伝説の鍛冶屋ダナイ~聖剣を作るように頼まれて転生したらガチムチドワーフでした~

えながゆうき

文字の大きさ
43 / 137
第二章

招待状①

しおりを挟む
 マリアが魔法銃の扱いに慣れるまではそれほど時間はかからなかった。元々弓矢で慣らした目は、獲物が銃に代わっても正しく機能した。アイアンサイトの使い方を教えてからは目に見えて命中率が高まった。

 魔法銃は弓矢よりも遠くの物を正確に狙うことができた。これによりマリアは十分な遠距離火力を手に入れたのであった。

 ご機嫌な様子でマリアが腰につけたホルダーに魔法銃を入れた。

「今日はそろそろ帰ろっか?」

 少し疲れた様子で三人は頷くと帰路へとついた。魔石を売りに冒険者ギルドを訪れると、ギルドマスターのアランに呼び止められた。アランはダナイに一枚の手紙を渡した。

「ライザーク辺境伯からダナイに招待状が来ている。どうも先日の一件でダナイに会いたがっているようだ」

 手紙を受け取ったダナイは嫌そうな顔をした。正直、とても面倒くさい。お偉いさんに会いに行かなければならないかと思うと、早くも憂鬱だった。

「了解しました」
「そんな顔するな。……まあ、分からんこともないがな。失礼な態度さえ取らなければ大丈夫さ、きっと」

 アランの言葉にますます嫌な気分になったダナイだった。


 家に帰ると、リリアがいつ領都ライザークに向かうつもりなのかと聞いてきた。

「リリアは嫌じゃないのか?」
「そんなわけないわよ。とっても名誉なことじゃない。一介の冒険者が辺境伯様に会えるだなんて、そうそうないことなのよ? これはある意味、辺境伯様に認められたと言っても過言ではないわ」

 特に何の気負いもなくさも当然とばかりに話すリリア。もしかして、リリアはどこかの有力な権力者の娘だったりとかするのだろうか。だとしたら、もしリリアと一緒に暮らしていることがバレたら大変なことになるんじゃないだろうか。

 聞きたいが、聞いたら今の関係が崩れるのではないかと思って聞くことはできなかった。心の隅にモヤッとしたものを残しながら、話を続けた。

「アベル達はどうなんだ? 行っても大丈夫か?」

 二人は微妙な顔をした。気持ちはダナイと同じようである。

「大丈夫かどうかと言われたら、留守番しておきたいと言うのが正直なとこだけど、辺境伯様の誘いを断ることはできないからね。行くよ」

 マリアもアベルの意見に同調して頷いた。ええ子やな、と思いながら「すまねぇな」と謝っておいた。

 こうして招待状の誘いを受けて、領都ライザークへと向かうことになった。ゴードンにそのことを話すと「そうだろう、そうだろう」としきりに喜んでいた。自分の愛弟子が評価されたことが嬉しかったのだろう。こちらのことは気にせずに行きなさい、と笑顔で送りだしてくれた。

 ダナイとしては止めて欲しかったのは言うまでもなかった。冒険者ギルドでも、錬金術ギルドでも、魔道具ギルドでも同じような反応だったので、さすがに諦めるしかなかった。

 領都ライザークまでは馬車で移動することになる。イーゴリの街から北に向かって三日ほど進むと目指す場所が見えてくる。四人は乗合馬車のチケットを買うと、馬車が来るのを待った。

「アベルは領都に行ったことはあるのか?」
「もちろんだよ。護衛依頼で何度も行ったことがあるよ。Cランク冒険者に昇格するには護衛依頼をいくつかこなす必要があるからね。あ、ダナイは特殊な昇格をしたから護衛依頼を受けたことがないのか」

 護衛依頼と聞いて、ダナイの顔が引きつった。護衛依頼があると言うことは道中魔物が出るということである。それだけではない。運が悪ければ野盗なんかに遭遇する恐れもあるのかも知れない。

