【完結R18】おまけ召還された不用品の私には、嫌われ者の夫たちがいます

にじくす まさしよ

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1 今日は家族とレストラン

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カタナおにーちゃーん! はやく、はやく!」
華蓮カレン、ひっぱるなって。慌てなくても大丈夫だろ?」
「だって~!」

 再婚同士の義父と母はすでにエレベーターの前で並んで待っている。私はウキウキした気分で、義兄の手をぐいぐいひっぱって両親の元に向かっていた。


※※※※


 両親は大のバイク好き。ツーリングで知り合ったらしい。お互いにパートナーを亡くしていた二人は、意気投合して、私が10才の時に再婚した。
 私が産まれる前には父が亡くなっていたから、ずっと寂しくて、カッコよくて優しい義父にすぐに懐いた。そして、頼もしくてとってもカッコいい5つ年上の義兄が出来たのである。

 お互い、両親がバイク由来の名前を付けたせいで、からかわれたりしたことがある。私はまだ読めるしそこそこ受け入れてもらえたのだけど、義兄は一時期は改名を真剣に考えたそうだ。どうやら、亡くなったお母さんもバイクが好きで、この名前にしたらしい。形見のようなその名前が重苦しくて、いつもからかわれるのが嫌でたまらないと聞いたのは、一緒に住むようになって暫くしてからだ。

 でも、私が出会って間もない頃に

『えへへ。バイクのお名前かっこいい! あのね、私はカレンっていうの。NX50っていう可愛いバイクなんだって。お兄ちゃんはカタナでしょう? お揃いね!』

って、無邪気に笑ってそう言ったから名前にこだわっているのが馬鹿馬鹿しく感じて、結局改名せずに過ごしている。
 勿論私たちもバイクが好きだ。だから、免許が取れたらまずは自分の名前のバイクを買う予定。でも、危険も多いから10代の内はダメだって言われている。18才が成人になったっていうのにつまんない。早く20才になりたいなあ。
  義兄はカタナじゃなくてCBR1000RRファイヤーブレードという真っ赤なバイクに乗って……はいない。いつか乗りたいと憧れていて、実際はSV650  ABS。

『カレンにはまだ早い。俺の後ろで我慢しとけ』

  私がまだバイクの許可がおりなくて、ぶぅって頬を膨らませて文句いうと、もう少しでふたり乗りの免許が取れるから私とタンデムツーリングしてくれるって約束してくれた。
  私が150センチしかないから、背の低い私でも乗りやすいバイクにしてくれたの。

『ホントに?  約束だよ?  絶対、ぜーったいだよ?』
『わかった、わかったから。ほら、プリンやるから機嫌直せ』

  コンビニで買ってきてくれたプリンをふたりで食べながら、最初はどこに行こうかなんてはしゃいで話した。
  とっても楽しみで、義兄のふたり乗りの免許取得が待ち遠しい。

※※※※

 今日は、私が難関の高校に合格したから滅多にこない高級レストランにやって来た。テレビでも何度も取り上げられていて、落ち着いた大人たちがデートにも使うような5つ星レストランらしい。

 義父の会社の上司が予約していたみたいなんだけど、急用で来れなくなり私の高校受験の合格祝いにって代わりに来させてもらえる事になったようだ。
 キャンセル料全額だし目出度いから無料でいいって言ってくれた太っ腹な人。義父の会社のBBQで会った事のあるその上司は、恰幅が良くて明るい感じのおじさんだった。後日きちんとお礼を言いに行こうって思ってる。

 楽しい一家団欒のひと時。一番賑やかなのは私たち──というより私だけのようだ。はしゃぎすぎた事に気付いて恥ずかしくなり口を閉じた。そんな私を見下ろして笑っている義兄と一緒に大人しく両親と合流する。

 綺麗で、ライトもなんだか高級そうな広いエレベーターの中には、私たち4人と、お金持ちっぽい3人家族がいた。なんというかとても綺麗な親子で、私の合格した高校の制服を女の子が着ていた。なんだか嬉しくなってじろじろ見てしまう。

「……? なにか?」

 声もとっても綺麗でうっとりしてぼうっとなる。私はまさか声を掛けられるなんて思わなかったから、小さな声ですみませんっていうのが精一杯だった。

 すると、バツが悪くなって委縮した私の肩に義兄が手を置いた。

「妹が不躾に見てしまいすみません。その制服……あなたの通う高校の受験に合格したのでつい見てしまったようです」
「まぁ、本当に? それはおめでとうございます。じゃあ、春から私の後輩なのね?」

 叱られたり眉を顰められ嫌がられるかと思ったけれど、そんな事はなかった。春から先輩になるその人は、にっこり微笑んで「よろしくね」って握手をしてくれて嬉しくて幸せな気持ちになる。

 そして、沈黙するのもおかしく感じてしまって、義兄と先輩と一緒に他愛のない話をしていると、エレベーターが突然ガタンって音と振動を生じさせた。
 体のバランスがおかしくなり、義兄に抱き着くと、しっかり受け止めてくれる。ホッとして、目を恐る恐る開けると、幸い電気は無事なようだった。

「皆、大丈夫か?」

 義父が皆の安否を確認すると、誰も倒れたりせず無事だと頷き合う。先輩のお父さんが、全ての階のボタンを急いで光らせた後、緊急ボタンを押した。

 今は大分上階に来ている。このまま何かがあれば助からないだろう。でも、最近のエレベーターはしっかりしているし、きっと大丈夫。そう思ってはいても怖くて足が震えて義兄にしがみ付いたのであった。

 






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