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13 とろとろに煮込んだスジ肉のお好み焼きと、トンテキ定食と、ホッケの開き定食
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ムキ君とジュシちゃんが、試験を受けたら合格するレベルに実技も知識も得た頃には、私と一緒にいるふたりは学園内でお似合いの恋人同士だという認識になった。
ムキ君は、王子とはいえ末席の側室腹だし、ジュシちゃんは強力な炎の使い手だけど平民だから。ふたりが一緒になって、王家を支えるのがいいと、学生だけでなく保護者まで囁き合っているそうな。
放課後は必ずと言っていいほど、ふたりで楽しそうに教室を出ていってふたりっきりでデートをし、ムキ王子が明るくなりますます仲が良さそうに話をして笑っている。しかも、お揃いのアイテムも持っていて、これは婚約秒読み段階だと言われていた。
実際は、放課後は漏れなく私のところに来て3人で過ごしていた。
彼が明るくなったのは、あの日から酷いいじめを受けなくなったから。
いじめ以外にも、ここに来る他にも理由がありそうだけど、短い休憩時間では拗らせ青少年殿下や愉快なモブたちも、ムキ君をいじめる時間がない。つまり、いつもいじめていた放課後になると、ムキ君は私の元にやってくるから、彼にとっては、いじめられない最高の場所なのだ。そりゃ、明るくもなるだろう。
一度、私が天井裏で作業をしている時に、キャブタ王子以外の青少年たちが彼をいじめに来たことがあった。らしい。私は天井裏で、暑い中ネズミがかじったケーブルの入れ替えをしていたので見ていなかった。
ジュシちゃんによると、王子以外にはムキ君も反撃できる。しかも、私が危険な作業をしているから、「工事現場ではご安全に!」という叫びと共に、あっという間に彼らをやっつけて追い払ったらしい。
それから、彼らは王子にこっぴどく叱られたようだ。ジュシちゃんの前だったし、扱いが難しい身分の私のこともあるからかな。工事中のことはあまり考えてなかったけれど、あとで学園長に呼び出されて、キャブタ王子本人から、二度と私の前には彼らの姿を現させないと約束してくれたので、それをきっかけにいじめがなくなれば良し。
あと、お揃いのアイテムなのだが、私が日ごろの感謝を込めて、電工セットをあげただけ。私も使っているもので、間違いのないHYOZANの合格セット工具だから、ふたりお揃いというよりも、私たち三人のお揃いなんだけど。
そんなことを知らないキャブタ王子たちは、ムキ君とジュシちゃんの仲を誤解して、彼女を諦めているようだ。
流石にかわいそうだと思い、真実を伝えるべきか、このまま誤解させるべきかちょびっと悩んだ。でも、キャブタ王子には婚約者もいるし、何かと色々メンドクサイので、黙っておこうと口を結んだのだった。青少年の恋愛事情は、卒業してから、存分にやり合って欲しい。うん。
今日の学食は、とろとろに煮込んだスジ肉のお好み焼きと、トンテキ定食と、ホッケの開き定食。どれも美味しいので、非常に悩んだ。今日を逃せば、このメニューが再び現れるのは数か月後。それほどここの学食のラインナップが多い。
うーんうーん唸っていると、ムキ君とジュシちゃんがシェアしましょうと言ってくれた。いつもながら、とっても良い子たち。
実は、私たちがシェアしているのを、いつの間にか周囲の学生もマネし始めたのだ。貴族たちは一人分を他人にシェアする考えなど庶民的で馬鹿にしていたんだけど、なんだかんだで色々楽しみたいのは同じだったようだ。確かにお行儀は悪いかもしれないけど、社会人になったら、ナイフの角度、指先の位置まで決められるのだから、学生の頃くらいは、マナーなんて、他人を不快にしすぎなければ、ちょっとくらいハメ外してもいいと思う。
因みに、学園長に彼らの内申点の加点のことを話したら、二つ返事でOKが出た。言ってみれば、電設の工事は汚れ作業だし危険だから、誰もしたがらない。絶縁体質の私ですら、感電など以外で怪我を負うリスクが高いのだから、そのサポートをしているふたりには、ボランティア活動の最高点を約束してくれたのである。
