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第五章
再び大森林へ
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やっぱり家で過ごす時間が一番だな。リリアの手料理を食べながらつくづくそう思った。今ではリリアも大分料理がうまくなっており、今では外食をする必要性を感じられないくらいである。一方のアベルとマリアは……アベルはそこそこ頑張っているのだが、マリアはどうやら無理そうである。
まあ人間、得手不得手はあるからな。そればかりは仕方がない。作りたい人が作ればいいのだ。俺は作りたい人なので問題はない。
そんな感じでリリアの手作り料理に舌鼓を打っていると、話は先ほどのリンクコンテナについての質問になっていた。
「ダナイ、どうしてリンクコンテナなんて作ったの?」
「そりゃ、これから必要になるかも知れないからさ。俺たちはBランク冒険者、そしてもっと上を目指すんだろう? だとしたら、これからはもっと難易度の高い依頼もこなさなきゃならない。そんなときに遠く離れてもお互いの状況が分かるのは便利だと思わないか?」
なるほど、とアベルとマリアが仲良く首を縦に振った。素直でよろしい。
「さすがに二人で受ける依頼には限界があるよ。そのためにも、早めにダナイには復帰して欲しいんだけど、まだ何かやることがあるの?」
アベルはすでに二人だけで受けられる依頼に限界を感じているようだ。Cランクの依頼ならどれも無理なくこなせるであろうが、Bランクの依頼はさすがにそうは行かないらしい。それに、Cランクの依頼をいくらこなしても、Aランクへのランクアップにはつながらないからな。お金は入るけど。
「ちょっと欲しい素材があるんだ。できればそれの入手を優先したいんだけどな」
素材が欲しいのは俺のわがままだ。それが分かっているだけに、どうしてもみんなに後ろめたさを感じてしまう。だが、聖剣作りは俺の使命でもある。リリアにしか言っていないが、二人にも言った方が……いや、まだやめておこう。お調子者のマリアがうっかり口を滑らせそうで怖い。
「どんな素材なの? すぐに手に入りそう?」
どうやらアベルはこちらを優先させてくれるみたいである。優しいな。そしてイケメン。マリアが他の女に取られまいとベッタリとアベルに張り付くのも分かる。
「すまないが、すぐには難しいだろう。だが、どこにその素材があるのかは分かっている。時間さえあれば入手できる、と思う」
煮えたぎらない返事にマリアが眉を寄せた。
「お金が足りないの?」
「いや、そうじゃない。ちょっとした冒険が必要になりそうだ、と言うことさ」
「冒険!」
アベルが食いついてきた。少年はこうゆうの好きだよね。うは、夢がひろがりんぐとか思っているのかも知れない。
「そう。冒険だ。まずは……そうだな。もう一度、大森林に行こうかと思っている」
それを聞いてマリアが首をかしげた。
「何で? ついこの前に行ったばかりじゃない」
マリアの疑問はもっともだ。つい最近そこから帰ってきたばかりだからな。どうするべきか考えていると、リリアが助け船を出してくれた。
「大森林に隠してあるものを取りに行くのよ。この間のときに、お母様から教えてもらったのよ」
「隠してあるもの……もしかして古代エルフの遺産とかがあったりするの?」
「そういうこと。それを内緒で取りに行きたいのよ」
すまないリリア。ウソを言わせてしまって。本当は俺が言うべきことなのだが、エルフでもない俺が大森林のことを詳しく知っていたら、さすがの二人でも怪しむだろう。エルフであるリリアがそう言えば、おそらく疑問は持たないはずだ。
「それなら別に構わないよ。何があるのかは知らないけど、大事なものなんだよね?」
「ああ、そうだ。そいつがなければ欲しい素材が手に入らない」
キッパリと言った。ウソではないし、素材がすべて手に入り、無事に聖剣を作ることができれば、あとは気兼ねなく冒険者ランクアップでも、お金稼ぎでも何でもできる。
「それじゃ、その大事なものを取りに行きましょう。大森林に行くのなら、また野宿生活が続くのよね? そしたら、私の秘密基地もパワーアップさせておかないとね」
マリアがうれしそうに言った。確かにそうだな。これからどれだけ長旅になるか分からない。秘密基地をこの家並みの環境に整えておけば、肉体的疲労も、精神的疲労も随分と軽減されるはずだ。
「おお、そうだったな。任せておいてくれ」
こうして次の目的地は決まった。今日からしばらくは秘密基地の強化に努めなければならないな。
数日後、秘密基地のある程度の設備が整った。風呂とトイレ、寝室にベッドも完備している。キッチンも作りたかったのだが、換気の問題で断念した。食事だけはこれまで通り外にかまどを土魔法で作って行うことにする。個人的にはこっちの方がキャンプみたいで好きだしな。
お風呂は魔法で水を作り出して、使った水はあとで外に捨てるという方式にした。部屋の下にもう一つ部屋を作り、そこに溜めておくシステムだ。
