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異世界は三日で見飽きない
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眩しい朝日が、
貢ぎ物の山に乱反射して目を覚ました。
男たちの熱気に囲まれた夜は、息苦しいほどに濃密だった。
そっと彼らの腕をすり抜けて立ち上がり、僕はベランダ代わりに使っている窓辺へと向かう。
そこには、洗って干しておいた僕の学園制服が揺れていた。
この世界に「転移」してきた時、僕は教室で授業を受けていたはずだった。
黒地に青薔薇柄のブレザーを取り込み、膝の上で丁寧に畳む。
「……帰れるのかな、これ」
ぽつりと漏れた独り言は、
朝の空気に溶けて消えた。
異世界に来て、
二度目の夜を無事に越した朝――
あまりに慌ただしく、
生きることに精一杯で、考える余裕もなかった。
けれど、見慣れた制服に指先を触れると、急にしんみりとした孤独が押し寄せてくる。
他の生徒たちもどこかに飛ばされているのだろうか?
それとも、僕だけがこの世界に放り出されたのか。
三人の男たちにも、そして魔族プルプルさんにも、僕が別の世界から来たことは、まだ言えていない。
崇拝されるように、保護されている、今の状況で、僕が「異世界の存在」だと知られたら……どうなるだろう。
幻滅されて、放り出される?
もしそうなれば、僕はまた独りだ。
あるいは、魔族プルプルさんに、
今度こそ「番」として一生繋がれて首輪をされるかもしれない。
(……それは、困るけど)
不思議なことに、初日に感じたような、恐怖はもうなかった。
何より、彼らと離れることを想像すると、胸の奥がキュッと締め付けられるような寂しさを感じていた。
魔族プルプルさんの腕に片手で抱えられていた時のあの絶望感は、いつの間にか理解と安心にすら変わりつつある。
その時、後ろで衣擦れの音がした。
「……おはよう、眠れたか」
振り返ると、まだ夢の残滓を引きずったような顔の三人の彼ら。
巨体を揺らした薄紫肌の魔族プルプルさんが僕を見ていた。
三人が、どこか顔色が悪い。
ひどい悪夢でも見ていたかのように、
その瞳には縋るような影が落ちていた。
「みんな、おはよう。
……なんだか、あんまり眠れなかったみたいだけど……大丈夫?」
僕が心配になって顔を覗き込むと、四人の時が止まった。
自分の不安を棚に上げて、
無意識に彼らの大きな手をそっと包む。
「……今、俺たちを心配してくれたのか?」
グラウスの声が震える。
「大丈夫なわけがないだろう……!
そんな潤んだ瞳で、無防備に案じられては……俺の自制心が、もう保たん……!」
ゼンジが片手で顔を覆いながら、けれどもう片方の手で僕の手首を離さぬよう強く握りしめる。
「……ああ、なんという慈愛。
私は、君のその一言だけで……救われてしまいそうだ……っ」
ディアロスが膝をつき、僕の腰に顔を埋めるようにして抱きついた。
「俺の心臓は今、お前の美しさで破裂しそうだ。
……すぐに番にして、お前を、この胸の中に溶かしてしまいたい……!」
プルプルさんが大きな溜息をつき、その巨体で僕たちを包み込むように影を落とす。
「わっ、ちょっと、みんな、近いよっ!」
帰りたい――
けれど、
これほどまでに真っ直ぐな、
重すぎるほどの、愛を向けてくれる彼らとは離れがたくて……。
朝の光の中で、
僕は四人の熱烈な求愛と、
逃げ場のない幸福感に、
ただ翻弄されるしかなかった。
貢ぎ物の山に乱反射して目を覚ました。
男たちの熱気に囲まれた夜は、息苦しいほどに濃密だった。
そっと彼らの腕をすり抜けて立ち上がり、僕はベランダ代わりに使っている窓辺へと向かう。
そこには、洗って干しておいた僕の学園制服が揺れていた。
この世界に「転移」してきた時、僕は教室で授業を受けていたはずだった。
黒地に青薔薇柄のブレザーを取り込み、膝の上で丁寧に畳む。
「……帰れるのかな、これ」
ぽつりと漏れた独り言は、
朝の空気に溶けて消えた。
異世界に来て、
二度目の夜を無事に越した朝――
あまりに慌ただしく、
生きることに精一杯で、考える余裕もなかった。
けれど、見慣れた制服に指先を触れると、急にしんみりとした孤独が押し寄せてくる。
他の生徒たちもどこかに飛ばされているのだろうか?
それとも、僕だけがこの世界に放り出されたのか。
三人の男たちにも、そして魔族プルプルさんにも、僕が別の世界から来たことは、まだ言えていない。
崇拝されるように、保護されている、今の状況で、僕が「異世界の存在」だと知られたら……どうなるだろう。
幻滅されて、放り出される?
もしそうなれば、僕はまた独りだ。
あるいは、魔族プルプルさんに、
今度こそ「番」として一生繋がれて首輪をされるかもしれない。
(……それは、困るけど)
不思議なことに、初日に感じたような、恐怖はもうなかった。
何より、彼らと離れることを想像すると、胸の奥がキュッと締め付けられるような寂しさを感じていた。
魔族プルプルさんの腕に片手で抱えられていた時のあの絶望感は、いつの間にか理解と安心にすら変わりつつある。
その時、後ろで衣擦れの音がした。
「……おはよう、眠れたか」
振り返ると、まだ夢の残滓を引きずったような顔の三人の彼ら。
巨体を揺らした薄紫肌の魔族プルプルさんが僕を見ていた。
三人が、どこか顔色が悪い。
ひどい悪夢でも見ていたかのように、
その瞳には縋るような影が落ちていた。
「みんな、おはよう。
……なんだか、あんまり眠れなかったみたいだけど……大丈夫?」
僕が心配になって顔を覗き込むと、四人の時が止まった。
自分の不安を棚に上げて、
無意識に彼らの大きな手をそっと包む。
「……今、俺たちを心配してくれたのか?」
グラウスの声が震える。
「大丈夫なわけがないだろう……!
そんな潤んだ瞳で、無防備に案じられては……俺の自制心が、もう保たん……!」
ゼンジが片手で顔を覆いながら、けれどもう片方の手で僕の手首を離さぬよう強く握りしめる。
「……ああ、なんという慈愛。
私は、君のその一言だけで……救われてしまいそうだ……っ」
ディアロスが膝をつき、僕の腰に顔を埋めるようにして抱きついた。
「俺の心臓は今、お前の美しさで破裂しそうだ。
……すぐに番にして、お前を、この胸の中に溶かしてしまいたい……!」
プルプルさんが大きな溜息をつき、その巨体で僕たちを包み込むように影を落とす。
「わっ、ちょっと、みんな、近いよっ!」
帰りたい――
けれど、
これほどまでに真っ直ぐな、
重すぎるほどの、愛を向けてくれる彼らとは離れがたくて……。
朝の光の中で、
僕は四人の熱烈な求愛と、
逃げ場のない幸福感に、
ただ翻弄されるしかなかった。
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