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29 18才の誕生日には、氷上の幻想的な虹色の光の中でウエディングドレスを
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「え? カタナお義兄ちゃんがこの世界にいるんですか?」
パーシィ様から新たな神託の内容を聞いた時、私はすぐにでもカタナを探しに行きたかった。パーシィ様につめよって、居場所を教えて欲しいって必死にお願いをしたのである。
「本来ならば、エレベーターという箱は落下して全員助からなかった。窮地のふたりだけでも助けるために魔方陣を長年をかけて作ったのだ。不安材料はあったものの、あの時の召喚魔法は成功したといえる。だが、カレンとビィノ以外の第三者がカレンに触れたため、様々なことが変化したらしい」
「でも、その変化のお陰でエレベーターは落ちなかったんですよね? 神託ではそうだったのですよね? 両親たちは無事なんですよね?」
「ああ、それは神が私に伝えてこられた。神は、人にとってどれほど無情な内容であっても正確に神託として授けてくださるからな。だが、その第三者は、この世界に巻き込まれる形で召喚される時に肉体が消滅したそうだ。その人の強い想いに応えられた神が、せめてその記憶と意思を転生という形でこの世界の理の中にはめ込んでくださったらしい。この国の誰かの中で、今もその人物は記憶の欠片としてだが生きているそうだ」
「カタナおにいちゃん……あの、せめて、どこのどなたの中にいるのか、わからないのでしょうか?」
「……残念ながら、外見はこの世界の人物であるし、そのカタナという人物の記憶の欠片が、誰の中に入ったのかまでは……すまない……」
「そう、ですか……」
私は、カタナに会えなくて気落ちした。一緒に聞いていてくれたゼクスがそっと抱きしめてくれたから、あったかい胸に縋り付くように抱き着く。
「……本当なら、何もかもが無くなっていたんですよね……。記憶の欠片でもいいから、別の人としてでもいいから会いたかったけど……でも、この世界で生きていてくれるんなら……。幸せなら、いいです」
「神は時に無情だが、慈悲深い存在だ。きっと、カタナとやらは、最後に願った事を叶えつつその人物の中で安らかに眠っているだろう」
「はい……」
ソレ以来、私は通りすがりの人で、カタナに似た男性を見る度振り返った。そんな、簡単に見つかるのなら、とっくに強い力を持つパーシィ様たちが見つけてくれているだろう。
神殿は、傷ついた私のために、ひょっとしたら神の痕跡があるかもしれないからって、雲をつかむような可能性の中、カタナを探し続けてくれている。
そして──
私は18才になった。
今日は結婚式だ。
第一夫であるゼクスが私の手を引き、いつも遊んでいる湖畔の氷の上を、お姫様抱っこで氷で作った祭壇の前まで移動してくれた。勿論ペンギンの姿ではない。
ゼクスとシビルの母方の親戚は、まさかふたりが結婚できるとは思っていなかったようで、沢山の人たちがお祝いに訪れてくれていた。
コウテイ国のペンギンたちは、ゼクスくらい大きくて、皆1メートルよりちょっとあるかも。でっぷりして、短い足でヨチヨチあるいたり、羽をパタパタさせて氷の上をお腹で滑ったりしている。
アデリー国のペンギンたちは、50センチちょっとくらいかな? コウテイペンギンの半分くらいの体を、素早く動かして、機敏にコウテイペンギンたちのお遊戯の間をすり抜けている。
そして、ゼファーの親族は、氷を見るだけで震えあがってしまっていた。近寄るなんてとんでもないと言わんばかりに、湖の周囲の土からこちらを見ている。
実は、ケープペンギンたちには、右の羽の根元に、ニンスールが高値で売りつけたらしい温度をコントロールするアイテムがつけられている。だから、氷の冷たさが、彼らにとって最適温度になるように設定されている。
勇気を出して、右足を氷の上にそ~~~~っと乗せようとしては引っ込めるペンギンもいたけれど、やっぱり戻っていた。
ケープペンギンたちは、気温の低さや冷たさに、虚弱になるほど弱いというわけでもない。限度はあるけれど、ゼクスの館くらいの温度なら、一部のケープペンギンたちのように短時間なら過ごせるし、風邪なんかも引かない。
ようするに、食わず嫌いみたいなものもあるから、こんな風に隔たりを感じるのだろう。
「ぴー! ぷあーん!」
最前列に立っていた、シビルのお父様が一声甲高く鳴いた。すると、ぴょんって氷の上に立ってくれたのだ。
「ぴ? ぴぴぃ! ぴぅ! ぴー⁈ ぷあー!」
公爵様、大丈夫ですか? なんという事だ。公爵様だけを前に行かせるわけには……。くっ、俺たちも行くぞー!
