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第五章
ゴンさん
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マリアはやっぱりやった。
「ジュラちゃんステッキを使えば自分も魔法が使えるようになるかも知れない」
そう言ってマリアがジュラちゃんステッキを試した。だが、当然ダメだった。それは使う前から分かっていた。宝石の色が変わらなかったのだ。それじゃあ魔法は使えないよな。
落ち込んでいたマリアをジュラが励ましていた。ほほ笑ましい姉妹愛。でもそれでいいのかマリア。
ようやく復活したマリアと、色々な魔法を試してジュラが満足したところでお茶の時間になった。
「王都の北にオリハルコンを探しに行くことには問題ないな?」
だれも反論しない。大丈夫と言うことだろう。
「今度ばかりはオリハルコンを見つけるまでにどのくらいの時間がかかるか分からない。長期戦になる可能性も十分にある。だからのんびり行こうと思っている」
「分かったわ。とりあえず、一週間くらい進むつもりで準備しましょうか」
リリアの言葉に全員がうなずいた。こればかりは仕方がないか。オリハルコンを見つけるセンサー何かがあれば良かったのにな。せめて現物を調べることができれば金属探知機をアップグレードして探索できるようになるのだが。
「そう言えば、王都からずっと北に行くとドワーフの国があったよね?」
「ああ、確かにそんな話を聞いたことがあるよ。国と言うよりかは穴蔵と言っていたけどね」
ほほう。ずっと北に行くとドワーフの国があるのか。どうもアベルの話だと国という体をとっていないようだが、それでもドワーフがいることは間違いないようだ。
ドワーフと言えば武具を作るのが得意だったはず。もしかしたら、オリハルコンのことも何か知っているかも知れない。
「ドワーフか。もしかしたらそこにオリハルコンがあるのかも知れないな。なくても何かのヒントになるようなものがあるかも知れん。一度行ってみるか」
俺の言葉に、俺をのぞく全員が嫌な顔をした。
普通のドワーフはものすごく汚い格好をしている。汚れることには無頓着な種族なのだ。おそらく、そんな集団の中に入り込むことになるのを嫌がったのだろう。ジュラも嫌がっているところを見ると、ジュラもその昔に見たことがあるのだろう。そしてドワーフは昔から汚かったというわけだ。
「いいけど、あまり情報は得られないかもよ。ドワーフはあまり他人とかかわり合わない種族みたいだからね」
それでもリリアは賛成してくれるようだ。残りのメンバーも嫌とは言わなかった。
「ダナイにドワーフのツテはないんだろう?」
「ああ、ないな」
残念ながら、俺は天然物のドワーフじゃなくてな。いきなりこの世界に現れたドワーフだから、つながりどころか、どこにドワーフが住んでいるのかも分からない。
とにかく、行くだけ行ってみるとしよう。無策よりはマシだろう。もしかしたら、師匠に知り合いがいるかも知れない。後で聞いてみよう。
「よし、それじゃ、ひとまずは食料の調達と情報収集だな。アベルとマリアは冒険者ギルドでドワーフの情報を集めておいてくれ。俺は師匠にこの話をして、ツテがないか聞いてみるよ」
「それじゃ、私とジュラで必要なものを調達しておくわ」
「よろしく頼む」
これでとりあえずの方針が決まった。少しでもドワーフの情報が手に入ればラッキー、くらいに思っておこう。上空からの目視で確認できれば良いんだが……穴蔵に籠もられていたら見つけるのは難しいかも知れない。
魔導船に対人センサーでも付いていたら良かったのだが、生憎そのようなものは付いていなかった。残念。
「師匠、ドワーフに知り合いはいませんか?」
「なんじゃい、いきなり。おるにはおるが……もう何年もあってないぞ。縁は切れているかも知れん」
「それでも構いません。紹介してもらえませんか?」
こちらの事情をかいつまんで師匠に話す。聖剣を作ることについてはハッキリとは言わなかった。だが師匠のことだ。オリハルコンの話をしたことで、おそらく俺が聖剣を作ろうとしていることに気がついているだろう。
「そいつとは同じ師匠の元で修行していたんだよ。名前はゴンザレス。ゴンさん、って俺たちは呼んでいたよ」
「師匠のお師さんはドワーフだったんですか?」
「ああ、そうだ。残念なことに、俺が修行中に亡くなってしまったがな」
なるほど。それでこの辺りでは珍しい、魔鉱の加工技術を知っていたのか。となると、あの砥石はお師さんから受け継いだものなのかな?
