 そうと分かると気が抜けて、あくびが連続三回出た。 目尻に溜まった涙を、こっそり迅のバスローブで拭く。

 いいよな、これくらい。 迅が俺を羽交い締めにしてるせいで動けねぇんだからさ。


「雷にゃんはあくびまで可愛いのな」
「や、やめろッ! お前がそうやっていちいち俺をキュン死に追い込むから寝らんねぇんだよ! ……うぅッ……喉痛てぇ……」
「帰りにのど飴買お。 何味がいい?」
「プリン味に決まってんだろ」
「ん。 それはのど飴じゃねぇけど買ってやる」
「あ……やっぱいい。 あれ舐めたらフェラ思い出しちまう。 てか二度と平気なツラして食えねぇな」
「……それなら大量に買おう」
「なんでだよ!!」


 言ってることがまったく冗談に聞こえねぇ迅さんが、絶好調にご機嫌だ。

 俺の体をたっぷりいじくって、舐めて、揉んで、何も出なくなったフニャちんに話しかけてたんだぞ、あの迅が。

 「お前はこんなもんじゃねぇだろー、まだイケんだろー」って……絶倫性欲モンスターと一緒にするな。

 こちとら舐めくり回されたちくびがヒリついてるし、体中吸い付かれて俺の全身に赤いタトゥーが散らばってるし、ケツ穴はまだ違和感残ってるし、発射アリナシどっちもでイキまくったせいでだるさがハンパねぇし。

 何となくふわふわキュンキュンなエッチを想像してたんだが、とんでもなかった。

 俺だけが意識朦朧としてた最後の風呂シチュまで、あまあま・えちえち・エロエロだった。

 迅の腕に包まれてた俺がチラッと顔を上げると、目から好き好きビームを照射してくるイケメン彼ピッピがすぐそこに。

 終始これなんだぞ。 ドキドキし過ぎて心臓に負担かかりまくりだっての。


「フッ……。 おはよ、雷にゃん」


 おまけに優しい微笑み(王子様仕様)と爽やかな朝の挨拶付き。 「一応言っとく」って、今さら感を打ち消す鮮やかな口頭テク。

 はぁぁ……かっけぇ。

 俺の彼ピッピは常に顔面偏差値がぶっ飛んでる。 だからエッチの最中も、これは冗談抜きでキュン死の危険が何回かあった。

 ただそれも、一時間、二時間、とだんだん絶倫黒豹の暴走が止まんなくなってきて、キュン死よりも意識不明の重体説が濃厚になった。

 迅とエッチなことするのは好きだし、ドキドキ楽しくはあるんだけどさ、も少し手加減してくれても良かったんじゃねぇのかなーって、思ったり思わなかったり……。


「……マジでさぁ……朝までヤるヤツが居るかよ。 絶倫性欲モンスターめッ」
「そう言われてもな。 俺も朝チュンは初体験だけど?」
「えッ……?♡」
「なにニヤけてんの。 嬉しいんだ?」
「い、いやッ、そ、そそそそんなことねぇし!! 迅の朝チュン初体験を俺がもらったからって嬉しくなんかねぇし!!」
「へぇ? 俺の朝チュン初体験奪ったのがそんなに嬉しいのか。 愛されてんなぁ、俺」
「なッッ!? あんま調子こいてるとぶん殴るぞ!!」
「どーぞ。 雷にゃんになら、何発殴られようが蹴られようが構わねぇよ」
「え、えぇッ……?♡」
「ブッ……! お前すぐニヤけんのやめろよ。 可愛いヤツ」
「か、かわ……ッッ」
「可愛いから乳首舐めてい?」
「はぁッ!? もうダメ!! これ以上舐められたらガチでちくび取れる!! てか迅は舐めるだけじゃねぇから怖えんだよッ。 か、噛んだりつまんだりッ、レロレロってしたりさ! つまりお前の口はエロいッ!」
「プッ……あはは……っ」


 何が〝つまり〟だよ、と迅さん。

 素敵なイケボと微笑みで愉快そうに笑ってらっしゃる。

 俺はちくびがポロっと取れちまわねぇように必死だっただけなのに、経験値が鬼レベルのヤツには色んな意味で通用しねぇらしい。

 あぁ……。 そんなことより、迅。 お前やっぱイケメンだ。

 そんな優しくて甘々な目で見つめてくっから、俺は眠れねぇんだっつの。

 寝たら迅との時間が減って勿体無ぇって、三大欲求に忠実だった俺が睡眠欲に抗っちまうんだ。

 ……あれ? じゃあこれって〝つまり〟、迅と同じ気持ちってこと? そゆこと?




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