迅雷上等♡─無欠版─

須藤慎弥

文字の大きさ
122 / 223
⑫ツンデレ彼氏が甘々なんですけど

─雷─⑩

しおりを挟む



 昼夜逆転しちまったけど、あのあと迅は俺の頭をなでなでして寝かしつけてくれてたっぷり眠った。

 見てくれから何から似合い過ぎてた迅はともかく、金髪チビヤンキーな俺には全然相応しくねぇゴージャスなホテルでの一日を、エッチして寝てるだけで過ごすなんて贅沢だった。

 恭しく見送りまでされてタクシーに乗って、ガタンゴトンと揺れの激しい電車で見慣れた街に帰ってくると、晩メシ食った薄暗いレストランとかキラキラな夜景とか全部、夢だったんじゃねぇかと思っちまう。

 指一本レッスンの他にも色々経験しちまって、オトナの階段をもう一段のぼった俺はまだ、ふわふわ夢見心地。

 駅前のコンビニで買ってもらったプリン味の棒付きキャンディーを咥えて、スマホをいじってる何気ないツラさえイケてる彼ピッピに寄りかかる。


「…………迅」
「ん?」


 日曜の夕方はそんなに混まねぇらしい快速電車でも、コイツは視線を集めてる。

 隙あらば連絡先を渡してきそうな肉食系女子は居なさそうだけど、迅は俺の彼ピッピなんだからあんまり熱っぽく見ないでほしい。

 刺さってくる視線に耐えらんなくなってきて話しかけると、スマホに落ちてた視線が俺に降ってくる。 プラス、「どした?」ってイケボで囁かれながらの肩組み。

 ふふんっ。 人目を気にしない迅サイコー。

 今なら、ちょっと照れくさくて言えなかった夢見心地のお礼、言えるかも。

 
「あのさ、……ありがと。 ホテルとかレッスンとか、……色々とお世話になりました」
「いえいえ」
「あと、何回もカラダ洗ってくれてありがと。 めんどくさかっただろ?」
「俺が汚したんだから当然じゃん?」
「うッ……! そ、そりゃそう、なんだけど……」
「腹トントン、気持ち良かったろ?」
「きッ!? き、きき気持ち良かっ……ッッ……」


 それはこんな場所でしていい話じゃねぇだろッ?

 てか思い出させるなよッ。 記憶に新しい精液まみれだったえちえちな時間が、急に頭ン中によみがってくんじゃん。


「あ、あれはっ……し、しんどかった。 精液出さねぇでイくのはマジで体力持ってかれる。 ……新事実発覚、新体験って感じ」


 小声でボソボソ、〝腹トントン〟を思い出して照れる。

 チン○をもみもみされつつ、下腹を柔くポンポンされただけでイった。 かなり時間はかかったけど、迅は俺がイくまでやるつもりだったみたいでしつこかったんだ。

 新感覚の絶頂はちょっとだけ怖かった。

 「素質ありまくりだな」ってニヤニヤしてた迅はカッコよかったが、未体験ゾーンに引きずり込まれた俺はまさかのベッドの上で放尿フェアしちまうんじゃねぇかと気が気じゃなかった。

 まぁそれも、途中から〝どうにでもなれ〟に意識は変わっていったんだけど。


「……でもな、雷にゃん」
「何だよ」
「本番セックスの時は今日の十倍……いや百倍はしんどいかも」
「えぇッッ?」


 迅の野郎……ッ、イケボでエロ発言の耳打ちはやめろって言ってんのにッ。

 しかも内容が内容だ。

 仲良しこよしで肩を組んでる俺達が、周りから一体どんな風に見られてんのかを気にしてた俺の悩みはちっぽけ極まりねぇ。

 とりあえず、味わってたプリン味のキャンディーを口から出して小声で応戦する


「それマジ……? な、……なんでそう言い切れんの……?」
「つながるから」
「ツ、ツナ……ッッ」
「俺は梅が好き」
「おにぎりの具じゃねぇよ! いやッ、てかその……本番はそんなにしんどいのか……? 俺に耐えられるしんどさ?」
「んー……。 俺のことが好きなら耐えられる」
「ンなの答えになってねぇよぉぉ……ッ」
「ん?」
「俺、すでに迅のこと大好きなんだぞッ? 誰にも取られたくねぇって言っただろッ。 浮気したらチン○緑に塗って、一生誰ともエッチ出来なくする罰も決めてんだッ。 俺は迅がいいから、レッスンもがんばった。 迅が喜ぶなら、早くツナがりてぇとも思ってる。 好きな気持ちはモリモリあるけど、それとエッチのしんどさは関係な……ッッ」
「……はいはい。 熱烈な告白ありがと。 また性欲モンスター復活しちまうから、その辺でやめとこうか」
「むぐッ……」


 言ってるうちに白熱してきた俺の口が、迅の手のひらで塞がれる。

 本番エッチの耐久性が、俺の迅への気持ちありきっていうなら、ンなのとっくにクリアしてんだもん。

 こんなとこで黒豹に進化されても困るから黙るけどな?