こんな言葉を叫んだ、お義父様の親戚たちが次々氷の上に飛び乗ったのである。
「ぷあ、ぷあー! ぴぴ! ぴぃー!」
公爵閣下だけにいい所を見せるわけにはいかん! ゼファーのためだ。皆、覚悟はいいか? 飛び込め―っ!
こんな風に言った、ゼファーのお父様がたの掛け声とともに残りのケープペンギンも氷の上に来てくれた。
最初は、恐々と冷たーいっていう恐怖のために震えていた彼らも、あれ? 案外冷たくないんじゃね? って感じになって、チビッコペンギンたち筆頭に、コウテイペンギンたちと共に遊び出したのである。
そんな賑やかな氷上の中央に、私は連れて来られた。
そして、そこにいたシビルとゼファーの前でゼクスが止まると、そっとスケート靴を履いた私を降ろしてくれる。
「「「カレン」」」
3人が、私に向かって誰よりも優しい瞳で名前を呼んでくれる。私たちは円陣を組んで、4人で手を交互に乗せ合った。
すると、式が始まる事に気付いた招待客や親戚たちが、小さな円陣を組んだ私たちの周りをぐるりと囲む。
パーシィ様が、天に祈りながら、私たちの結婚を神に報告すると、天から光の柱が一直線に降りてきた。その光の柱に、私たち全員が囲まれる。
私と、すぐ側にいる先輩の体が、その光の中キラキラと輝く虹色を纏い出した。
私の純白のウェディングドレスが、まるで虹色のプリズムで出来ているかのように綺麗だ。先輩の着ているオフホワイトのドレスも同じように輝いていてとても美しくまるで妖精みたい。
「カレン、ビィノ。この世界に来てくれてありがとう。この光は幸せに過ごすようにとの神のご意思だ。神の祝福をふたりに……カレン、結婚おめでとう」
パーシィ様がそう言うと、氷の湖の上で一際大きくペンギンたちの鳴き声があがった。
なんて言っているのかなんて、鳴き声がわからなくても、そんなの決まっている。
──結婚、おめでとう! お幸せに!──
どこまでも続くかと思われた賑やかな音楽にも似た鳴き声がおさまった。
私たちは、ゼクスの挨拶が終わると、氷上を後にして私たちの家へと帰っていったのであった。
次回は初夜(R18)になります。先ずは誰からか。お楽しみくださいませ。
パーシィ様から新たな神託の内容を聞いた時、私はすぐにでもカタナを探しに行きたかった。パーシィ様につめよって、居場所を教えて欲しいって必死にお願いをしたのである。
「本来ならば、エレベーターという箱は落下して全員助からなかった。窮地のふたりだけでも助けるために魔方陣を長年をかけて作ったのだ。不安材料はあったものの、あの時の召喚魔法は成功したといえる。だが、カレンとビィノ以外の第三者がカレンに触れたため、様々なことが変化したらしい」
「でも、その変化のお陰でエレベーターは落ちなかったんですよね? 神託ではそうだったのですよね? 両親たちは無事なんですよね?」
「ああ、それは神が私に伝えてこられた。神は、人にとってどれほど無情な内容であっても正確に神託として授けてくださるからな。だが、その第三者は、この世界に巻き込まれる形で召喚される時に肉体が消滅したそうだ。その人の強い想いに応えられた神が、せめてその記憶と意思を転生という形でこの世界の理の中にはめ込んでくださったらしい。この国の誰かの中で、今もその人物は記憶の欠片としてだが生きているそうだ」
「カタナおにいちゃん……あの、せめて、どこのどなたの中にいるのか、わからないのでしょうか?」
「……残念ながら、外見はこの世界の人物であるし、そのカタナという人物の記憶の欠片が、誰の中に入ったのかまでは……すまない……」
「そう、ですか……」
私は、カタナに会えなくて気落ちした。一緒に聞いていてくれたゼクスがそっと抱きしめてくれたから、あったかい胸に縋り付くように抱き着く。
「……本当なら、何もかもが無くなっていたんですよね……。記憶の欠片でもいいから、別の人としてでもいいから会いたかったけど……でも、この世界で生きていてくれるんなら……。幸せなら、いいです」
「神は時に無情だが、慈悲深い存在だ。きっと、カタナとやらは、最後に願った事を叶えつつその人物の中で安らかに眠っているだろう」
「はい……」
ソレ以来、私は通りすがりの人で、カタナに似た男性を見る度振り返った。そんな、簡単に見つかるのなら、とっくに強い力を持つパーシィ様たちが見つけてくれているだろう。
