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シロの危機的状況①

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 パメラが買ってきた洋服のすべてを衣装棚に詰め込んだのを確認すると、俺たちは台所へと向かった。いつの間にか日はずいぶんと傾いており、そろそろ夕飯の支度をする時間帯である。

「俺は氷室に食材を取りに行くから、食事を作る準備をしておいてくれ」
「わ、分かりましたわ!」

 声が少し震えている。緊張しているのかな? 無理もないか。よその家で初めて料理を作るのだ。自分の家とは勝手が大きく違うだろう。その場をパメラとシロに任せると氷室へと向かった。

 さて、今日の晩ご飯は何にするかな? パメラの料理の腕前を見る必要があるし、そこまで作るのが難しくないポトフにでもするか。ほぼ煮込むだけだしね。
 飲み物はどうしよう? お酒はやめておいた方がいい気がする。無難な果実ジュースにでもしておくか。
 鶏肉と葉物野菜、果物を回収すると台所に戻った。

「パメラ、夕食はポトフに――な、なんて格好をしてるんだ、パメラ!」
「あれ? ご主人様は知らないのかな? 裸エプロンだよ」
「見れば分かるわ!」

 シロがその目を三日月型に変えて、ニヤニヤとこちらを見ている。パメラは全身を真っ赤にして、エプロンを押さえた状態でモジモジしている。まさか、シロが……? ジロリと目を細めてシロと見る。

「あ、言っとくけど、ボクがけしかけたわけじゃないからね。パメラが自発的に着替えただけだから。何でもこうするとご主人様が喜ぶって、ショップの定員さんに言われたみたいだよ」

 あいつら! なんてことを純情なパメラに教えているんだ。パメラもそれを鵜呑みにするんじゃありません! 思わず顔に手を当ててパメラを見ると、恥ずかしさがピークに達したのかクルリと後ろを向いた。……お尻、丸出しなんですけど。ヤダ、本当に穿いてないわ、この子!

 俺は急いでマントを取り出すとパメラにかぶせた。気の利いたセリフ、気の利いたセリフ……。

「パメラ、すごくいいよ」
「……ありがとうございます」

 小刻みに肩を震わせながら涙目でパメラが言った。違うだろう、俺! そうじゃないだろう! 何とかパメラに服を着てくるように誘導せねばならぬ!

「でもね、パメラ。その格好で料理を作ると、とっても危険だと思うんだ。回復魔法があるとはいえ、パメラのその白くてキレイな肌が傷つくのは見たくない」
「エル様……」
「だからさ、肌の露出が少ない服に着替えようか? パメラと一緒に料理を作りたいから、早く着替えてくるんだ」

 どうだ? 頼む、通じてくれ。この思い、届け!

「分かりましたわ。すぐに着替えてまいりますわ」

 涙をためたパメラの目がゆっくりと細められる。それから弾むような足取りで着替えに戻った。つ、通じた。
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