奴隷の少女がどうやら伯爵令嬢みたいです

えながゆうき

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秘められた力②

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「あとは召喚属性だが、これは魔法を使うことができれば全員が使えるはずだ。ただし、この魔法はちょっと特殊で、たくさん勉強する必要がある」
「そうなのですね。それではその勉強をエル様が教えて下さると?」

 うん、まあ、そうなるよね。使い方によっては危ない魔法なのであまり詳しく教えない方が良いだろう。それならば、パメラの役に立ちそうな便利な召喚獣だけに絞って教えることにしよう。

「そうなるな。パメラは勉強は嫌いか?」
「いいえ、好きですわ。手取り足取り教えて下さいませ」

 このパメラの目は……本気だ! キラキラと星を映したかのように輝いている。本気で手取り足取り教えてもらうつもりだ。別に召喚魔法の勉強では肌と肌が触れ合うようなことはしないんだけどな~。

 その日はパメラが覚えた新しい魔法を体になじませることに集中させた。初級魔法を繰り返し使うことで、無意識の中に魔法を使うことを覚えさせるのだ。そうすることで魔法を発動させるまでの時間も短くなるし、少ない魔力で魔法を使うことができるようになる。

 それなのに、この国の人々はそんな地道な努力をすることが嫌いなのか、それとも学校では習わないのか、数回しか使えない強力な魔法をやたらと使いたがる傾向にある。これでは、いつまでたっても本当の意味で魔法を習得することができないだろう。


 日が暮れる前には家に帰った。食料は買ってあるし買い物に行く必要はないだろう。パメラはもっとやりたそうな感じだったが、しっかり休むことも大事だ。明日まで疲れを残してはいけない。

 居間のテーブルに二人分のお茶の用意をしてゆっくりと飲んだ。甘い香りがするそのお茶は、魔力の回復を助ける効果がある特別なお茶である。もうすぐ夕飯のためお菓子は食べない。安物のティーカップなのだが、パメラは文句一つ言わなかった。

「どうだ、少しは自信がついたか?」
「もちろんです。なんてお礼を申し上げたら良いか。これなら学園に通っていた頃に、白い目を向けられることもありませんでしたわ」

 パメラが視線を落とした。パメラの言う学園とは貴族が通う学園のことだろう。その目的は学問ではなく、人脈を広げたり、婚約者を見つけたりするために通うと聞いている。その当時、使える属性が一つだと思われていたパメラなら、無能、とまでは言われなくとも、格下に見られていたのかも知れない。

 この美貌でこのスタイルなら、同性からの嫉妬はすごかったことだろう。いじめのような扱いを受けていたのかも知れない。間違いなく男性陣からは注目されていたことだろうからね。

 夕食の時間になったので二人で食事を作る。すでにお互いに気を遣うことなく、息もピッタリに料理を作っている様は長年寄り添った夫婦感があるな。
 本日の夕食は鶏の照り焼きである。それにスープとパンを添える。
 食事を食べ始めるとすぐに、明日のことについて話した。

「明日は冒険者ギルドに常時張られている討伐依頼をこなそうと思う。もちろん、パメラの実戦経験を積むためだ。パメラ、魔物を倒したことはあるか?」
「な、ないです」

 緊張した声で答えた。食事のときにする話じゃなかったかな。でも、明日の行動の確認は必要だ。

「それならなおさら実戦経験が必要だな。家で留守番しておくならまだしも、俺についてくると言うのなら、魔物との戦闘は避けられないからね。パメラは冒険者になるつもりはないんだろう?」
「そうですね、さすがに冒険者になるのはちょっと……」

 さすがに伯爵令嬢が冒険者になるのははばかられた模様である。冒険者に登録するときには冒険者ギルドに情報を提供する必要があるからね。それを嫌がったのだろう。名前が知られれば余計な問題に巻き込まれるかも知れない。

 それにしても、パメラはどんな気持ちで俺の所にきたのかな。俺を伯爵家の騎士団長にでもするつもりなのかな? そうなると、俺の仕事は領地に出没した魔物を倒しに行くのが仕事になるのかな? 退屈しそう。
 一度聞いてみたいが、これ以上、食事がまずくなる話はやめよう。その後はとりとめのない話をして食事が終わった。
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