トイレには浄化の魔道具の強化版を設置した。何とこの魔道具、汚物を完全に分解してくれるというとてもクリーンな魔道具なのだ。僅かに残った残渣を定期的に捨てるだけで良いという優れもの。
リリアから「家にもつけて欲しい」と言われたので早速設置しておいた。他にばれると注文が相次ぎそうなので、一応口止めをしておいた。時間の問題かも知れないが。
こうして準備を整えると、俺たちは再び大森林へと向かった。冒険者ギルドや師匠には大森林に薬の素材を取りに行くと言ってある。
これでも俺たちはイーゴリの街で名の知れた冒険者パーティーなのだ。いきなり居なくなるわけには行かなかった。正直、面倒くさいと思うが仕方がないか。
松風に引かれて、俺たちが乗る馬車は快調に道を進んで行った。一度行ったことがある道なだけあって、以前来たときよりも速いペースで進み、すぐに青の森へとたどり着いた。
青の森でベンジャミンに大森林の素材を取りに来たと告げると、特に不審に思われることもなく許可をもらえた。
「ダナイが使う分くらいなら、いくらでも採取してもらっても大丈夫だろう。私から近くの里の者に一声かけておくよ」
「ありがとう、助かるよ。こちらの情勢だが、まだ調査中だ。魔族が出てきたとなれば慎重に調査する必要があるらしい」
ベンジャミンは目をつぶって考え込んだ。エルフはちょっと人族の世界からは離れた立場にあった。そのため、世界情勢については疎いと言っても過言ではないだろう。しかし今回の件で、もっと情報を集める必要があるように思っている様子だった。
「こちらもできる限り情報を集めて、共有するつもりだ。受け入れてもらえそうか?」
「ハッハッハ、もちろんさ。何なら俺たちが請け負ってやるよ」
な? とみんなの方を向くと、力強くうなずいてくれた。それを見たベンジャミンは安心したのか、ため息を小さくついた。
「馬車の面倒はこちらで責任を持って見ておくよ。大森林に入るのだから、馬車は使えないだろう?」
「ああ、そうだな。よろしく頼む」
「大丈夫なのか? ダナイたちが弱いとは思っていないが、それなりに苦労すると思うぞ?」
ベンジャミンは心配そうにしていたが、実はそんなに大変じゃなかったりする。夜は秘密基地に帰るし、疲れたらしばらく籠もっておけばいいのだ。大した問題ではない。
食料もある程度はマジックバッグの中にため込んでいるし、しばらくは快適な生活ができることだろう。
「大丈夫よ。私たちにはこれがあるからね」
そう言ってリリアがマジックバッグを見せた。それで少しは安心したのか、青の森で手に入れることができる食材をいくつか分けてくれた。
一晩ベンジャミンの家に泊めてもらうと、翌日から俺たちは大森林へと踏み込んで行った。
まあ人間、得手不得手はあるからな。そればかりは仕方がない。作りたい人が作ればいいのだ。俺は作りたい人なので問題はない。
そんな感じでリリアの手作り料理に舌鼓を打っていると、話は先ほどのリンクコンテナについての質問になっていた。
「ダナイ、どうしてリンクコンテナなんて作ったの?」
「そりゃ、これから必要になるかも知れないからさ。俺たちはBランク冒険者、そしてもっと上を目指すんだろう? だとしたら、これからはもっと難易度の高い依頼もこなさなきゃならない。そんなときに遠く離れてもお互いの状況が分かるのは便利だと思わないか?」
なるほど、とアベルとマリアが仲良く首を縦に振った。素直でよろしい。
「さすがに二人で受ける依頼には限界があるよ。そのためにも、早めにダナイには復帰して欲しいんだけど、まだ何かやることがあるの?」
アベルはすでに二人だけで受けられる依頼に限界を感じているようだ。Cランクの依頼ならどれも無理なくこなせるであろうが、Bランクの依頼はさすがにそうは行かないらしい。それに、Cランクの依頼をいくらこなしても、Aランクへのランクアップにはつながらないからな。お金は入るけど。
「ちょっと欲しい素材があるんだ。できればそれの入手を優先したいんだけどな」
素材が欲しいのは俺のわがままだ。それが分かっているだけに、どうしてもみんなに後ろめたさを感じてしまう。だが、聖剣作りは俺の使命でもある。リリアにしか言っていないが、二人にも言った方が……いや、まだやめておこう。お調子者のマリアがうっかり口を滑らせそうで怖い。
「どんな素材なの? すぐに手に入りそう?」
どうやらアベルはこちらを優先させてくれるみたいである。優しいな。そしてイケメン。マリアが他の女に取られまいとベッタリとアベルに張り付くのも分かる。
「すまないが、すぐには難しいだろう。だが、どこにその素材があるのかは分かっている。時間さえあれば入手できる、と思う」
煮えたぎらない返事にマリアが眉を寄せた。
「お金が足りないの?」
「いや、そうじゃない。ちょっとした冒険が必要になりそうだ、と言うことさ」
「冒険!」
アベルが食いついてきた。少年はこうゆうの好きだよね。うは、夢がひろがりんぐとか思っているのかも知れない。
