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猫記念日
─2─
しおりを挟む今は……二十二時半。
この時間に開いてるお店といえば、でっかいペンギンのオブジェがウインクしてる、あそこくらいしかない。
俺は迅の自宅に帰る前にそのペンギンの店に寄って、急ぎ足でもっさん達へのお土産におやつとオモチャをたくさんカゴに入れた。
三匹の子ねこ達(もう子どもじゃないけど)に新しい首輪を……と思ったんだけど、それぞれの色決めは迅がこだわりを持って決定したと言ってたから、俺が勝手に買うのはよくないと思ってやめた。
どうせならこういう買い物だって迅と一緒にしたいもんな。
「~~~~♪」
やたらと店内は明るく、テンションの上がる流行りの曲も流れてて俺は浮かれていた。
お互い仕事してるし、実家住みだし、迅と会えるのは三日か四日に一度だから正直言うと……寂しい。
ヤリチンだった過去がチラついて、たまにムカムカチクチクするけど。
暇さえあれば連絡をくれるマメな迅の事が、毎日好きになる。
どれだけ意地悪言われても、揶揄われてるって分かってても、「雷にゃん来い」ってベッドをパシパシと叩いて呼ばれたら、何もかもどうでもよくなって迅に飛びついちゃうくらいには大好きだ。
だから寂しいと思ってても、不安にはならない。幸せじゃないと感じてる人に分けてあげたいくらい、俺は今めっちゃくちゃシアワセ。
「──ん? これ何だろ」
レジに向かってた俺の目に飛び込んできたのは、アダルトコーナーから堂々と飛び出してる猫の尻尾だった。
でも何か、形がおかしい。
長細い黒猫の尻尾の根元が、何か、何か、……例のヤツみたいでやらしいぞ。
「てか半額シール貼られてんじゃん。お前も迅の家で飼ってもらう?」
尻尾からの返事はもちろん無かった。
今はハロウィン時期でもないし、アダルトコーナー付近の棚に雑に置かれて、ましてや猫のぬいぐるみの尻尾だけ売って半額の値札シール貼るなんて、店員は何考えてんだ。
可哀想じゃん。……しっぽちゃんが。
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