不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。

翼 うみ

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第十一話 桜の邂逅(後) side.和仁

11-5

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* * *

 美桜の通夜と葬儀はしめやかに行われた。
 穏やかに微笑む美桜の遺影を前に参列している組員たち、美桜の友人たちは皆悲しみ、涙を流している。
 まだたったの十八歳だった。

 葬儀が執り行われる中、俺は葬儀場の外で写真を眺めていた。
 俺は染井から通夜も葬儀の参列も拒否された。墓の場所も教えられず、永遠に美桜を弔うことは許されない。

 俺の卒業式の時に撮った唯一の二人での写真を見つめる。
 写真の中で美桜は幸せそうに微笑んでいた。

 俺があんなことを言わなければ、美桜は死なずに済んだ。

 今頃無事に高校を卒業できていたかもしれない。
 友人たちと今も楽しそうに笑っていたのかもしれない。

“人殺し!!”

 泣きながら人殺しと俺を罵る美咲の言葉が頭から離れない。
 外からでも美咲の泣き声は聞こえていた。

 何度も何度も愛する妹の名前を叫び、悲しみに打ちひしがれていた。
 あんなに堂々としていた彼女は、やつれて痩せ細って見えた。

 せめて迎えに行けばよかった。俺のせいで……本当に俺が美桜を殺したようなものだ。

 ポタリと写真に雫が落ちる。

「うっ、美桜……っ」

 しゃがみ込んで一人涙を流し続ける。
 悔やんでも悔やんでも悔やみ切れない。

 どんなに望んでも美桜には二度と会えない。
 もう二度と――。



 美桜の葬儀が終わった後、俺は帰宅せずにそのまま家を出た。
 最早勘当されたも同然だし、今更家には帰れない。

 俺が桜花組を捨てようとしたのは事実なのだから。
 これからどこに行けばいいのだろう。

 美桜を失った今、この先生きていく資格も意味もない。
 いっそのこと、美桜の元に……

「――和仁っ!!」
「峰……?」

 息を切らしながら俺を追いかけてきた峰は、いきなり俺を殴り飛ばした。

「馬鹿なこと考えるなよ!!」
「っ、何を……」
「何年お前の右腕やってると思ってるんだ? お前の考えてることなんかわかってるんだよ!」

 普段は温厚で滅多に声を荒げることはない。
 常に冷静な峰がここまで感情を露わにしたのは、後にも先にもこれが初めてだった。

「……頼む、生きてくれ」
「…………っ」
「生きていてくれるだけでいいから……」
「俺に、生きる資格なんて……」
「和仁がいないと俺が困るんだよ!」
「峰……」

 代々桜花組の幹部であり、実質No.2として長年桜花組を支えてくれているのが峰家だった。
 幼い頃から共に育ち、いつも俺より一歩下がってついてきてくれる。

 常に冷静で穏やかだが、内に熱いものを秘めている峰。
 昔から峰に助けられてきたと同時に峰の人生を縛り付けているのではないかと気がかりだった。

「俺も行く。気が済むまで二人で遠くに行こう」
「なんでお前まで!」
「吉野和仁の右腕は、俺にしかできないだろう?」

 峰はそう言って微笑む。
 いつも俺はお前に支えられてばかりだ。

「……好きにしろ」
「ああ、好きにするよ」

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