39 / 137
第二章
流行病
しおりを挟む
アベルとマリアがパーティーメンバーに加わったことでダナイは非常に助かっていた。リリアが二人と共に冒険者ギルドの依頼を受けることができるようになったのだ。
これにより「リリアに構ってあげられない」と言う罪悪感をかなり減らすことができた。もちろん鍛冶屋ゴードンが定休日のときはダナイも一緒に参加している。
そう言った事情もあり、ダナイは伸び伸びと家の作業場に籠もると魔道具の作成に入った。作るのはもちろん例の防音の魔道具である。
防音の魔道具はすでに存在していたが、部屋自体に防音の魔道具を組み込む必要があったため、よほどの重要機密が必要な場所でしか使われていなかった。よって今回は持ち運べるサイズのものを作ることにした。
形は四角の箱形。ボタンを押すと魔方陣が発動し、周囲に音が響かなくなるという代物を作り上げた。
これを二人に渡すと抑えている欲求が爆発してしまうのでは? とも思いはしたが、すでに同じ屋根の下にいるのだ。時間の問題だろうと思い直して夕食のときに渡した。
「これが防音の魔道具だ」
コロン、と目の前に転がされた魔道具を三人が目を点にして見つめている。きっと初めて見る魔道具に困惑しているのだろう。使い方を教えると試してみたいと言い出した。
「それじゃ俺が部屋の中で叫ぶからな。お前達はドアの前で音が本当に聞こえないか耳を澄ましておいてくれ」
部屋の中に入ると、魔道具を起動し大声で何度も叫んだ。ドアの向こうからは何の反応もない。そろそろいいか? と思って外に出ると、案の定、本当に叫んだのかと疑われた。代わる代わる実験したところで「本当に音が聞こえない」と納得し、その場は一件落着となった。
「ダナイ、私達のは?」
「ひょえっ!?」
変な声が出たダナイ。作った防音の魔道具は一つだけだったのだ。そう言えば、そうなのか? と恐る恐るアベルとマリアを見た。アベルは防音の魔道具をジッと見つめており、マリアは何で一つだけなのかと首を傾げていた。
どうやらそうらしいと判断すると「すぐにもう一つ作るから、ちょっとだけ待ってくれ」とリリアに頼み込んだ。何だかすでに尻に敷かれつつあるような気がしたが、あの尻ならいいか、と思い直した。
けだるそうにグッタリとマリアが朝食の席で潰れている。対してアベルは元気な様子で、かいがいしくマリアが朝食を食べるのを手伝っている。昨日はお楽しみだったのかな? と思いつつも、この手のことを話題にするとやぶ蛇になりそうな気がしたので黙っておいた。
リリアもそのことに気がついているようであり、ダナイの耳元に口を近づけて囁いた。
「どうやら今日はダメみたいね。マリアを一人置いて行くわけにもいかないし、二人だけでどこかに出かけましょうか」
「ああ、そうするか」
今日は鍛冶屋ゴードンの定休日。本来ならみんなで連携の確認も兼ねて何か冒険者ギルドで依頼を受けるか、適当にブラブラとグリーンウッドの森で魔物を狩るかのどちらかなのだが、予定を変更してリリアと二人でデートに行くことにした。
「こうやって二人だけで出歩くのは久しぶりだな」
「そう言えばそうかしら? 一緒にいる時間が長くなってきたから、全然気にしてなかったわ。でも、たまにはこんな日も良いわね。マリアには感謝しないとね」
わだかまりが解消されたのか、リリアとマリアは今では本当の姉妹のように仲が良く、一緒に何やらやっていることが多かった。
「随分と仲良くなったものだな。最初はどうなるかと思ったぜ」
「あら、そうかしら? マリアのお目当てがアベルだと分かった時点で、お互い同盟関係よ」
同盟関係……いつからそんな関係になっていたのかは分からないが、色々と情報を共有したり、先のことを計画したりしている感じは以前からあった。女性って怖い、改めてそう思うと思わず苦笑した。
それを見て何かを思い出したのか、リリアがダナイの方に向き直った。何だ? と視線を送る。
「そう言えばマリアが「自分が力不足なんじゃないか」って悩んでいたわ」
「そうか? 弓矢の腕前は大したもんだと思うがな」
「そう言ったんだけど、私には魔法、ダナイはドラゴンスレイヤー、アベルにはあなたが作った剣があるでしょ? 自分には何もないって落ち込んじゃったのよ」
「そんなに気にする必要はないともうけどな」
「私もそう思うわ。でも、もしその立場に自分が立ったら、きっと何とかしなきゃって思うんじゃないかしら? それで、マリアが魔法を教えてくれって言うのよ」
リリアはここで言葉を切った。魔法か。確かにマリアが魔法を使えるようになれば、弓矢以外の攻撃の手段も増え、自信もつくだろう。だがしかし。
「マリアは魔力があるのか?」
「それがね、全くないのよ」
「ダメじゃねぇか」
「そうなんだけど、断り切れなくて……何とかならない?」
ギョッとするダナイ。リリアは自分を何だと思っているのか。ひょっとして、神様か何かだと思っているのではなかろうか? しかし、リリアの頼みを無下に断ることはできなかった。