「なるほど。それで、ゴンさんはどのような人物なのですか?」
「そうだな、私の師匠もそうだったが、ドワーフにしてはきれい好きでな。他のドワーフとはそりが合わなかったらしい。まあ、ダナイほどではなかったがね」
ハッハッハと師匠が笑う。となると、俺は異端中の異端。ドワーフの仲間として見てもらえないかも知れない。幸先がわるいな。
師匠の話によると、ゴンさんは実家に帰ったものの、やはり他の家族とは合わなかったらしい。それで今では、ドワーフたちがいる場所から少し離れたところに住んでいるそうである。大丈夫なのかな? 危険じゃないのか?
俺が心配していると師匠が詳しく教えてくれた。それによると、王都の北には山岳地帯があり、そこでドワーフたちは山に洞窟を掘って暮らしてるらしい。
その辺り一帯は魔物が住み着いた魔境ではなく、この世界では珍しい天然の山だそうである。しかしその山があまりにも険しいため、切り開こうとするものはいなかった。そこにドワーフが住み着いたらしい。
「ではそこに行けばゴンさんに会えるのですね。会ってくれますかね?」
「そうだな、手土産に酒でも持って行けば会ってくれるだろう。あいつはブランデーが好きだったからな。それを持って行くといい」
「何から何までありがとうございます」
「いやいや、構わんよ。ダナイには本当に世話になっておる。それよりも、オリハルコンを精錬できるのか? オリハルコンを精錬する技術はドワーフでも持っておらんぞ。はるか昔にはその製法があったと言う噂があるがね」
どうしよう。でも言うしかないだろうな。
家の工房では設備が足りない。設備を整えようとしたら、さすがに手狭になるだろう。それに、出来上がったオリハルコンの剣を研ぐことができる砥石がない。師匠を頼るしかないのだ。
「師匠、ここだけの話ですが、エルダートレントの薪を使うことで、オリハルコンを精錬できるかも知れません。実際にやってみないと分かりませんが……」
「なに、本当か!?」
師匠は目が飛び出そうなほど驚いたが、すぐに声の音量を下げた。
「なるほど。そう言えばダナイはエルダートレントの木材を大量に所有していたな。それで試してみようかとなったわけだ」
「……はい」
本当は逆である。聖剣を作るためにエルダートレントの木材を集めた。師匠にウソをつくことになる。返事が一瞬遅れた。
「心配はいらん。だれにも言わん。言えばとんでもないことになるだろうからな。エルダートレントの素材は当分入手できないだろう。オリハルコンも簡単には手に入らないだろう」
「はい。それでも……」
聖剣を作ればとんでもないことになるだろう。だがそれでも俺は作らなければならないのだ。それがこの世界での、俺の使命だからな。
「夢があるのう」
「え?」
「実に良い夢だ。ダナイ、大いにやってみるといい。ここで良ければいくらでも使ってくれ。師匠から譲り受けたあの砥石も、その日を待っていることだろう」
「はい。ありがとうございます」
師匠は自分も打ってみたいとは言い出さなかった。エルダートレントの薪がどのくらい必要かも分からない。オリハルコンもどのくらい入手できるかも分からない。それに素材を入手しに行くのは俺たちだ。そのことを気にしているのだろう。
師匠にはいつもお世話になっている。なるべく多くのオリハルコンを持って帰らねば。
「ジュラちゃんステッキを使えば自分も魔法が使えるようになるかも知れない」
そう言ってマリアがジュラちゃんステッキを試した。だが、当然ダメだった。それは使う前から分かっていた。宝石の色が変わらなかったのだ。それじゃあ魔法は使えないよな。
落ち込んでいたマリアをジュラが励ましていた。ほほ笑ましい姉妹愛。でもそれでいいのかマリア。
ようやく復活したマリアと、色々な魔法を試してジュラが満足したところでお茶の時間になった。
