迅雷上等♡─無欠版─

須藤慎弥

文字の大きさ
171 / 223
⑰仕返し

─迅─⑨

しおりを挟む



 レッスン後に素股するのはヤバイ。

 ローションとカウパーが混ざって、ドロドロとサラサラの間くらいの謎の液体に仕上がったものが、やたらと滑りを良くしてたんで危うく挿れちまうとこだった。

 グッと腰入れれば挿入出来そうな感覚はあったが、察知した雷から「ダメッ♡」て可愛く拒否られた事でハッとした。

 良かった。あのまま突っ込んでたら流血沙汰になってたぜ。


「──なぁなぁ、迅は生まれてこのかたずーっとリア充じゃん?」


 ヌきっこ大会で甘んじた後、俺たちはコンビニで買ったメシを食って、もっさん達と戯れていた。

 その時ふと雷から、何気ない世間話を持ちかけられる。

 俺は特に何も考えねぇまま、もっさんのモフ毛を専用コームでブラッシングした。


「なんだ、いきなり」
「クリスマスってどう過ごしてた? てかカップル達はどう過ごしてんの?」
「……クリスマス?」


 あぁ、そうか。明日はクリスマス・イブ、明後日はクリスマスだもんな。

 うちの学校は早々に冬休みに入るから、中学ン時と感覚が違う。それに、バイト先のモールでは今月頭からずーっとクリスマス一色にデコられてるし、特別感が無くてうっかりしてた。

 毎年どう過ごしてたか、なんて聞いてどうすんだろ。

 俺は雷の過ごし方の方が気になるんだけど。童貞処女だし、過保護な束バッキー野郎も居たら心配するような事は無さそうだが。


「……雷にゃんは?」
「え~~俺ぇ? 絶対絶対、笑うなよ? 俺はなぁ、毎年母さんとケーキ作ってた」
「ぶふっ……!?」


 ケーキ!? 雷が!? はぁっ!?

 猫を膝に乗っけて呑気にお茶でも飲んでたところに、意外でしかない暴露をされて思わず吹き出してむせた。

 だってこの雷が? ……ケーキ?

 うわ……エロいエプロン姿の雷が、泡立て器片手にキッチンをちょこまか動いてるとこ想像しちまった……。

 可愛い。……勃った。


「おいおい迅さん、汚いなぁ。いくら俺が迅にメロキュンでも、さすがに吹き出したお茶はバッチィぜ」
「いやごめん。雷にゃんがケーキ作ってるとこ想像したんだよ。そしたら……萌えた」
「別に燃えてねぇよ。かき混ぜたり~塗ったり~スポンジケーキ焼き焼きしたり~イチゴ切ってトッピングしたり~? 俺料理は出来ねぇけどケーキだけは作れるんだよなぁ」
「はぁっ? なんだそのとんでもねぇ萌えギャップは」
「だーかーらぁ、燃えてねぇってば。作れるっつっても生クリームのやつだけな? 普通のやつだぞ、普通のやつ」
「いやいや……」


 充分すげぇよ。てかいつものドタバタキャラとのギャップがあり過ぎて、頭がクラクラした。

 俺はそんなにケーキは好きじゃねぇ。

 でも雷が作ってくれたものならワンホールいける気がする。出来れば裸エプロンで猫耳カチューシャ希望。

 うっ……可愛い。チン○ビクンッてなった。

 ダメだ、いくら雷でもさっきの今じゃ絶対にその気になってくんねぇよ。

 子猫達によじ登られて嬉しそうにしてる無邪気なネコに、性欲ばっかぶつけてられっか。

 楽しみは深夜に取っとこう。

 とにかく今は世間話だ、世間話。


「ケーキ作れるなんて、知らなかったな」
「誰にも言ったことねぇもん。だーって、恥ずいじゃん。クリスマスは母さんとケーキ作んのが恒例なんだぜ~とかさ」
「分からなくもないけどな……」
「迅はどんなクリスマス過ごしてた? どうせ毎年リア充爆発してたんだろー?」
「………………」


 両肩それぞれに一匹ずつ、もう一匹を頭の上に乗せた猫まみれの雷から恨めしそうな視線を向けられたが、さてどう答えるべきか。

 リア充は爆発していた。

 イブとクリスマス当日の二日間で六人の女を相手にした年もある。

 女はクリスマスって行事に敏感で、やたらと街に出たがんだよな。〝私リア充です〟アピールのためなのか、「もっと彼氏感出して」と無茶を言われた時はキレそうになったっけ。