「そう。冒険だ。まずは……そうだな。もう一度、大森林に行こうかと思っている」
それを聞いてマリアが首をかしげた。
「何で? ついこの前に行ったばかりじゃない」
マリアの疑問はもっともだ。つい最近そこから帰ってきたばかりだからな。どうするべきか考えていると、リリアが助け船を出してくれた。
「大森林に隠してあるものを取りに行くのよ。この間のときに、お母様から教えてもらったのよ」
「隠してあるもの……もしかして古代エルフの遺産とかがあったりするの?」
「そういうこと。それを内緒で取りに行きたいのよ」
すまないリリア。ウソを言わせてしまって。本当は俺が言うべきことなのだが、エルフでもない俺が大森林のことを詳しく知っていたら、さすがの二人でも怪しむだろう。エルフであるリリアがそう言えば、おそらく疑問は持たないはずだ。
「それなら別に構わないよ。何があるのかは知らないけど、大事なものなんだよね?」
「ああ、そうだ。そいつがなければ欲しい素材が手に入らない」
キッパリと言った。ウソではないし、素材がすべて手に入り、無事に聖剣を作ることができれば、あとは気兼ねなく冒険者ランクアップでも、お金稼ぎでも何でもできる。
「それじゃ、その大事なものを取りに行きましょう。大森林に行くのなら、また野宿生活が続くのよね? そしたら、私の秘密基地もパワーアップさせておかないとね」
マリアがうれしそうに言った。確かにそうだな。これからどれだけ長旅になるか分からない。秘密基地をこの家並みの環境に整えておけば、肉体的疲労も、精神的疲労も随分と軽減されるはずだ。
「おお、そうだったな。任せておいてくれ」
こうして次の目的地は決まった。今日からしばらくは秘密基地の強化に努めなければならないな。
数日後、秘密基地のある程度の設備が整った。風呂とトイレ、寝室にベッドも完備している。キッチンも作りたかったのだが、換気の問題で断念した。食事だけはこれまで通り外にかまどを土魔法で作って行うことにする。個人的にはこっちの方がキャンプみたいで好きだしな。
お風呂は魔法で水を作り出して、使った水はあとで外に捨てるという方式にした。部屋の下にもう一つ部屋を作り、そこに溜めておくシステムだ。
トイレには浄化の魔道具の強化版を設置した。何とこの魔道具、汚物を完全に分解してくれるというとてもクリーンな魔道具なのだ。僅かに残った残渣を定期的に捨てるだけで良いという優れもの。
リリアから「家にもつけて欲しい」と言われたので早速設置しておいた。他にばれると注文が相次ぎそうなので、一応口止めをしておいた。時間の問題かも知れないが。
こうして準備を整えると、俺たちは再び大森林へと向かった。冒険者ギルドや師匠には大森林に薬の素材を取りに行くと言ってある。
これでも俺たちはイーゴリの街で名の知れた冒険者パーティーなのだ。いきなり居なくなるわけには行かなかった。正直、面倒くさいと思うが仕方がないか。
松風に引かれて、俺たちが乗る馬車は快調に道を進んで行った。一度行ったことがある道なだけあって、以前来たときよりも速いペースで進み、すぐに青の森へとたどり着いた。
青の森でベンジャミンに大森林の素材を取りに来たと告げると、特に不審に思われることもなく許可をもらえた。
「ダナイが使う分くらいなら、いくらでも採取してもらっても大丈夫だろう。私から近くの里の者に一声かけておくよ」
「ありがとう、助かるよ。こちらの情勢だが、まだ調査中だ。魔族が出てきたとなれば慎重に調査する必要があるらしい」
ベンジャミンは目をつぶって考え込んだ。エルフはちょっと人族の世界からは離れた立場にあった。そのため、世界情勢については疎いと言っても過言ではないだろう。しかし今回の件で、もっと情報を集める必要があるように思っている様子だった。
「こちらもできる限り情報を集めて、共有するつもりだ。受け入れてもらえそうか?」
「ハッハッハ、もちろんさ。何なら俺たちが請け負ってやるよ」
な? とみんなの方を向くと、力強くうなずいてくれた。それを見たベンジャミンは安心したのか、ため息を小さくついた。
「馬車の面倒はこちらで責任を持って見ておくよ。大森林に入るのだから、馬車は使えないだろう?」
「ああ、そうだな。よろしく頼む」
「大丈夫なのか? ダナイたちが弱いとは思っていないが、それなりに苦労すると思うぞ?」
ベンジャミンは心配そうにしていたが、実はそんなに大変じゃなかったりする。夜は秘密基地に帰るし、疲れたらしばらく籠もっておけばいいのだ。大した問題ではない。
食料もある程度はマジックバッグの中にため込んでいるし、しばらくは快適な生活ができることだろう。
「大丈夫よ。私たちにはこれがあるからね」
そう言ってリリアがマジックバッグを見せた。それで少しは安心したのか、青の森で手に入れることができる食材をいくつか分けてくれた。
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