 好きって気持ちがあれば乗り切れるって聞いたら、ドキワクすんじゃん。

 指一本でヒィヒィ言ってたくせに、単純な俺はそれだけで張り切っちゃうじゃん。


「迅のこと大好きだって素直に言っただけだろ……」
「それがよくねぇんだよ」
「ヘッ!? 意味不……ッ」


 白熱した俺が悪りぃのかよ。

 不満タラタラで唇尖らせると、肩をグイッと抱かれた。 拗ねた俺を宥めるように頭をポンポンされて、一瞬で機嫌が治る。

 迅め……俺を甘やかす術を知ってんな。


「ふぁ……♡」
「なんでトロ顔してんの? 可愛いけど」
「迅がなでなでしてくれんの好きって言ったじゃん~」
「………………」
「次はいつレッスンする?」
「声抑えられるんなら、いつでもどこでも」
「ヒェ……ッ♡」
「何回も言ってるけどな、焦んなくていい。 俺は雷にゃんとこうしてるだけでオキシトシン大量分泌してっから」
「お、おき、おきしん、……? ナニソレ?」
「幸せホルモン。 雷にゃんも出てんじゃねぇの?」
「なんだそのハッピーホルモンってのは! 俺も出てるぞッ♡ たぶんめちゃめちゃ出てるッ♡ ヘヘッ♡」


 くぅぅ……ッ♡ そんなの、俺と居るだけで幸せだって言ってるようなもんじゃん。

 ただ空いてる電車に横並びで座ってるだけ。

 密着してヒソヒソ話してるだけ。

 同じ時間を過ごして、俺たちなりにイチャイチャしてるだけ。

 間違いなく電車は二人それぞれの最寄り駅に向かってる。 知ってる景色が目に飛び込んでくると、迅と離れなきゃなんねぇ時間も迫ってるってことで。

 それがすごく寂しい。

 ほんとはまだまだ、迅とベッドの上でゴロにゃんしてたかった。 迅に頭撫でられてると、余計にそう思う。

 すると迅も、俺と同じタイミングで嬉しいことをぼやいた。


「はぁ、……帰りたくねぇな……」
「……俺も。 迅と居たいよ……なでなでしてもらいながら寝たいよ……」
「……犯すぞ」
「えッ?」
「あんま軽率に可愛いこと言うな。 バカ雷にゃん」
「おいッ、なんで悪口……あッ、ちょっ……耳にチューするなよ……ッ♡ 人に見られ……」
「雷にゃん、好き」


 口付けられた耳を押さえてあたふたする俺に、イケボ囁きで追い打ちをかける甘々彼ピッピ。

 迅を見上げると、俺の鼻に迅の鼻先をあててきた。 ここじゃ口に出来ねぇからって、鼻でキス……。

 いやこれも充分なことしてんだけどな?

 周りに人が居なくなった。 俺と迅だけの空間になった。

 薄いピンク色で覆われた俺たちの間には、オキ何とかっていうハッピーホルモンがぐるぐるしてる。


「……俺も、……好き」


 こんなとこで言わせるなよ、と盛大な照れに見舞われたが、雰囲気とホルモンに負けた。

 くっついた鼻先と間近にある迅の甘々な視線が嬉しくて、恥ずかしくて、どこまでも幸せで。

 このまま一緒に居られたらいいのに。 恋愛ドラマで報われねぇカップルが逃避行する気持ちが、今なら分かる。

 帰りたくねぇな、……迅。







しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

創作BL短編集

さるやま
BL
短編まとめました。 美形×平凡、ヤンデレ、執着・溺愛攻め多め

もう一度言って欲しいオレと思わず言ってしまったあいつの話する?

藍音
BL
ある日、親友の壮介はおれたちの友情をぶち壊すようなことを言い出したんだ。 なんで?どうして? そんな二人の出会いから、二人の想いを綴るラブストーリーです。 片想い進行中の方、失恋経験のある方に是非読んでもらいたい、切ないお話です。 勇太と壮介の視点が交互に入れ替わりながら進みます。 お話の重複は可能な限り避けながら、ストーリーは進行していきます。 少しでもお楽しみいただけたら、嬉しいです。 (R4.11.3 全体に手を入れました) 【ちょこっとネタバレ】 番外編にて二人の想いが通じた後日譚を進行中。 BL大賞期間内に番外編も完結予定です。

生まれ変わりは嫌われ者

青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。 「ケイラ…っ!!」 王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。 「グレン……。愛してる。」 「あぁ。俺も愛してるケイラ。」 壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。 ━━━━━━━━━━━━━━━ あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。 なのにー、 運命というのは時に残酷なものだ。 俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。 一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。 ★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

学校一のイケメンとひとつ屋根の下

おもちDX
BL
高校二年生の瑞は、母親の再婚で連れ子の同級生と家族になるらしい。顔合わせの時、そこにいたのはボソボソと喋る陰気な男の子。しかしよくよく名前を聞いてみれば、学校一のイケメンと名高い逢坂だった! 学校との激しいギャップに驚きつつも距離を縮めようとする瑞だが、逢坂からの印象は最悪なようで……? キラキライケメンなのに家ではジメジメ!?なギャップ男子 × 地味グループ所属の能天気な男の子 立場の全く違う二人が家族となり、やがて特別な感情が芽生えるラブストーリー。 全年齢

ある日、友達とキスをした

Kokonuca.
BL
ゲームで親友とキスをした…のはいいけれど、次の日から親友からの連絡は途切れ、会えた時にはいつも僕がいた場所には違う子がいた

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

処理中です...