神殿は、傷ついた私のために、ひょっとしたら神の痕跡があるかもしれないからって、雲をつかむような可能性の中、カタナを探し続けてくれている。
そして──
私は18才になった。
今日は結婚式だ。
第一夫であるゼクスが私の手を引き、いつも遊んでいる湖畔の氷の上を、お姫様抱っこで氷で作った祭壇の前まで移動してくれた。勿論ペンギンの姿ではない。
ゼクスとシビルの母方の親戚は、まさかふたりが結婚できるとは思っていなかったようで、沢山の人たちがお祝いに訪れてくれていた。
コウテイ国のペンギンたちは、ゼクスくらい大きくて、皆1メートルよりちょっとあるかも。でっぷりして、短い足でヨチヨチあるいたり、羽をパタパタさせて氷の上をお腹で滑ったりしている。
アデリー国のペンギンたちは、50センチちょっとくらいかな? コウテイペンギンの半分くらいの体を、素早く動かして、機敏にコウテイペンギンたちのお遊戯の間をすり抜けている。
そして、ゼファーの親族は、氷を見るだけで震えあがってしまっていた。近寄るなんてとんでもないと言わんばかりに、湖の周囲の土からこちらを見ている。
実は、ケープペンギンたちには、右の羽の根元に、ニンスールが高値で売りつけたらしい温度をコントロールするアイテムがつけられている。だから、氷の冷たさが、彼らにとって最適温度になるように設定されている。
勇気を出して、右足を氷の上にそ~~~~っと乗せようとしては引っ込めるペンギンもいたけれど、やっぱり戻っていた。
ケープペンギンたちは、気温の低さや冷たさに、虚弱になるほど弱いというわけでもない。限度はあるけれど、ゼクスの館くらいの温度なら、一部のケープペンギンたちのように短時間なら過ごせるし、風邪なんかも引かない。
ようするに、食わず嫌いみたいなものもあるから、こんな風に隔たりを感じるのだろう。
「ぴー! ぷあーん!」
最前列に立っていた、シビルのお父様が一声甲高く鳴いた。すると、ぴょんって氷の上に立ってくれたのだ。
「ぴ? ぴぴぃ! ぴぅ! ぴー⁈ ぷあー!」
公爵様、大丈夫ですか? なんという事だ。公爵様だけを前に行かせるわけには……。くっ、俺たちも行くぞー!
こんな言葉を叫んだ、お義父様の親戚たちが次々氷の上に飛び乗ったのである。
「ぷあ、ぷあー! ぴぴ! ぴぃー!」
公爵閣下だけにいい所を見せるわけにはいかん! ゼファーのためだ。皆、覚悟はいいか? 飛び込め―っ!
こんな風に言った、ゼファーのお父様がたの掛け声とともに残りのケープペンギンも氷の上に来てくれた。
最初は、恐々と冷たーいっていう恐怖のために震えていた彼らも、あれ? 案外冷たくないんじゃね? って感じになって、チビッコペンギンたち筆頭に、コウテイペンギンたちと共に遊び出したのである。
そんな賑やかな氷上の中央に、私は連れて来られた。
そして、そこにいたシビルとゼファーの前でゼクスが止まると、そっとスケート靴を履いた私を降ろしてくれる。
「「「カレン」」」
3人が、私に向かって誰よりも優しい瞳で名前を呼んでくれる。私たちは円陣を組んで、4人で手を交互に乗せ合った。
すると、式が始まる事に気付いた招待客や親戚たちが、小さな円陣を組んだ私たちの周りをぐるりと囲む。
パーシィ様が、天に祈りながら、私たちの結婚を神に報告すると、天から光の柱が一直線に降りてきた。その光の柱に、私たち全員が囲まれる。
私と、すぐ側にいる先輩の体が、その光の中キラキラと輝く虹色を纏い出した。
私の純白のウェディングドレスが、まるで虹色のプリズムで出来ているかのように綺麗だ。先輩の着ているオフホワイトのドレスも同じように輝いていてとても美しくまるで妖精みたい。
「カレン、ビィノ。この世界に来てくれてありがとう。この光は幸せに過ごすようにとの神のご意思だ。神の祝福をふたりに……カレン、結婚おめでとう」
パーシィ様がそう言うと、氷の湖の上で一際大きくペンギンたちの鳴き声があがった。
なんて言っているのかなんて、鳴き声がわからなくても、そんなの決まっている。
──結婚、おめでとう! お幸せに!──
どこまでも続くかと思われた賑やかな音楽にも似た鳴き声がおさまった。
私たちは、ゼクスの挨拶が終わると、氷上を後にして私たちの家へと帰っていったのであった。
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