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そのくらいのこと、いちいち気にしていたらやっていけないわよ
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「どうして、こんなこともわからないの? 最近の若い子は、知ってて同然のことまで知らずに大人になったものね。ああ、あなたが悪いんじゃないのよ? これから頑張ってもらえればいいから」
「申し訳ございません」
入社して3日目の私が、右も左もわからない会社の中でも、難しい特殊な作業についてわかっていたら天才だと思います。それから、暗に両親を悪く言わないでください。
「前にも言ったわよね? 指導した通りにすれば、こんなミスは起こらないはずなのに。いい加減、メモくらい取りなさいよ」
「申し訳ございません」
入社して半年、マニュアル通りに作成したものを却下したあなたが、その時々で変えていったマイルール通りにしたものが、全てミスを誘発しているのです。メモは、同じ作業に関するあなたが教えてくれた方法がたくさんあって、どれを見ればいいのかわからない状態になっています。
「もういいわ、あなたに任せた私が悪いのよ。はぁー、ったく、なんだって尻ぬぐいばっかりしなきゃならないのかしら」
「申し訳ございません」
入社1年目の私にその仕事は早いと、80%出来上がっていたものをあなたが取り上げてから最終段階で失敗したものですよね?
毎日のように、主原因が上司のことで嫌味を言われ続けた。女性だったから、暴力やセクハラはなかったけれど、彼女の言葉を聞くことが、会社に行くことが嫌でたまらない。
一緒に頑張ろうねと、笑い励ましあった同僚たちはさっさとやめてしまっている。残っている先輩たちは、社長の身内である彼女から、新人の私を庇うはずがない。それどころか、自分に矛先を向けられるのが嫌だから、あえて私を盾にしているのがわかった。
「ちょっと、清玖。あなた後頭部にハゲが出来てるわよ」
2年目になり、最低評価のボーナスと言う名の寸志を貰った頃、母が突然叫んだ。母から話を持ち掛けられ、心配かけたらだめだと、それまで自分の中に閉じ込めていた気持ちを吐き出す。
「お母さんもお父さんもフルタイムで働いているから、手がかからないからといって清玖のことを気にかけなさすぎたわ。ごめんね。で、具体的には、どんなことが嫌だったの?」
私が告白したことは、昭和の職場を生き抜きたくましくなった母には、ほんの些細なことだった。
「そのくらいのこと、いちいち気にしていたらやっていけないわよ? お母さんが新人の頃は、しょっぱなの質問に答えられなかったら、なにしにきた帰れってどなられたものよ? お父さんの職場だって、あほぼけかすまぬけーって怒号が飛び交うようなところだったし。今は、その当時に比べたら、大分改善されて働きやすくなったと思うんだけど。友達とわいわいはしゃいで飲み会とか旅行とか、ストレス発散を、あー……あなたはしないわね」
ストレス発散の方法なんて、あまりない。私含めて、手にスキルを持たずに就職した友達みんな、生きていくだけでかつかつの給料しかもらっていないから、気軽に歯医者にだって行けない。ましてや、旅行や飲みにいくなんてもってのほか。
せいぜい、オープンワールドRPGで一緒にゲームキャラで遊んで会話するくらいだし、せっかくの楽しい時間に愚痴なんていいたくない。皆頑張っているんだからと、学生時代からの友人にも、本当につらいことを打ち明けることはなかった。
その些細な小さなことが、塵のように徐々に心につもり、吐き出しても胸の中の泉は淀んでしまうのだ。
母は、もっとひどい状況でも耐え抜けたのだろう。私には、母にとって1/10以下のことが、どうしても無理である。こんな私の悩みなんて甘えからくる、バカバカしいものだと理解してくれそうにないと思い口をつぐむ。
「申し訳ございません」
入社して3日目の私が、右も左もわからない会社の中でも、難しい特殊な作業についてわかっていたら天才だと思います。それから、暗に両親を悪く言わないでください。
「前にも言ったわよね? 指導した通りにすれば、こんなミスは起こらないはずなのに。いい加減、メモくらい取りなさいよ」
「申し訳ございません」
入社して半年、マニュアル通りに作成したものを却下したあなたが、その時々で変えていったマイルール通りにしたものが、全てミスを誘発しているのです。メモは、同じ作業に関するあなたが教えてくれた方法がたくさんあって、どれを見ればいいのかわからない状態になっています。
「もういいわ、あなたに任せた私が悪いのよ。はぁー、ったく、なんだって尻ぬぐいばっかりしなきゃならないのかしら」
「申し訳ございません」
入社1年目の私にその仕事は早いと、80%出来上がっていたものをあなたが取り上げてから最終段階で失敗したものですよね?
毎日のように、主原因が上司のことで嫌味を言われ続けた。女性だったから、暴力やセクハラはなかったけれど、彼女の言葉を聞くことが、会社に行くことが嫌でたまらない。
一緒に頑張ろうねと、笑い励ましあった同僚たちはさっさとやめてしまっている。残っている先輩たちは、社長の身内である彼女から、新人の私を庇うはずがない。それどころか、自分に矛先を向けられるのが嫌だから、あえて私を盾にしているのがわかった。
「ちょっと、清玖。あなた後頭部にハゲが出来てるわよ」
2年目になり、最低評価のボーナスと言う名の寸志を貰った頃、母が突然叫んだ。母から話を持ち掛けられ、心配かけたらだめだと、それまで自分の中に閉じ込めていた気持ちを吐き出す。
「お母さんもお父さんもフルタイムで働いているから、手がかからないからといって清玖のことを気にかけなさすぎたわ。ごめんね。で、具体的には、どんなことが嫌だったの?」
私が告白したことは、昭和の職場を生き抜きたくましくなった母には、ほんの些細なことだった。
「そのくらいのこと、いちいち気にしていたらやっていけないわよ? お母さんが新人の頃は、しょっぱなの質問に答えられなかったら、なにしにきた帰れってどなられたものよ? お父さんの職場だって、あほぼけかすまぬけーって怒号が飛び交うようなところだったし。今は、その当時に比べたら、大分改善されて働きやすくなったと思うんだけど。友達とわいわいはしゃいで飲み会とか旅行とか、ストレス発散を、あー……あなたはしないわね」
ストレス発散の方法なんて、あまりない。私含めて、手にスキルを持たずに就職した友達みんな、生きていくだけでかつかつの給料しかもらっていないから、気軽に歯医者にだって行けない。ましてや、旅行や飲みにいくなんてもってのほか。
せいぜい、オープンワールドRPGで一緒にゲームキャラで遊んで会話するくらいだし、せっかくの楽しい時間に愚痴なんていいたくない。皆頑張っているんだからと、学生時代からの友人にも、本当につらいことを打ち明けることはなかった。
その些細な小さなことが、塵のように徐々に心につもり、吐き出しても胸の中の泉は淀んでしまうのだ。
母は、もっとひどい状況でも耐え抜けたのだろう。私には、母にとって1/10以下のことが、どうしても無理である。こんな私の悩みなんて甘えからくる、バカバカしいものだと理解してくれそうにないと思い口をつぐむ。
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