「王都の北にオリハルコンを探しに行くことには問題ないな?」
だれも反論しない。大丈夫と言うことだろう。
「今度ばかりはオリハルコンを見つけるまでにどのくらいの時間がかかるか分からない。長期戦になる可能性も十分にある。だからのんびり行こうと思っている」
「分かったわ。とりあえず、一週間くらい進むつもりで準備しましょうか」
リリアの言葉に全員がうなずいた。こればかりは仕方がないか。オリハルコンを見つけるセンサー何かがあれば良かったのにな。せめて現物を調べることができれば金属探知機をアップグレードして探索できるようになるのだが。
「そう言えば、王都からずっと北に行くとドワーフの国があったよね?」
「ああ、確かにそんな話を聞いたことがあるよ。国と言うよりかは穴蔵と言っていたけどね」
ほほう。ずっと北に行くとドワーフの国があるのか。どうもアベルの話だと国という体をとっていないようだが、それでもドワーフがいることは間違いないようだ。
ドワーフと言えば武具を作るのが得意だったはず。もしかしたら、オリハルコンのことも何か知っているかも知れない。
「ドワーフか。もしかしたらそこにオリハルコンがあるのかも知れないな。なくても何かのヒントになるようなものがあるかも知れん。一度行ってみるか」
俺の言葉に、俺をのぞく全員が嫌な顔をした。
普通のドワーフはものすごく汚い格好をしている。汚れることには無頓着な種族なのだ。おそらく、そんな集団の中に入り込むことになるのを嫌がったのだろう。ジュラも嫌がっているところを見ると、ジュラもその昔に見たことがあるのだろう。そしてドワーフは昔から汚かったというわけだ。
「いいけど、あまり情報は得られないかもよ。ドワーフはあまり他人とかかわり合わない種族みたいだからね」
それでもリリアは賛成してくれるようだ。残りのメンバーも嫌とは言わなかった。
「ダナイにドワーフのツテはないんだろう?」
「ああ、ないな」
残念ながら、俺は天然物のドワーフじゃなくてな。いきなりこの世界に現れたドワーフだから、つながりどころか、どこにドワーフが住んでいるのかも分からない。
とにかく、行くだけ行ってみるとしよう。無策よりはマシだろう。もしかしたら、師匠に知り合いがいるかも知れない。後で聞いてみよう。
「よし、それじゃ、ひとまずは食料の調達と情報収集だな。アベルとマリアは冒険者ギルドでドワーフの情報を集めておいてくれ。俺は師匠にこの話をして、ツテがないか聞いてみるよ」
「それじゃ、私とジュラで必要なものを調達しておくわ」
「よろしく頼む」
これでとりあえずの方針が決まった。少しでもドワーフの情報が手に入ればラッキー、くらいに思っておこう。上空からの目視で確認できれば良いんだが……穴蔵に籠もられていたら見つけるのは難しいかも知れない。
魔導船に対人センサーでも付いていたら良かったのだが、生憎そのようなものは付いていなかった。残念。
「師匠、ドワーフに知り合いはいませんか?」
「なんじゃい、いきなり。おるにはおるが……もう何年もあってないぞ。縁は切れているかも知れん」
「それでも構いません。紹介してもらえませんか?」
こちらの事情をかいつまんで師匠に話す。聖剣を作ることについてはハッキリとは言わなかった。だが師匠のことだ。オリハルコンの話をしたことで、おそらく俺が聖剣を作ろうとしていることに気がついているだろう。
「そいつとは同じ師匠の元で修行していたんだよ。名前はゴンザレス。ゴンさん、って俺たちは呼んでいたよ」
「師匠のお師さんはドワーフだったんですか?」
「ああ、そうだ。残念なことに、俺が修行中に亡くなってしまったがな」
なるほど。それでこの辺りでは珍しい、魔鉱の加工技術を知っていたのか。となると、あの砥石はお師さんから受け継いだものなのかな?