「ああ、護衛依頼は受けたことはないな。難しい依頼なのか?」

 うーん、とアベルは腕を組んだ。

「今のところ難しかったことはないかなぁ。魔物が何回か襲撃してきたことはあったけど、他にも護衛がいたからね。この手の依頼は複数のパーティーが合同で引き受けることが多いんだよ」

 なるほど、単独依頼じゃないのか。それなら大丈夫そうか? だがやはり、肝心なところは聞いておくべきだろう。

「野盗なんがに襲撃されることはないのか?」
「うーん、この辺りでは野盗が出るだなんて話を聞いたことがないから、その心配はないんじゃないかな? 別の場所だけど野盗に襲われることもあるみたいだよ」

 アベルがどこかで聞いた話をしてくれた。しかしそこに恐れなどは感じられなかった。感覚がおかしいのは俺だけなのだろうかと腕を組んだ。さっきから話に耳を傾けていたリリアがダナイの髪をモフモフしながら言った。

「大丈夫よ。もし野盗が現れたら私達に任せてあなたは隠れておきなさい」
「そう言うわけにもなぁ……」
「そんな経験ないんでしょう?」
「まぁな」

 何だかバツが悪くてそっぽを向いた。他のメンバーは特に何も感じるところはないようだった。なんだか情けない気持ちに包まれた。そのときが来たときに躊躇して後れを取らないように、覚悟だけは決めておいた方が良さそうだと理解はした。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

RPGのストーリー開始前に殺されるモブに転生した俺、死亡フラグを回避してラスボス助けたら女主人公が現れてなぜか修羅場になった。

白波 鷹(しらなみ たか)【白波文庫】
ファンタジー
――死亡フラグのあるモブに転生した。なぜか男主人公の姿で。 王国に孤児院の子供達を殺された少女ミュライトがラスボスのRPG『プリテスタファンタジー』。 物語後半でミュライトと主人公は互いに孤児院出身であることが分かり、彼女を倒した主人公がその死を悲しむ絶望的なエンディングからいわゆる「鬱ゲー」と呼ばれているゲームでもある。 そして、そんなゲームの物語開始前にミュライトと同じ孤児院に住んでいた子供に転生したが…その見た目はなぜか男主人公シュウだった。 原作との違いに疑問を抱くものの、このままストーリー通りに進めば、ミュライトと主人公が戦って悲惨なエンディングを迎えてしまう。 彼女が闇落ちしてラスボスになるのを防ぐため、彼女が姉のように慕っていたエリシルの命を救ったり、王国の陰謀から孤児達を守ろうと鍛えていると、やがて男主人公を選んだ場合は登場しないはずの女主人公マフィが現れる。 マフィとミュライトが仲良くなれば戦わずに済む、そう考えて二人と交流していくが― 「―あれ? 君たち、なんか原作と違くない?」 なぜか鉢合わせた二人は彼を取り合って修羅場に。 こうして、モブキャラであるはずのシュウは主人公やラスボス達、果ては原作死亡キャラも助けながらまだ見ぬハッピーエンドを目指していく。 ※他小説投稿サイトにも投稿中

おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)
ファンタジー
どこにでも居るような冴えないおっさん、山田 太郎(独身)は、かつてやり込んでいたファンタジーシミュレーションRPGの世界に転生する運びとなった。しかし、ゲーム序盤で倒される山賊の下っ端キャラだった。女神様から貰ったスキルと、かつてやり込んでいたゲーム知識を使って、生き延びようと決心するおっさん。はたして、モンスター蔓延る異世界で生き延びられるだろうか?ザコキャラ奮闘ファンタジーここに開幕。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。 音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、 幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。 魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。 そして再び出会う幼馴染。 彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。 もういい。 密かにやってた支援も打ち切る。 俺以外にも魔道具職人はいるさ。 落ちぶれて行く追放したパーティ。 俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

処理中です...