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第二章
魔法銃①
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イーゴリの街での流行病は沈静化し、徐々にいつもの日常に戻りつつあった。体力回復のため安静にしていたマリアも、今ではすっかり元気になり、日課となっている薬草と魔法草の採取にいそしんでいた。
そうして日々の依頼をこなしている間に、アベルとマリアはCランク冒険者へと昇格した。Cランク冒険者になるための条件はギルドマスターから信頼を得ること。ギルドマスターが「この人なら大丈夫」と太鼓判を押した者だけが昇格できる仕組みになっていた。
Cランク冒険者に昇格した二人を祝って、小さなパーティーが開かれた。ようやく同じランクになったことで、四人の間には安心感が漂っていた。
「昇格おめでとう。これで一人前の冒険者ね。ここから先は実績をいくつも上げないと行けないから大変よ」
「ありがとう、リリア。ダナイもリリアもすでにいくつか実績を上げてるから、本当に追いつくのはまだまだ先かな」
照れながらアベルが頭を掻いたが、冒険者として、一つの大きな目標となる地点なので、その顔には安堵の表情が見えた。
「わたしもCランク冒険者になったけど、何だか実感がないかな。わたしにCランク冒険者としての実力があるのか不安だわ。だってわたし、後ろでついて回っているだけだもん」
昇格したのは嬉しいが、どこかに不安が残っているらしいマリア。ギルドマスターの目は老眼かも知れないが節穴ではない。中途半端な冒険者は昇格させないはずだ。現にアベル達よりも先に冒険者になっていながら、未だにDランク冒険者の人もかなりいるのだ。
「大丈夫だよ。ちゃんとアランは見てるさ。俺もマリアは十分にその資格があると思っているよ」
ダナイの言葉にリリアもアベルも同意した。納得が行きかねているのはマリアだけだった。
「ねえ、ダナイ、あの魔力付与ポーションを飲めば、わたしも魔法が使えるようになるの?」
「使えるだろうな。だが効果が低いから、大した魔法は使えないと思うぞ? それに、一回しか使えないだろうな」
「ふーん」
自分が魔法を使うことができる可能に気がついたマリアは、そこに勝機を見出そうとしていたようだ。ダナイの意見に明らかにガッカリとした表情を見せた。
「魔力付与ポーションを飲んでからリリアの魔法のタクトを使えば、わたしも凄い魔法が使えるようになるかも!」
「駄目よマリア。このタクトは貸せないわ」
リリアはピシャリと断った。リリアでさえそのタクトを持て余し気味なのだ。それを魔法が使えない初心者に貸す気になれないのは当然だった。
「ううう、わたしも何か特別な物が欲しいよう」
とうとうマリアがすね始めた。しょうがない子だ、とあきれ顔でリリアとアベルがその様子を見ていた。しかしダナイだけは「確かにそれもそうか」と思っていた。
「マリアは魔法が使いたいのか? それとも得意な弓矢を強化したいのか?」
え? もしかして何か作ってくれるの? という期待を込めたキラキラした目がダナイを見つめた。思った以上に食いついて来たマリアに苦笑しながらも、答えを待った。
「どっちも……とかは贅沢かな?」
ダナイは腕を組んで考えた。魔法が使える弓矢ねぇ。矢の代わりに魔法を発射するとかどうだろうか。それだと弓矢よりも拳銃のようなものの方が弓を引く必要がないから良いかも知れない。方針は決まった。
「分かった。任せておけ」
「ほんと!? やったあ!」
マリアはダナイに抱きついた。マリアの頭をポンポンと撫でると、さて、上手く行くかな? と思考の渦に入った。そんな二人の状況を、リリアとアベルは「まるで親子だな」という温かい目で見ていた。
その日の内にマリア専用の魔法銃の作成に着手した。ベースは昔憧れた44マグナムだ。ごつくて大きくてマリアには似合わないかも知れない。だが、それが良いじゃないかと自分に言い聞かせた。ベレッタも捨て難かったが、浪漫を求めた。
回転式のリボルバーに、それぞれ違う属性の魔法をセットして撃てるようにすると面白いかも知れない。エネルギー源は魔石を使い、グリップの部分に仕込むようにしよう、そうしよう。早くも自分の世界へと没入していた。
これまで培った技術を活かし魔鉱を打った。鉄よりも重くはなるが魔力の通りはこちらの方が良い。重いのならば魔鉱の堅さと柔軟性を活かしてできる限り軽量化すれば何とかなるのではないか?
