転生したら母乳チートになりました

むふ

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7.お墓参り

お墓参り2/4

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 アドラとアケロの授乳が終わるころ、聞き慣れない家の扉をノックする音が響いた。

 キッチンで作業していたオル婆が来たねと言っているので、街にいる知り合いが来てくれた事はすぐわかった。
 オル婆は作業していた手を止めて扉の前に立つが、扉を開けようとはしない。
 不思議な光景にポカンと見つめるしかなかったが、外から何だかボソボソ聞こえる。そのボソボソ聞こえた声が静かになると、オル婆がやっと扉を開けた。


「よく来たね」
「おう!ばーちゃん待たせたな」
「誰がばーちゃんだ!遅いんだよ!何日待たせんだい!」
「いや!だってばーちゃん、今回内容と量がおかしいから!こっちは調達するのも配達するのも毎回ヒヤヒヤなんだから仕方ねーじゃん。特殊なやつはアルティマに言ってくれよ……。下着って俺に頼んだ事ねーじゃん……。ばーちゃん何で色気付き始めたんだよ……何だか恐ろしいよ」
「アルティマが今孕ってるの知ってんだろ!頼めるか!それにあれは私のじゃないよ!」
「はー?…………………………ぁ」


 入り口から顔を出したのはガタイの良い茶髪で短髪の男性。オル婆より顔2つ分くらい大きくて、190センチくらいはありそう。深い緑のジャケットに濃い茶色のパンツ。黒のブーツを履いて、腰に剣をさしている。漫画でよく見た冒険者のような格好だった。
 オル婆と言い争いというか、喧嘩というには可愛い言い争い。半分笑いながら話す姿にいつもこう言った感じなのだろうと容易に想像がつく。
 そんな大柄な彼と目が合って、一気に気まずくなる。


 ――その下着……たぶん私の……。


「えー……っと、誰」
「綾香だよ。拾った」
「……………………え?拾ったって、こんな大きな人?育てたの?……いや、買い物の内容が確かに変だとは思ったけど……おい!ばーさん!」
「えーーーい。うるさいね。さっさと良いからはいんな。説明は後だよ!運び込むもん運んだから、あそこ行くよ。……綾香、外に出る用意してきな。挨拶は後だよ!」


 私の姿を認知した瞬間に取り乱す彼はオル婆に詰め寄るが、頭を掴まれていなされていた。何だか仲良さげな雰囲気に挨拶する隙もなく、とりあえず部屋に戻って羽織りものと手提げかばんを持ってきた。




 部屋から戻ると既にアドラとアケロも1枚うえに着せられていた。


 ほぼ初めと言って良いくらいの外出に緊張するのと同時に、オル婆のお知り合いの彼から注がれる視線が痛い。


「綾香。この男が私が育てた子のうちの1人だよ。今回はこいつに買い物も任せてね、後で買ってきてもらった
やつを見てみようさね。……ほれ、しゃべっていいよ」

 オル婆の隣で明らかにソワソワしているご様子。
 先に挨拶をしないとと思って、取り急ぎ頭を下げる。


「平松綾香と言います。今回オル婆に拾ってもらって、こちらでお世話になっております」
「…………」
 

 返事が返ってこなくて不安になり、下げていた頭をゆっくり上げた。
 待ての状態であった彼はオル婆に小突かれてはっとしていた。
 そしてすぐさまグッと距離を詰めてきて何故か手を握られる。


「綾香さん。……綾香の方がお名前でしょうか……。私はヒューバート。しがない日用雑貨を作ったり売ったりする商人でございます。こんな恐ろしい魔窟でお会いした女神……。どうか結婚して下さい」
「は?」
「…………え?」


 ガッチリ掴まれた手と、輝く瞳が目の前に迫り体も大きいからか凄い圧である。
 いきなり出会って数分でプロポーズされるなんて誰が予想したことか。オル婆も、私も呆気に取られてしまって固まってしまった。
 困惑している様子を察してか、ヒューバートは更に畳み掛ける。


「一目惚れです。こんなシワクチャのばーさんしかいないと思ったら、可憐で美しい女性が居るではありませんか。そして赤ちゃんを抱く姿は正に神話の中の聖母オルリアーナのごとく母性に溢れ、そして謙虚であられる。庇護欲にかられる。高鳴る胸は今恋を始めたのです。……故に、結婚してくださ」


 パチーンといい音がした。
 オル婆がヒューバートさんのお尻を叩いたのだ。
 驚いて手を離してオル婆に向き直る。


「なんだよばーさん!今一世一代の大事瞬間とき!」
「いきなり合って結婚してくれって言って、はいわかりましたっていうやつなんかいるかい!この前言ってた、キャベツだか、レタースだか言う子はどうしたんだい!」
「あれは仕方がないんだよ!別の人が好きだって言うから、それは応援しないとだろ!運命じゃなかったんだよ!」
「あんたのその惚れっぽい性格どうにかしな!挨拶されただけで俺のこと好きなのかなって何回聞かされるんだい!何人に今までフラれてると思ってんだい!学習しな!」


 短い会話だが、とても惚れっぽく単純な性格のようだ。女性は全て俺が守る精神で、一回お断りされたら潔く引くタイプ。


 ――女性の事は大好きみたいだけど、なんだろ。悪い人ではないだけはわかる。


 ふふふと私が笑うと、またヒューバートさんが笑った顔も素敵ですなんて言うものだからおかしくて仕方なかった。
 アドラとアケロが嫉妬したのか、初めてみる男の人に驚いたのか泣き出してしまって話はここまでになった。


 私がアケロを抱いて、オル婆がアドラを抱いて家を出る。
 中も外もそんなに気温差は無くて、むしろ外の方が暖かいかも知れない。
 ヒューバートさんが私の手提げカバンを持ってくれている。そして一歩前を歩くオル婆の腰を支えてあげている姿になんだか心が温まった。
 ただ、触るんじゃないよ!と何度も言われているあたり仲が良いのか悪いのか、オル婆も照れ隠しなのか、素直じゃないなと思った。





 家から出て数分くらいか、天気が良くて溢れ日が暖かい。時々獣の鳴き声が唸る様な声に私が身をすくませていると、安心させる様に時々声をかけてくれるヒューバートさんとオル婆。とても心強い。
 道も獣道と言っておかしくはなく、アケロを抱いているから余計ゆっくり進む様になってしまった。
 色とりどりの草に変な形の木。きのこなのかもわからない様な、気の根っこのところから生えている物に蝶々のような虫。外の世界に出るとやはりここは異世界なのだと改めて思った。


 外に出ることも無く家にいたのでもう疲れ初めている。
 前を歩く2人は元気そのもので、体力の差を思い知らされる。


「もう少しだから頑張りな」


 オル婆から檄が飛ぶ。
 ヒューバートさんがすかさず私の横にくるが、年頃の若い子に気安く振れるんじゃないよ!とクギをさされてしまい、私に歩幅を合わせてゆっくり歩いてくれた。
 気遣いがとても嬉しい反面、顔に感情が出やすい彼を見ていると飽きなかった。疲れ始めていたのも少し紛れて残りの道も時間がかかったが歩くことができた。


 木々の間から光がさして、開けた丘に出た。
 そこは一面、花畑だった。


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