迅雷上等♡─無欠版─

須藤慎弥

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⑯仕返し……!?

─雷─④

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🐾 🐾 🐾



 クラスマッチが終わって、冬休みまでのカウントダウンが始まった。

 今まで何とも思わなかったクリスマスとか、年越しとか、どう過ごそっかなぁって考えるだけで楽しい。

 イケメン甘々彼ピッピは、「雷にゃんの親がOK出してくれんならウチ来いよ。てか冬休みずっと居れば?」だって♡

 夏休みもそんな感じで監視されてたし、俺はそのつもりでいたんだけど。迅の方から言ってくれて嬉しかったのなんの……ッ!

 迅は独占欲がハンパない。

 どこに行くにもついて来たがって、俺が勝手に行動したら不機嫌になり、報告の義務を怠るとブチ切れ迅さんになる。

 別にそういうのが嫌だってわけじゃねぇ。でもそこまで心配されるような行動はしてねぇ! とも言えないんだよなぁ。

 何たって俺は、引っ越し初日で喧嘩を買った男だ。

 〝チビ〟だの〝金髪ダセェ〟だの揶揄われたらすぐピキっちまって、売られた喧嘩は当然のごとく即座に買う。それがヤンキーってもんだ。

 まぁ迅と仲良くなってからは、滅多に声かけらんなくなったけどな。

 〝最近越してきた金髪のちっこいのは、藤堂迅のお気に入り〟なんだ。色々とツッコミどころ満載だが、〝お気に入り〟って言葉で全部帳消しになる。

 そうだッ、俺は藤堂迅のお気に入り……しかも超ラブラブカップルにバージョンアップしたんだぜ!

 元ヤリチンと童貞処女がうまく付き合えるわけねぇって思うだろ?

 ところがどっこい、元ヤリチンの迅は何もかも俺のペースに合わせてくれるベタ甘っぷり。

 俺に夢中だと恥ずかしげもなく言い放つ、彼ピッピの鏡だ。

 だからな、俺は……うろたえたりしねぇ。

 みんな似たような顔の茶髪ギャルに毎日告られる迅を見てたって、心がチクチクしたりしねぇもん。


「藤堂先輩~! 私、ミズキっていいます! エッチしてくださ~い!」


 ……来た。

 放課後、秘密基地から二人で帰ってる途中、大体駅までの間に決まって告られるイケメン迅様。

 タッタッタッ……とアニメみてぇな足音立てて、軽やかに前に回り込んでくるギャルを、迅は冷ややかに見た。


「今日のはダイレクトだな」
「キャーッ! 本物だー! 生の藤堂先輩ヤバッ! イケメン過ぎ!! 吐血しそう!!」
「………………」
「………………」


 クラスマッチで見せた迅の爽やかな一面に、とっつきやすくなったと勘違いしたギャル達が、立て続けにやって来ること四日目。

 間近で見る迅のイケメン具合に騒いで(気持ちは分かる)、セフレ願望を打ち明けるとはすげぇガッツだ。

 初日はさすがの俺も心がチクチクした。

 モテる彼氏の方がいいじゃんってモテてる張本人から言われても、何にも納得は出来なかったけどさ……実際に現場を見てると「ムムムッ」となるよ。


「俺付き合ってるヤツ居るからムリ」
「それってぇ、ほんとぉなんですかぁ? セフレ避けに言ってるだけぇ、じゃないんですかぁ?」
「………………」
「………………」


 迅は、〝しつこい輩以外には俺とのことはバラさなくていい〟って言った俺の言葉を、とりあえずは守ってくれてる。

 そう言えたのは、迅が俺に夢中だってのがバッチリしっかり伝わった余裕からだ。

 しっかし、可愛こぶりたいギャルの話し方っつーのはちょっとキモいな。みんな上目遣いを意識しつつ、甘えたような喋り方。

 俺には真似出来ねぇや。

 そんなんだと、迅がまた……。


「お前……歯ある?」
「えっ?」


 ああ……始まった。

 迅のヤツ、相手は自分に好意がある〝女性〟なのにも関わらず、ズバズバと思った事を口にする。

 これのせいで、俺は二日目から心がチクチクしなくなった。


「それか口ン中にねばっこい食いもん入ってんじゃね?」
「えっ……ねばっこい……えっ?」
「女はとりあえず身奇麗にしといた方がいいだろ。歯磨きくらいしろよ。そう思ってんの俺だけじゃねぇと思うけど」
「そんな……っ。私、……ねばっこい……ですか?」
「すげぇ糸引く喋り方するじゃん。夏に食うと栄養満点なやつ」
「…………っ!」


 おいおい……それって納豆とかオクラとかそういうやつ?

 突然「歯があるか」と聞かれたギャルは、当然目を見開いて「えっ?」を連呼した。

 迅はそんなギャルにバイバイも言わずに、俺の背中を押して歩き始める。

 はしゃいでやって来て、いきなりネバネバ系の食いもんに例えられたギャルの気持ちよ……。

 取り残されて気の毒だ。とまで思っちまう俺は、お人好しなのかなー。


「迅……お前に心ってもんは無えのか」
「あるよ。雷にゃんにだけ」
「いやそれはとっってもありがたいんですがね。毎日その迅の毒舌聞いてると、そろそろあの人達がかわいそーになってきたぞ、俺……」
「俺は嘘が吐けねぇの。思ったこと言って何が悪りぃ? てか雷にゃん、食いたいもん決まった? 俺今日給料日だぜ」


 あぁ、そういえばそんな話してたっけ。

 給料日だから豪勢なもん食おうぜってニッコリ微笑んでくれた迅は、毒舌吐きまくった自覚が無え。

 俺にしか優しく出来ねぇとか、俺にしか心を動かされねぇとか、そりゃ嬉しいしハッピーだけど?

 こんなにバッサバッサと告ってくるギャル達を斬撃しまくってたら、いつか仕返しされちまうんじゃ……。


「これが一匹狼の代償か……」


 呟いて迅を見上げると、視線を感じた迅が見返してくる。そんで、頭ナデナデからの肩をギュッ。

 甘々だ……さっきの毒舌野郎どこ行った?

 迅なら、仕返しされても返り討ちにしちまいそうだから、まぁ……俺の心配は無用なんだろうな。




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