「なるほど。それで、ゴンさんはどのような人物なのですか?」
「そうだな、私の師匠もそうだったが、ドワーフにしてはきれい好きでな。他のドワーフとはそりが合わなかったらしい。まあ、ダナイほどではなかったがね」
ハッハッハと師匠が笑う。となると、俺は異端中の異端。ドワーフの仲間として見てもらえないかも知れない。幸先がわるいな。
師匠の話によると、ゴンさんは実家に帰ったものの、やはり他の家族とは合わなかったらしい。それで今では、ドワーフたちがいる場所から少し離れたところに住んでいるそうである。大丈夫なのかな? 危険じゃないのか?
俺が心配していると師匠が詳しく教えてくれた。それによると、王都の北には山岳地帯があり、そこでドワーフたちは山に洞窟を掘って暮らしてるらしい。
その辺り一帯は魔物が住み着いた魔境ではなく、この世界では珍しい天然の山だそうである。しかしその山があまりにも険しいため、切り開こうとするものはいなかった。そこにドワーフが住み着いたらしい。
「ではそこに行けばゴンさんに会えるのですね。会ってくれますかね?」
「そうだな、手土産に酒でも持って行けば会ってくれるだろう。あいつはブランデーが好きだったからな。それを持って行くといい」
「何から何までありがとうございます」
「いやいや、構わんよ。ダナイには本当に世話になっておる。それよりも、オリハルコンを精錬できるのか? オリハルコンを精錬する技術はドワーフでも持っておらんぞ。はるか昔にはその製法があったと言う噂があるがね」
どうしよう。でも言うしかないだろうな。
家の工房では設備が足りない。設備を整えようとしたら、さすがに手狭になるだろう。それに、出来上がったオリハルコンの剣を研ぐことができる砥石がない。師匠を頼るしかないのだ。
「師匠、ここだけの話ですが、エルダートレントの薪を使うことで、オリハルコンを精錬できるかも知れません。実際にやってみないと分かりませんが……」
「なに、本当か!?」
師匠は目が飛び出そうなほど驚いたが、すぐに声の音量を下げた。
「なるほど。そう言えばダナイはエルダートレントの木材を大量に所有していたな。それで試してみようかとなったわけだ」
「……はい」
本当は逆である。聖剣を作るためにエルダートレントの木材を集めた。師匠にウソをつくことになる。返事が一瞬遅れた。
「心配はいらん。だれにも言わん。言えばとんでもないことになるだろうからな。エルダートレントの素材は当分入手できないだろう。オリハルコンも簡単には手に入らないだろう」
「はい。それでも……」
聖剣を作ればとんでもないことになるだろう。だがそれでも俺は作らなければならないのだ。それがこの世界での、俺の使命だからな。
「夢があるのう」
「え?」
「実に良い夢だ。ダナイ、大いにやってみるといい。ここで良ければいくらでも使ってくれ。師匠から譲り受けたあの砥石も、その日を待っていることだろう」
「はい。ありがとうございます」
師匠は自分も打ってみたいとは言い出さなかった。エルダートレントの薪がどのくらい必要かも分からない。オリハルコンもどのくらい入手できるかも分からない。それに素材を入手しに行くのは俺たちだ。そのことを気にしているのだろう。
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