そんなこんなで平和に過ごしていたのだが、短期間の交換留学生が来ることになり、私たちの平穏が崩れ去ったのである。
ムキ君は、王子とはいえ末席の側室腹だし、ジュシちゃんは強力な炎の使い手だけど平民だから。ふたりが一緒になって、王家を支えるのがいいと、学生だけでなく保護者まで囁き合っているそうな。
放課後は必ずと言っていいほど、ふたりで楽しそうに教室を出ていってふたりっきりでデートをし、ムキ王子が明るくなりますます仲が良さそうに話をして笑っている。しかも、お揃いのアイテムも持っていて、これは婚約秒読み段階だと言われていた。
実際は、放課後は漏れなく私のところに来て3人で過ごしていた。
彼が明るくなったのは、あの日から酷いいじめを受けなくなったから。
いじめ以外にも、ここに来る他にも理由がありそうだけど、短い休憩時間では拗らせ青少年殿下や愉快なモブたちも、ムキ君をいじめる時間がない。つまり、いつもいじめていた放課後になると、ムキ君は私の元にやってくるから、彼にとっては、いじめられない最高の場所なのだ。そりゃ、明るくもなるだろう。
一度、私が天井裏で作業をしている時に、キャブタ王子以外の青少年たちが彼をいじめに来たことがあった。らしい。私は天井裏で、暑い中ネズミがかじったケーブルの入れ替えをしていたので見ていなかった。
ジュシちゃんによると、王子以外にはムキ君も反撃できる。しかも、私が危険な作業をしているから、「工事現場ではご安全に!」という叫びと共に、あっという間に彼らをやっつけて追い払ったらしい。
それから、彼らは王子にこっぴどく叱られたようだ。ジュシちゃんの前だったし、扱いが難しい身分の私のこともあるからかな。工事中のことはあまり考えてなかったけれど、あとで学園長に呼び出されて、キャブタ王子本人から、二度と私の前には彼らの姿を現させないと約束してくれたので、それをきっかけにいじめがなくなれば良し。
あと、お揃いのアイテムなのだが、私が日ごろの感謝を込めて、電工セットをあげただけ。私も使っているもので、間違いのないHYOZANの合格セット工具だから、ふたりお揃いというよりも、私たち三人のお揃いなんだけど。
そんなことを知らないキャブタ王子たちは、ムキ君とジュシちゃんの仲を誤解して、彼女を諦めているようだ。
流石にかわいそうだと思い、真実を伝えるべきか、このまま誤解させるべきかちょびっと悩んだ。でも、キャブタ王子には婚約者もいるし、何かと色々メンドクサイので、黙っておこうと口を結んだのだった。青少年の恋愛事情は、卒業してから、存分にやり合って欲しい。うん。
今日の学食は、とろとろに煮込んだスジ肉のお好み焼きと、トンテキ定食と、ホッケの開き定食。どれも美味しいので、非常に悩んだ。今日を逃せば、このメニューが再び現れるのは数か月後。それほどここの学食のラインナップが多い。
うーんうーん唸っていると、ムキ君とジュシちゃんがシェアしましょうと言ってくれた。いつもながら、とっても良い子たち。
実は、私たちがシェアしているのを、いつの間にか周囲の学生もマネし始めたのだ。貴族たちは一人分を他人にシェアする考えなど庶民的で馬鹿にしていたんだけど、なんだかんだで色々楽しみたいのは同じだったようだ。確かにお行儀は悪いかもしれないけど、社会人になったら、ナイフの角度、指先の位置まで決められるのだから、学生の頃くらいは、マナーなんて、他人を不快にしすぎなければ、ちょっとくらいハメ外してもいいと思う。
因みに、学園長に彼らの内申点の加点のことを話したら、二つ返事でOKが出た。言ってみれば、電設の工事は汚れ作業だし危険だから、誰もしたがらない。絶縁体質の私ですら、感電など以外で怪我を負うリスクが高いのだから、そのサポートをしているふたりには、ボランティア活動の最高点を約束してくれたのである。
そんなこんなで平和に過ごしていたのだが、短期間の交換留学生が来ることになり、私たちの平穏が崩れ去ったのである。
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