完結 R18 絶縁の恥さらし公女は、厄介者の王子様にまとわりつかれる。

にじくす まさしよ

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16 もうバレちゃった

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 私を呼びに来た人について行く。ムキ君はお留守番ということなのでひとりで。

 嫌な予感がする。

 キャブタ王子の執務室に行くと、彼の隣にいたジュシちゃんが心配して私に駆け寄ってきて手を握られた。

「急に呼び出してすまない。学園長から、例の留学生に、カキョウ様がここにいることを気取られたようなんだ。少し前に、本来の黄色の髪を母上に見せたことで、情報があちらにリークしたらしい。情報を漏らした使用人は即刻処罰したが、もうここではカキョウ様を隠せない。実は、留学生から学園長づてで明日にでも、俺に会いたいと伝えられてきた」
「ええっ?」

 おおぅ。もうバレちゃった。

 雷の国も、行方不明の私を探すために有能な人を留学によこしたのだから、遠からずバレるかなとは思っていた。

 いくら情報が漏洩したからといって、雷の国の王族特有である、黄色い髪の毛を見せたのはほんの3日前。こんなに早く突き止めるなんて、雷の国の留学生は思っていたよりも仕事ができる青少年みたい。

 でも、私を連れ戻したところで、雷の国にどんなメリットがあるのだろうか。死んだと発表した私が生きていること自体が邪魔だったり? でも、それだとさっさと始末しておけば良かっただけのこと。ずっと生かされていたこともだけど、今こうして探す理由なんて、さっぱりわからなかった。

「ここから少し離れたトランス宮に、いや、いっそムキと一緒に、王宮が持っている避暑地にでも行ったほうがいいな」
「カキョウさん、私達相手を侮っていたようですね。取り敢えず、彼がこの国から出ていくまで、隠れていてください。ムキ君を護衛代わりにつれていけば大丈夫かと。あとのことは、私とキャブでなんとかしますから」

 
 私が首を傾げて考え事をしているうちに、私よりも切羽詰まったふたりから、今すぐに王宮から出るように詰め寄られる。

 だがしかし。ちょっと待て。聞き捨てならない部分があった。想像していた以上に、ふたりの距離が近いみたいだけど。ニックネーム呼びをするのは、この国では色々、ちゅっちゅどころか、もうちょっと進んだ関係になった証。もしかしたら、赤ちゃんが出来ちゃうような関係になってたり? OH、NO!

「ジュシちゃん。ちょっと今、私とキャブって言った? あの、ふたりの関係は……」

 なんと、今時の青少年は行動が早い。早すぎる。ダメよ、キャブタ王子には婚約者がいるのに。せめて、手を握るくらいまでにしておいてどうぞ。
 まさか、甘酸っぱい青い春くらいの両片思いかと思いきや、なんてこと。もっと積極的に邪魔するべきだっただろうか。 

 自分のことよりも気になるふたりの関係を、ぐるぐる考えていると、肩をガシッと掴まれた。

「よりにもよって、聞くところはそこですか? 私達のことはどうでもいいんです。今すぐ動かなきゃ、カキョウさんは雷の国に連れ戻されるかもしれないんですよ! 私、カキョウさんと離れたくないっ! カキョウさんだって、戻りたくないでしょ?」
「いや、まあ。それは、そうなんだけど……。ちょっと落ち着いて。ね? えっとね、ジュシちゃん、わかってる? キャブタ殿下には婚約者がいるのよ? 引き返すなら傷が浅い今のうちよ? 好きという気持ちが止められなかったのかもしれないけど、このままじゃ、ジュシちゃんの未来はないわ。どうか考え直して」

 このまま、かわいいジュシちゃんが日陰の身になるのも大問題だと思う。

「そんなこと、今はどうでもいいでしょ! さ、早くここから離れましょう!」

 そんなことなんかじゃないって反論したかったけれど、私の返事を聞かずに背中をぐいぐい押されて、さっきまでいたトランス宮まで連れていかれたのだった。

 あれ? だったら執務室に行った意味は? なんて、それこそどうでもいいことを考えながら。



──
 一方そのころ、トランス宮では。

 
「ムキ、いつまで病弱のふりをすればいいのかしら? 昔と違って、元気なんだけど」
「もうちょっと。今いい感じなんだ。母上だって、カキョウさんがお嫁さんに来てくれたら嬉しいだろう?」
「そりゃそうだけど、なんだか騙しているようで心苦しいわ」
「騙してないから。母上が病弱だったのは皆知ってるし」
「こんな姑息な手を使わなくても、堂々と告白すればいいのに。困った息子だわ」
「告白して断られたらどうするんだよ。もっとがっちりカキョウさんを捕まえてから、絶対に断られないようにして告白するんだ。母上はもうちょとだけ余命幾ばくもないって感じでお願い」
「はぁ。我が子ながら情けない……」
「父上だって、母上を迎えるために、断れないようにあれこれしたって聞いたけど」
「ええ、そうだったわね。私は、側室なんてなりたくなかったのに、外堀を掘って掘って。あなたは陛下に似たのねぇ……」

 ため息をつく絶世の美女と、順調にカキョウとの仲が深まってるとこぶしを握ってふんっと息を吐く息子の会話が続くのであった。
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