転生したら母乳チートになりました

むふ

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7.お墓参り

お墓参り1/4

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 いつの間にかアドラとアケロが寝返りをうったと思ったらハイハイを始めた。
 こんなに早いはずはないと思いながら、自分の感覚があっているのかもわからずオル婆にベビースペースを作ってもらった。


「オル婆。成長スピード早くない?こんなもの?」


 ――現世では、あまり成長が早いと何か疾患とかあるとか無いとか確か言ったような……。


 子育ては初めての上に正解がない。
 悩み出したらとことん悩んでしまうし、ドツボにハマってしまう。スマホも無いから調べようも無いし、あったとしても同じくドツボにはまっていたことだと思う。

 部屋の一角に敷かれたラグの上におもちゃを置いておくとアドラもアケロも上手に遊んでいる。
 リビングの半分をそのラグが占めていて、机をずらしたら一気に部屋が狭く感じてしまう。
 ベビーガード的な物は前使っていたが、どこにしまったか忘れて絶賛探し中。基本的には物置小屋か空き部屋だそうだが、いかんせん何年も前だから処分したかも知れないとのことだった。


「こんなもん……んー……んや、早い」

 条件反射的に答えたようだが、しばし考えての答えだった。早いとの言葉にドキッとして、何か体に不自由が出るかも知れないとネガティブな思考に一気に囚われてしまう。


「どうしよう……。何か先々に対策できないかな……」
「成長に合わせていくしかないだろう。成長が良いのは、おまえさんのおっぱいが良いからだろうと思うよ。ずいぶんとまぁ、出るからねぇ」
「え、そんなものなの?何か体に不自由が出たりとか、病気が隠れてたりとか……こんなに赤ちゃんの成長って普通早くないでしょ?」
「内部の事は分からないさね。ただ、今の感じだと元気に見えるけども。なにがそんなに不安なんだい?」


 優しくオル婆に聞かれてはっとした。
 自分が知っている知識と、こっちの常識や知識は違う事が多いことを失念していた。なんでも思い込みは良くない。どんな事でも自分の知識や考えを言葉にしないと伝わらなかった。


「えっと……私の知識っていうか、現世では寝返りしたらずり這いっていって上体を起こさないでずりずり手と足使ってハイハイにいくまで時間がかかると思っていたのね。でも、寝返りしたと思ったら、何だかいつの間にかハイハイ初めてるし。ヨロヨロだけど。こんな数日でここまでいきなり成長するって異常に思ってしまって……。あんまり成長が早いと、脳に異常があったり、体の成長が追いついてないから大きくなってきたら体に影響が出たりとかっていう心配をしてます……」
「なんでいきなりかしこまったんだい」


 ケラケラ笑うオル婆に、なんだか不安になっているのがおかしいことの様に思えてきて少し憤りを感じてしまった。


「笑って悪かったよ」
「……いえ」
「前の所ではもっとゆっくりで、早いと何か病気が隠れてる可能性があるって訳だね。……結論から言うと、私が過去育てた子たちよりはずいぶん早い。そして、聞いている感じだと、元のいたところよりもこっちの子の成長は早いと思うね」


 オル婆の見解は、成長が早い順にアドラとアケロ、こちらの世界で普通に育つ子、オル婆が育てた子、元いた世界。
 元々こちらの世界は弱肉強食で、命の危険が多いから自分を早く守れる様にする為に成長が早いのではないか。そして、アドラとアケロについては、私の母乳の栄養が良いのか量が多いのかはわからないが母乳のせいだろう。オル婆が育てた子は、こちらの世界で通常育てられる子に比べて、母乳を飲まずに別の物に代用している事と森に長時間いた事での体のダメージがあるからではないかと言う事であった。



「おっぱいが私は出ないからね。前綾香が言っていたミルクなんて便利な物は街にいる子に聞いてみたけどね、今でもなくてね。食べ物茹でた出汁とか獣の乳とか色々試したよ。……どれも上手くはなかなかいかなくてね。生き延びられた子は何十年生きてきて何百人中の5人だ」
「…………そっか」
「この前も言ったっけかね?母乳を買うこともできるんだけど、えらい高くてねぇ、手が出ないうえに金持ちのやつらに買い占められてしまうんだよ。それに偽物も多くてね。信用できる所からしか買えないからなおのこと少ないんだよ」


 以前も確か言われた気がする。
 母乳は高く売れるから胸が張ったら取っておく様にと。詳しく話を聞くと、高く売れるから偽物が多い。商人も信用するところからしか買わないか、偽物の可能性もあるから初めての人からは本来の価格よりぐっと金額を落として買うらしい。ただ偽物だったとしても売れることには変わらないから無くならない。商人も売るときに偽物だとしても価格を落とせば母乳と名のつく物は売れるから買う。売ってくる人や団体と専属契約する商人もいるとか。それに伴って不要な妊娠をする人もいるとかで、なかなか闇が深い。


 オル婆は小さくため息をついて、ベビーコーナーで寝ているアドラとアケロを見て笑った。
 アドラとアケロが起きたら今日はお墓参りに行く。そしてオル婆の知り合いが街から日用品などなどを持ってやってきてくれるそうだ。


 ――待ちに待ったこの日を。



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