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第一章
魔鉱溶融炉②
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翌日、さっそくダナイは師匠であるゴードンにこの設計図を見せた。ゴードンは驚きを隠せず、目を見開いてその設計図を見ていた。
「まさかこんなものが世の中に存在しているとは……良くこんな物を見つけてきたな」
「いやあ、俺の故郷にあった物を思い出して見ただけですよ」
嘘を吐くのが苦手なダナイは、まだ火床に火が入っていない店の中で一人汗をダラダラと流していた。いやあ、今日は暑いですね、とかなんとか言いながら。
「家の中庭に作るのは良いとして、完成までにはかなり時間がかかりそうだな」
「師匠、その心配は要りません。許可をいただければ私が魔法で作り上げますので。あとは必要な魔方陣を作成して組み込めば明日にでも使えるようになるはずです」
「さすがドワーフ、噂通り魔法も使えるのだな。よし、分かった。許可しよう」
「ありがとうございます!」
さっそくダナイ達は中庭へと向かった。そこは以前は資材置き場として使っていたようであり、今では何もない空き地になっていた。ダナイは木の枝で大体の枠組みを地面に描いた。
「本当に大丈夫なのかい?」
ゴードンの奥さんのイザベラが心配そうに聞いてきた。冒険者ではない人達にとって、魔法を見る機会はほとんどなかった。そのため、これからダナイが設備を建設すると聞いても、どこか信じられなかった。
「大丈夫です。問題はありません。それじゃ、行きますよ。ダナイ忍法、土遁、魔鉱溶融炉建設の術!」
かけ声と共に両手を地面につけると、先ほどの枠組みの中に設計図通りの耐火レンガのような物で作られた設備が一瞬でできあがった。
それを見た三人は口を開けてしばらくの間見つめていた。魔法の力ってスゲー! 本当に何でもありだな、と思いつつ、ダナイは気を取り直して師匠に言った。
「あとは魔方陣を組み込めば完成なんですが、今から魔方陣を作りますんで、ちょっと時間がかかります」
「いや、ダナイ。本来ならこれだけの設備を作るだけで、何ヶ月もかかるからね?」
「そこは……魔法ですから!」
イイ笑顔で言ったダナイを何とも言えない表情でゴードン夫妻は見つめた。ダナイは大量の銅板を買い込むと、魔方陣を描く作業に入った。精密な作業の上に、魔方陣の構造はダナイの脳内にしかない。結果、ダナイが一人で作業するしかなかった。
「これだけの魔方陣を使うとなると、かなり魔石が必要になりそうだな」
「できる限り省エネ設計にしてますんで、そこまではないと思います」
「省エネ?」
「ああ、えっと、必要な魔石の量を減らすことができる魔方陣をいくつか組み込むということですよ」
「なるほど。しかし、ダナイは良くそんな魔方陣を知っているな」
「え? い、いや、故郷では良く見かける魔方陣ばかりですよ?」
前世では、至る所で様々な省エネの工夫がなされていた。あながち嘘ではない。作り上げた魔鉱溶融炉はそれなりに大きな設備だったので、大量の魔方陣を組み込むことは容易であった。
こうして鍛冶屋ゴードンの中庭に、今では忘れられた技術であった魔鉱溶融炉が復活を遂げたのであった。
「まさかこんなものが世の中に存在しているとは……良くこんな物を見つけてきたな」
「いやあ、俺の故郷にあった物を思い出して見ただけですよ」
嘘を吐くのが苦手なダナイは、まだ火床に火が入っていない店の中で一人汗をダラダラと流していた。いやあ、今日は暑いですね、とかなんとか言いながら。
「家の中庭に作るのは良いとして、完成までにはかなり時間がかかりそうだな」
「師匠、その心配は要りません。許可をいただければ私が魔法で作り上げますので。あとは必要な魔方陣を作成して組み込めば明日にでも使えるようになるはずです」
「さすがドワーフ、噂通り魔法も使えるのだな。よし、分かった。許可しよう」
「ありがとうございます!」
さっそくダナイ達は中庭へと向かった。そこは以前は資材置き場として使っていたようであり、今では何もない空き地になっていた。ダナイは木の枝で大体の枠組みを地面に描いた。
「本当に大丈夫なのかい?」
ゴードンの奥さんのイザベラが心配そうに聞いてきた。冒険者ではない人達にとって、魔法を見る機会はほとんどなかった。そのため、これからダナイが設備を建設すると聞いても、どこか信じられなかった。
「大丈夫です。問題はありません。それじゃ、行きますよ。ダナイ忍法、土遁、魔鉱溶融炉建設の術!」
かけ声と共に両手を地面につけると、先ほどの枠組みの中に設計図通りの耐火レンガのような物で作られた設備が一瞬でできあがった。
それを見た三人は口を開けてしばらくの間見つめていた。魔法の力ってスゲー! 本当に何でもありだな、と思いつつ、ダナイは気を取り直して師匠に言った。
「あとは魔方陣を組み込めば完成なんですが、今から魔方陣を作りますんで、ちょっと時間がかかります」
「いや、ダナイ。本来ならこれだけの設備を作るだけで、何ヶ月もかかるからね?」
「そこは……魔法ですから!」
イイ笑顔で言ったダナイを何とも言えない表情でゴードン夫妻は見つめた。ダナイは大量の銅板を買い込むと、魔方陣を描く作業に入った。精密な作業の上に、魔方陣の構造はダナイの脳内にしかない。結果、ダナイが一人で作業するしかなかった。
「これだけの魔方陣を使うとなると、かなり魔石が必要になりそうだな」
「できる限り省エネ設計にしてますんで、そこまではないと思います」
「省エネ?」
「ああ、えっと、必要な魔石の量を減らすことができる魔方陣をいくつか組み込むということですよ」
「なるほど。しかし、ダナイは良くそんな魔方陣を知っているな」
「え? い、いや、故郷では良く見かける魔方陣ばかりですよ?」
前世では、至る所で様々な省エネの工夫がなされていた。あながち嘘ではない。作り上げた魔鉱溶融炉はそれなりに大きな設備だったので、大量の魔方陣を組み込むことは容易であった。
こうして鍛冶屋ゴードンの中庭に、今では忘れられた技術であった魔鉱溶融炉が復活を遂げたのであった。
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