 雷とならどこにでも行きたいし、何なら俺の方が、手繋いだり肩組んだり頭ヨシヨシしたりキスしたり色々しまくりたいと思ってる。

 そんな風に思ったのは雷だけだからな。って言ったところで、コイツはこんな質問しときながらいざ俺がバカ正直に答えると凹むんだろ。
 
 そんで心臓辺り押さえて下唇出すんだ。

 嫉妬されるのは悪くねぇが、あの可哀想なツラはあんま見たくねぇ。


「……言ったとこでチクチクすんだろ」
「しねぇよ! だって過去じゃん!」
「元祖セフレ達にヤキモチ焼きまくってたヤツがよく言うよ」
「むぅぅーー!! ……ンッ♡」


 ほら、下唇出すんじゃん。

 身を乗り出してその唇を舐めると、雷のツラがキス待ちのそれに変わったんで遠慮なく頂いた。

 俺は雷限定でキス魔だ。甘やかしもする。

 だからそんな下唇出して凹まなくていい。


「雷にゃんにとっては、俺はよろしくねぇクリスマスを過ごしてた。でも今年からは雷にゃんが居るし、最高だよ」
「え……ッ♡」
「あ、そういや俺、クリスマスはラストまでバイト入れられてんだよな。雷にゃんさえ良けりゃ、泊まりたがってたラブホ行くか?」
「ら、らぶッ……! らぶほてるってやつっすか!?」
「そう。社会勉強に行っとくのもアリだろ?」
「うッ……うん、アリかナシかだったらアリかも……! 行ってみたかったし……! 実を言うと俺、入口までは行ったことあんだけど中まで入ったことはねぇ……わぅッ!?」


 聞き捨てならねぇ台詞に、「うんうん、そうだろ」と機嫌良く聞いてた俺の怒りメーターが、瞬時に振り切った。

 雷によじ登った子猫達を一匹ずつ床におろしてやり、カーペットの上に押し倒す。

 ラブホの入口まで行った事がある、……?

 聞いた事ねぇぞ、そんな話。


「は? 何? いつ? 誰と? 初耳なんだけど?」




しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

もう一度言って欲しいオレと思わず言ってしまったあいつの話する?

藍音
BL
ある日、親友の壮介はおれたちの友情をぶち壊すようなことを言い出したんだ。 なんで?どうして? そんな二人の出会いから、二人の想いを綴るラブストーリーです。 片想い進行中の方、失恋経験のある方に是非読んでもらいたい、切ないお話です。 勇太と壮介の視点が交互に入れ替わりながら進みます。 お話の重複は可能な限り避けながら、ストーリーは進行していきます。 少しでもお楽しみいただけたら、嬉しいです。 (R4.11.3 全体に手を入れました) 【ちょこっとネタバレ】 番外編にて二人の想いが通じた後日譚を進行中。 BL大賞期間内に番外編も完結予定です。

創作BL短編集

さるやま
BL
短編まとめました。 美形×平凡、ヤンデレ、執着・溺愛攻め多め

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

生まれ変わりは嫌われ者

青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。 「ケイラ…っ!!」 王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。 「グレン……。愛してる。」 「あぁ。俺も愛してるケイラ。」 壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。 ━━━━━━━━━━━━━━━ あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。 なのにー、 運命というのは時に残酷なものだ。 俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。 一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。 ★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

学校一のイケメンとひとつ屋根の下

おもちDX
BL
高校二年生の瑞は、母親の再婚で連れ子の同級生と家族になるらしい。顔合わせの時、そこにいたのはボソボソと喋る陰気な男の子。しかしよくよく名前を聞いてみれば、学校一のイケメンと名高い逢坂だった! 学校との激しいギャップに驚きつつも距離を縮めようとする瑞だが、逢坂からの印象は最悪なようで……? キラキライケメンなのに家ではジメジメ!?なギャップ男子 × 地味グループ所属の能天気な男の子 立場の全く違う二人が家族となり、やがて特別な感情が芽生えるラブストーリー。 全年齢

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

処理中です...