「分かった。何とかならないか考えておくよ」
「ありがとう。さすがはダナイ!」
ご機嫌でダナイに抱きつくと、髪の毛や髭をモフモフとなで始めた。それがやりたかっただけだろうと思いつつも、悪い感じはしていないダナイ。美人にはトコトン弱かった。
リリアと手を繋いで街を歩く。多くの人がその見慣れないカップルに振り返って二度見したが、それにはもう慣れっこで二人は全く気にしていなかった。しかし、気になることもあった。
「ねえ、ダナイ、何か閉まっている店が多くない?」
「ああ、リリアも気がついたか。やっぱり俺の思い違いじゃないみたいだな」
街には活気があるものの、ポツポツと張り紙をして閉まっている店があった。気になった二人は張り紙を見て回った。ほとんどの張り紙には「病気療養につき、休業中」と書いてあった。
嫌な汗が流れた。この嫌な感じは生前あった状況と同じだ。未知の病気によるパンデミック。店の店主は多くの人と接するため、防疫が未発達だと思われるこの世界では病気をもらう可能性が高かった。
「リリア、帰るぞ」
「え、どうして?」
「ヤバい病気が流行り始めているのかもしれん」
ダナイの真剣な表情に、リリアの美しい顔からサッと血の気が引いた。
二人が感じた前兆はそれほど時を置かずに顕著になっていった。免疫力が弱い小さな子供や老人がまず発症し、それが徐々に大人にも広がっていった。
リリアの情報によるとエルフやドワーフなどの古代から長く生きている種族はそれらの病にはトコトン強いらしい。何せ、幾度となくそれらの病気と戦い、打ち勝って来たのだから。そのため、似たような抗体を持ち合わせている確率が高いのだろう。
そして遂に死者が出始めた。流行病はここイーゴリの街だけでなく、この国全体で起こっているみたいだと冒険者ギルドの職員が教えてくれた。錬金術ギルドではそれらを治療する薬の開発が進められているそうだが、状況は芳しくないようだった。
そして遂にマリアがその流行病に感染した。幸いなことに、師匠のゴードン夫妻は、ダナイが買い物などを代わりに行っていたのでまだ感染していない。しかし、このままでは時間の問題だろうと見ていた。
これ以上、錬金術ギルドが薬を開発するのを待ってはいられない。専門分野ではないが、ダナイは薬を作ることに決めた。大きく息を吐くと、集中力を高め『ワールドマニュアル(門外不出)』で解決策を探った。
「やるしかないか」
これにより「リリアに構ってあげられない」と言う罪悪感をかなり減らすことができた。もちろん鍛冶屋ゴードンが定休日のときはダナイも一緒に参加している。
そう言った事情もあり、ダナイは伸び伸びと家の作業場に籠もると魔道具の作成に入った。作るのはもちろん例の防音の魔道具である。
防音の魔道具はすでに存在していたが、部屋自体に防音の魔道具を組み込む必要があったため、よほどの重要機密が必要な場所でしか使われていなかった。よって今回は持ち運べるサイズのものを作ることにした。
形は四角の箱形。ボタンを押すと魔方陣が発動し、周囲に音が響かなくなるという代物を作り上げた。
これを二人に渡すと抑えている欲求が爆発してしまうのでは? とも思いはしたが、すでに同じ屋根の下にいるのだ。時間の問題だろうと思い直して夕食のときに渡した。
「これが防音の魔道具だ」
コロン、と目の前に転がされた魔道具を三人が目を点にして見つめている。きっと初めて見る魔道具に困惑しているのだろう。使い方を教えると試してみたいと言い出した。
「それじゃ俺が部屋の中で叫ぶからな。お前達はドアの前で音が本当に聞こえないか耳を澄ましておいてくれ」
部屋の中に入ると、魔道具を起動し大声で何度も叫んだ。ドアの向こうからは何の反応もない。そろそろいいか? と思って外に出ると、案の定、本当に叫んだのかと疑われた。代わる代わる実験したところで「本当に音が聞こえない」と納得し、その場は一件落着となった。
「ダナイ、私達のは?」
「ひょえっ!?」
変な声が出たダナイ。作った防音の魔道具は一つだけだったのだ。そう言えば、そうなのか? と恐る恐るアベルとマリアを見た。アベルは防音の魔道具をジッと見つめており、マリアは何で一つだけなのかと首を傾げていた。
どうやらそうらしいと判断すると「すぐにもう一つ作るから、ちょっとだけ待ってくれ」とリリアに頼み込んだ。何だかすでに尻に敷かれつつあるような気がしたが、あの尻ならいいか、と思い直した。
けだるそうにグッタリとマリアが朝食の席で潰れている。対してアベルは元気な様子で、かいがいしくマリアが朝食を食べるのを手伝っている。昨日はお楽しみだったのかな? と思いつつも、この手のことを話題にするとやぶ蛇になりそうな気がしたので黙っておいた。
リリアもそのことに気がついているようであり、ダナイの耳元に口を近づけて囁いた。
