迅雷上等♡─無欠版─

須藤慎弥

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⑬クラスマッチ

─迅─⑦

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 チクチクするどころか、威勢がいい。

 妬いてんのか何なのか分かんねぇけど、やっぱコイツは俺の想像の斜め上をいく。

 あんま言いふらす事でも無ぇし、雷に確認取ってたわけでもねぇから言わなかったが、この反応は俺にとっちゃ吉事だ。


「あのさ、めんどくせぇからもう言っちまっていい?」
「何をッッ!?」
「雷にゃんと付き合ってること」
「へッッ!?」
「付き合ってるヤツ居るって言っても信じてもらえねぇから、こう毎日押しかけてくんだと思うんだ。 いっそぶちまけちまおうかな、と」
「お、ぉうッ?」


 ほっぺたを真っ赤にしてキレてた雷が、別の意味で目ン玉ひん剥いた。

 腕を引っ張って抱き寄せると、威勢の良かった唇から戸惑いの言葉がポロポロ溢れる。


「い、いや……ッ、でもそれはほら、こういうゴジセイですしッ? そりゃ俺は嬉しいけどッ? てかまさかヤリチン伝説保持者が雷にゃんに走るとか、それこそ信じてもらえねぇかもだしッ? もしかしたら迅がバカにされたりとか……ッ」
「〝雷にゃん〟って固有名詞だったのか」
「えッッ? コユウメイシって何ッ? 俺は人間だぞッ?」


 「話聞いてた?」と腕の中から見上げられ、俺はつい吹き出してしまった。

 聞いてたに決まってんだろ。 何で急に戸惑いだしたのかが分かる本心を聞けて、どっちかっつーと嬉しかった。

 バカ雷にゃんなりに、俺と付き合ってる事をちゃんと考えてんだと知ったら、ニヤけちまうよ。

 俺だってホントは、さっさと言いふらして回りたかった。

 束バッキー先輩が言うには、俺に話した事は全部事実だったらしいから。 襲われかけて雷の記憶が一部抜け落ちてるってやつな。

 周りを牽制する意味もあって、言ってしまいたかった。 俺はこの辺じゃ負けナシだから。

 華奢で女顔のコイツ見てると、たまによぎるんだよ。

 雷はめちゃめちゃ可愛いから、また襲われちまうんじゃねぇかって。 俺の名前だけで守れるならその方がいいじゃん。


「付き合ってるって暴露っちまうのは反対?」
「い、いや……ッ、反対っつーか……!」
「さっき〝嬉しい〟って言ってたよな。 じゃあ悩む事も無ぇな」
「……迅は、その……いいのかよ……? コユウメイシと付き合ってるとか暴露しちまって……」
「全然いい。 むしろこんなめんどくせぇ思いする前に、早くしとけば良かったって後悔してる」
「……はぅぅ……ッ♡ イケメン……ッッ♡」


 ギュッと抱きしめてやると、分かりやすく照れた雷が身を縮めて悶えた。

 あくまでも、表向きは女避け。 俺も助かるし、雷の身も守れるなら一石二鳥。

 襲われる云々もそうだが、バイトが増えて放課後を共に出来なくなった俺は心配もあった。


「まぁ、公言しちまえば予防線にもなるしな」
「予防……? え、なに……注射……? 俺注射はちょっと……」
「違ぇよ。 予防接種と絡めるな。 てか注射苦手なのによくピアス開けれたな?」
「注射とピアスは全然違うし! 何なんだよ、予防線?って」
「雷にゃんは俺のもんだって言いふらせば、雷にゃんに近付く野郎が居なくなるだろ」
「……それガチで言ってんの?」
「は?」

 ん……? 反応おかしくね?

 結構照れくさい発言したぞ、俺。

 ここはハートマーク付きの変な声で悶えるとこだろ? 何またキレてんの?

 例えるなら〝キュン〟じゃなく、〝ピキッ〟。

 腕の中から見上げてきたそれが、さっきと違った。 立ち上がって息巻くほどではねぇのか、睨みで静かに不満を訴えてくる。


「なんで、俺に近付いてくんのが野郎だけだって決めつけるんだ」
「え、はっ? そこ? そこ重要?」
「聞き捨てなんねぇもん。 俺はたしかにカッコいいプリチーボーイかもしんねぇよ? 女と間違えられてナンパされんのも、珍しくはねぇし慣れてっけどさ。 〝雷にゃん〟みたいのが好きっていうお姉さんも居るかもじゃん?」
「……そりゃそうだけど」


 矛盾だらけな事言ってんの、気付いてねぇのかコイツは。

 悪いが俺も不機嫌スイッチ入った。

 せっかく気張って〝俺のもん〟発言したのに、雷が妙なとこに食い付いて台無しなんだけど。

 つまり、雷は俺だけじゃ物足んねぇって?

 そういう事? 冗談だよな?


「じゃあ何? 雷にゃんは女からモテたいのか? 合コン行っても全然乗り気じゃなかったお子様が?」
「も、モテたいとかじゃねぇよ!!」
「それなら俺にだけモテたらいいじゃん。 他は必要無ぇだろ。 あんまふざけた事言ってるとお仕置きもんだぞ」
「うッ……!」
「っつー事で、雷にゃん名指しさせてもらうから。 俺は雷にゃんと付き合ってる、雷にゃんは俺のもんだって」


 俺は自分のキャラじゃねぇ事を知りながら、捕まえた雷を力強く抱きしめた。

 体を締め上げられた雷から、「は、はひ……♡」とマヌケな返事が聞こえなかったら、今度は俺が激ギレしてたかもしんねぇ。

 あーあ、……ムカつく。

 ガチでキレたりはしねぇがめちゃめちゃ腹立つ。

 俺はこんなに、雷だけ居ればそれでいいって思ってんのに。 コイツはまだ誰かを思うスペース残ってるって、グサッと突き付けられたみてぇだ。

 ……これだから童貞男子は。

 少しは経験積んでないと欲張りになっちまうもんなのか。

 やっぱヤンチャなネコは閉じ込めとく方が安全か……?って、俺すげぇキモい事考えてるわ。







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