試行錯誤の末、片手では無理だが、両手で持てばマリアでも使いこなせる重量の魔法銃を作り上げた。魔法の弾を発射したときに、それが錐揉み回転して直進性と貫通力を持つように、ライフリングもバッチリだ。
リボルバーに仕込んだ魔法は、無、火、水、氷、風、土の六つの属性。ハンマーを引くとリボルバーが回転し、属性が変化する仕組みだ。一方向にしか回転しない構造なのがネックだが、それも浪漫だと自分に言い聞かせた。
銃弾の代わりに魔石をグリップの部分にいれる。小さな魔石を適当に突っ込めば良いだけの簡単な仕組みにしてある。これなら弾がなくなって困ることはないだろう。我ながら完璧な出来だ。
そうして日々の依頼をこなしている間に、アベルとマリアはCランク冒険者へと昇格した。Cランク冒険者になるための条件はギルドマスターから信頼を得ること。ギルドマスターが「この人なら大丈夫」と太鼓判を押した者だけが昇格できる仕組みになっていた。
Cランク冒険者に昇格した二人を祝って、小さなパーティーが開かれた。ようやく同じランクになったことで、四人の間には安心感が漂っていた。
「昇格おめでとう。これで一人前の冒険者ね。ここから先は実績をいくつも上げないと行けないから大変よ」
「ありがとう、リリア。ダナイもリリアもすでにいくつか実績を上げてるから、本当に追いつくのはまだまだ先かな」
照れながらアベルが頭を掻いたが、冒険者として、一つの大きな目標となる地点なので、その顔には安堵の表情が見えた。
「わたしもCランク冒険者になったけど、何だか実感がないかな。わたしにCランク冒険者としての実力があるのか不安だわ。だってわたし、後ろでついて回っているだけだもん」
昇格したのは嬉しいが、どこかに不安が残っているらしいマリア。ギルドマスターの目は老眼かも知れないが節穴ではない。中途半端な冒険者は昇格させないはずだ。現にアベル達よりも先に冒険者になっていながら、未だにDランク冒険者の人もかなりいるのだ。
「大丈夫だよ。ちゃんとアランは見てるさ。俺もマリアは十分にその資格があると思っているよ」
ダナイの言葉にリリアもアベルも同意した。納得が行きかねているのはマリアだけだった。
「ねえ、ダナイ、あの魔力付与ポーションを飲めば、わたしも魔法が使えるようになるの?」
「使えるだろうな。だが効果が低いから、大した魔法は使えないと思うぞ? それに、一回しか使えないだろうな」
「ふーん」
自分が魔法を使うことができる可能に気がついたマリアは、そこに勝機を見出そうとしていたようだ。ダナイの意見に明らかにガッカリとした表情を見せた。
「魔力付与ポーションを飲んでからリリアの魔法のタクトを使えば、わたしも凄い魔法が使えるようになるかも!」
「駄目よマリア。このタクトは貸せないわ」
リリアはピシャリと断った。リリアでさえそのタクトを持て余し気味なのだ。それを魔法が使えない初心者に貸す気になれないのは当然だった。
「ううう、わたしも何か特別な物が欲しいよう」
とうとうマリアがすね始めた。しょうがない子だ、とあきれ顔でリリアとアベルがその様子を見ていた。しかしダナイだけは「確かにそれもそうか」と思っていた。
「マリアは魔法が使いたいのか? それとも得意な弓矢を強化したいのか?」
え? もしかして何か作ってくれるの? という期待を込めたキラキラした目がダナイを見つめた。思った以上に食いついて来たマリアに苦笑しながらも、答えを待った。
「どっちも……とかは贅沢かな?」
ダナイは腕を組んで考えた。魔法が使える弓矢ねぇ。矢の代わりに魔法を発射するとかどうだろうか。それだと弓矢よりも拳銃のようなものの方が弓を引く必要がないから良いかも知れない。方針は決まった。
「分かった。任せておけ」
「ほんと!? やったあ!」
マリアはダナイに抱きついた。マリアの頭をポンポンと撫でると、さて、上手く行くかな? と思考の渦に入った。そんな二人の状況を、リリアとアベルは「まるで親子だな」という温かい目で見ていた。
その日の内にマリア専用の魔法銃の作成に着手した。ベースは昔憧れた44マグナムだ。ごつくて大きくてマリアには似合わないかも知れない。だが、それが良いじゃないかと自分に言い聞かせた。ベレッタも捨て難かったが、浪漫を求めた。
回転式のリボルバーに、それぞれ違う属性の魔法をセットして撃てるようにすると面白いかも知れない。エネルギー源は魔石を使い、グリップの部分に仕込むようにしよう、そうしよう。早くも自分の世界へと没入していた。
これまで培った技術を活かし魔鉱を打った。鉄よりも重くはなるが魔力の通りはこちらの方が良い。重いのならば魔鉱の堅さと柔軟性を活かしてできる限り軽量化すれば何とかなるのではないか?
試行錯誤の末、片手では無理だが、両手で持てばマリアでも使いこなせる重量の魔法銃を作り上げた。魔法の弾を発射したときに、それが錐揉み回転して直進性と貫通力を持つように、ライフリングもバッチリだ。
リボルバーに仕込んだ魔法は、無、火、水、氷、風、土の六つの属性。ハンマーを引くとリボルバーが回転し、属性が変化する仕組みだ。一方向にしか回転しない構造なのがネックだが、それも浪漫だと自分に言い聞かせた。
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