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第二章
エルフとドワーフ
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二人並んでイーゴリの街を歩くと、どうも周囲の視線が気になった。魔法の練習でリリアと逢うときはいつも街の外だったので、こうして二人で街の中を歩くのはリリアを肩に乗せて運んだとき以来だった。
大衆浴場を探しながら適当な食事処へと入った。ここでも何だか居心地が悪い視線を感じた。ひょっとして、リリアも同じ視線を感じているのではないだろうか? 見目麗しいエルフのリリアがこんな髭モジャドワーフオヤジと一緒にいたら、それはそんな目を向けられるだろう。
「すまねぇな、リリア。俺のせいで……」
「ん? 何の話?」
目の前に座るリリアは何のことだかサッパリ分からない様子で聞き返してきた。
「ほら、俺と一緒にいるせいで周りから変な目で見られているだろう?」
「ああ、エルフとドワーフが一緒にいるのは珍しいからね。仕方がないわよ」
ダナイはその言葉に首を傾げた。
「どうして珍しいんだ?」
リリアはあきれた様子を隠すこともなく、額に手をやった。はあ、と大きなため息も聞こえた。
「あきれた。本当に何も知らない田舎者なのね。いいこと、エルフとドワーフは犬猿の仲なのよ」
初めて聞くことにダナイは驚いた。そしてこの世界でも犬と猿の仲が悪いことにも驚いた。
「それまたどうして?」
困惑したダナイを前に、言うか、言うまいかを悩んでいるかのように柳眉を曲げてやや考えたのち、リリアはダナイに向き直った。
「いいこと? ダナイは違うけども、ほとんどのドワーフは汚れているのよ。ううん、違うわ。汚いのよ」
初めて聞くドワーフの生態に「そんなバカな」と口を開けた。だが、納得もした。だから風呂に入っているのを見られるといつも白い目を向けられていたのか。
「それでエルフはドワーフを嫌っているのよ。逆にドワーフは私達エルフが生まれながらに持つ美貌に嫉妬してるみたいなのよ。ドワーフ達は否定しているみたいだけどね」
なるほど、リリアの美しさは生まれながらに持っているものなのかと納得した。それにしても犬猿の仲とは。
「それでさっきからジロジロと見られていたのか。納得したぜ」
「ダナイは周りの目を気にしすぎよ。もっとドーンと構えてなさい」
「そんなもんか?」
「そんなもんよ」
そう言ってリリアは朗らかに笑った。種族的には犬猿の仲なのに、こうして差別することなく自分と向き合ってくれるリリアを、本当に良い娘だと心から思った。そして自分の中からムクムクと湧き出すこの感情をどうするべきかと思い悩んだ。そうとも知らず、リリアは上機嫌でお酒を飲んでいた。
食事が終わると、酔い冷ましも兼ねて夜の街を歩いた。大衆浴場も無事に見つかり、風呂に入ってから帰ることにした。しかし、大衆浴場の前まできて、ダナイの足がピタリと止まった。
「どうしたの、ダナイ?」
「いや、さっきの話を聞いたあとだと、どうも中に入る勇気がなくてな」
「気にしなくてもいいと思うけど……」
リリアはダナイの毛並みをモフりながら答えた。
「そんなに気になるなら、家を改築してお風呂を作っちゃう?」
「そいつぁ名案だ! 明日にでもさっそく作るとしよう」
一日一度は風呂に入らないと気が済まないダナイは二つ返事でそう決めた。ダナイは「今日だけは仕方が無いか」と周りの人達に白い目で見られながら風呂を借りた。
大衆浴場を探しながら適当な食事処へと入った。ここでも何だか居心地が悪い視線を感じた。ひょっとして、リリアも同じ視線を感じているのではないだろうか? 見目麗しいエルフのリリアがこんな髭モジャドワーフオヤジと一緒にいたら、それはそんな目を向けられるだろう。
「すまねぇな、リリア。俺のせいで……」
「ん? 何の話?」
目の前に座るリリアは何のことだかサッパリ分からない様子で聞き返してきた。
「ほら、俺と一緒にいるせいで周りから変な目で見られているだろう?」
「ああ、エルフとドワーフが一緒にいるのは珍しいからね。仕方がないわよ」
ダナイはその言葉に首を傾げた。
「どうして珍しいんだ?」
リリアはあきれた様子を隠すこともなく、額に手をやった。はあ、と大きなため息も聞こえた。
「あきれた。本当に何も知らない田舎者なのね。いいこと、エルフとドワーフは犬猿の仲なのよ」
初めて聞くことにダナイは驚いた。そしてこの世界でも犬と猿の仲が悪いことにも驚いた。
「それまたどうして?」
困惑したダナイを前に、言うか、言うまいかを悩んでいるかのように柳眉を曲げてやや考えたのち、リリアはダナイに向き直った。
「いいこと? ダナイは違うけども、ほとんどのドワーフは汚れているのよ。ううん、違うわ。汚いのよ」
初めて聞くドワーフの生態に「そんなバカな」と口を開けた。だが、納得もした。だから風呂に入っているのを見られるといつも白い目を向けられていたのか。
「それでエルフはドワーフを嫌っているのよ。逆にドワーフは私達エルフが生まれながらに持つ美貌に嫉妬してるみたいなのよ。ドワーフ達は否定しているみたいだけどね」
なるほど、リリアの美しさは生まれながらに持っているものなのかと納得した。それにしても犬猿の仲とは。
「それでさっきからジロジロと見られていたのか。納得したぜ」
「ダナイは周りの目を気にしすぎよ。もっとドーンと構えてなさい」
「そんなもんか?」
「そんなもんよ」
そう言ってリリアは朗らかに笑った。種族的には犬猿の仲なのに、こうして差別することなく自分と向き合ってくれるリリアを、本当に良い娘だと心から思った。そして自分の中からムクムクと湧き出すこの感情をどうするべきかと思い悩んだ。そうとも知らず、リリアは上機嫌でお酒を飲んでいた。
食事が終わると、酔い冷ましも兼ねて夜の街を歩いた。大衆浴場も無事に見つかり、風呂に入ってから帰ることにした。しかし、大衆浴場の前まできて、ダナイの足がピタリと止まった。
「どうしたの、ダナイ?」
「いや、さっきの話を聞いたあとだと、どうも中に入る勇気がなくてな」
「気にしなくてもいいと思うけど……」
リリアはダナイの毛並みをモフりながら答えた。
「そんなに気になるなら、家を改築してお風呂を作っちゃう?」
「そいつぁ名案だ! 明日にでもさっそく作るとしよう」
一日一度は風呂に入らないと気が済まないダナイは二つ返事でそう決めた。ダナイは「今日だけは仕方が無いか」と周りの人達に白い目で見られながら風呂を借りた。
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