「どうやら今日はダメみたいね。マリアを一人置いて行くわけにもいかないし、二人だけでどこかに出かけましょうか」
「ああ、そうするか」
今日は鍛冶屋ゴードンの定休日。本来ならみんなで連携の確認も兼ねて何か冒険者ギルドで依頼を受けるか、適当にブラブラとグリーンウッドの森で魔物を狩るかのどちらかなのだが、予定を変更してリリアと二人でデートに行くことにした。
「こうやって二人だけで出歩くのは久しぶりだな」
「そう言えばそうかしら? 一緒にいる時間が長くなってきたから、全然気にしてなかったわ。でも、たまにはこんな日も良いわね。マリアには感謝しないとね」
わだかまりが解消されたのか、リリアとマリアは今では本当の姉妹のように仲が良く、一緒に何やらやっていることが多かった。
「随分と仲良くなったものだな。最初はどうなるかと思ったぜ」
「あら、そうかしら? マリアのお目当てがアベルだと分かった時点で、お互い同盟関係よ」
同盟関係……いつからそんな関係になっていたのかは分からないが、色々と情報を共有したり、先のことを計画したりしている感じは以前からあった。女性って怖い、改めてそう思うと思わず苦笑した。
それを見て何かを思い出したのか、リリアがダナイの方に向き直った。何だ? と視線を送る。
「そう言えばマリアが「自分が力不足なんじゃないか」って悩んでいたわ」
「そうか? 弓矢の腕前は大したもんだと思うがな」
「そう言ったんだけど、私には魔法、ダナイはドラゴンスレイヤー、アベルにはあなたが作った剣があるでしょ? 自分には何もないって落ち込んじゃったのよ」
「そんなに気にする必要はないともうけどな」
「私もそう思うわ。でも、もしその立場に自分が立ったら、きっと何とかしなきゃって思うんじゃないかしら? それで、マリアが魔法を教えてくれって言うのよ」
リリアはここで言葉を切った。魔法か。確かにマリアが魔法を使えるようになれば、弓矢以外の攻撃の手段も増え、自信もつくだろう。だがしかし。
「マリアは魔力があるのか?」
「それがね、全くないのよ」
「ダメじゃねぇか」
「そうなんだけど、断り切れなくて……何とかならない?」
ギョッとするダナイ。リリアは自分を何だと思っているのか。ひょっとして、神様か何かだと思っているのではなかろうか? しかし、リリアの頼みを無下に断ることはできなかった。
「分かった。何とかならないか考えておくよ」
「ありがとう。さすがはダナイ!」
ご機嫌でダナイに抱きつくと、髪の毛や髭をモフモフとなで始めた。それがやりたかっただけだろうと思いつつも、悪い感じはしていないダナイ。美人にはトコトン弱かった。
リリアと手を繋いで街を歩く。多くの人がその見慣れないカップルに振り返って二度見したが、それにはもう慣れっこで二人は全く気にしていなかった。しかし、気になることもあった。
「ねえ、ダナイ、何か閉まっている店が多くない?」
「ああ、リリアも気がついたか。やっぱり俺の思い違いじゃないみたいだな」
街には活気があるものの、ポツポツと張り紙をして閉まっている店があった。気になった二人は張り紙を見て回った。ほとんどの張り紙には「病気療養につき、休業中」と書いてあった。
嫌な汗が流れた。この嫌な感じは生前あった状況と同じだ。未知の病気によるパンデミック。店の店主は多くの人と接するため、防疫が未発達だと思われるこの世界では病気をもらう可能性が高かった。
「リリア、帰るぞ」
「え、どうして?」
「ヤバい病気が流行り始めているのかもしれん」
ダナイの真剣な表情に、リリアの美しい顔からサッと血の気が引いた。
二人が感じた前兆はそれほど時を置かずに顕著になっていった。免疫力が弱い小さな子供や老人がまず発症し、それが徐々に大人にも広がっていった。
リリアの情報によるとエルフやドワーフなどの古代から長く生きている種族はそれらの病にはトコトン強いらしい。何せ、幾度となくそれらの病気と戦い、打ち勝って来たのだから。そのため、似たような抗体を持ち合わせている確率が高いのだろう。
そして遂に死者が出始めた。流行病はここイーゴリの街だけでなく、この国全体で起こっているみたいだと冒険者ギルドの職員が教えてくれた。錬金術ギルドではそれらを治療する薬の開発が進められているそうだが、状況は芳しくないようだった。
そして遂にマリアがその流行病に感染した。幸いなことに、師匠のゴードン夫妻は、ダナイが買い物などを代わりに行っていたのでまだ感染していない。しかし、このままでは時間の問題だろうと見ていた。
これ以上、錬金術ギルドが薬を開発するのを待ってはいられない。専門分野ではないが、ダナイは薬を作ることに決めた。大きく息を吐くと、集中力を高め『ワールドマニュアル(門外不出)』で解決策を探った。
「やるしかないか」
0
あなたにおすすめの小説
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる