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ヒューバートの妄想
ヒューバートの妄想1/3
しおりを挟むエルバウ森の外に出て、魔国ヴァルブの第二の都市ヴルーブ。商人、職人が多く集まり、魔国内1番と言っていいほどの商業都市である。
街の1番大きな門を抜けると1番栄えている繁華街がある。そこを囲う様に商会や権力のある人たちが住んでいる。奥に行けば行くほど非合法なアングラなエリアが広がっている。職人や工房などが立ち並んでいるエリアがちょうど真ん中にある。真ん中に丸く集まっているのではなく、丸をちょうど真ん中から一直線に外側に伸びている。中心にいればいるほど大きな工房で、権力者や大きな商団のお抱えが多かった。アングラから最高級まではいかなくとも幅広い物が集まる為、高級品が多く出回る第一の都市よりもより多くの種類の品が手に入るのがこの都市であった。ピンからキリまで、合法から非合法まで怪しい物や偽物何でも揃うと言われている。
ヒューバートの工房は街の端の方にあった。
評判も悪く無い、自分でも商売をするので良く大きなところから声をかけられてはいたが、いかんせん目立ちたく無いというのと大きなところは何かと自由を奪われるので断り続けていた。
3階建ての1階部分には小さなアクセサリーなど雑貨を売るスペース。2階には工房、3階は居住スペース。
そんな一軒家に住んでいるのはヒューバートという男。
茶髪でガタイがよく、気前も良い。腕っぷしも弱く無い彼は、女性には弱い。優しくされるとすぐ惚れてしまう。恋多き彼が最近またフラれた。
そんな時に森のばーちゃんからメッセージ。
家に置いてある小さな転送陣がある。そこには定期的に手紙が届く。送り主はもちろんばーちゃん。この手紙は他の人に見られてしまうとまずいので1回見たら消えてしまう。
メモを用意して用件を写さなければならない。
「はいはい。ばーちゃん今回は何かな」
いつも定期的に買い物を頼まれるので、今回も日用品やらの買い物リストだろう。
ヒューバートは1人暮らしなので、いくら工房を持っていて職人だからと言って一気に大量に買うと怪しまれてしまう。連絡をもらってから数週間をかけてじっくり準備をしていく。
――えっと、薬類、食器類、衣類……?衣類?オル婆の服と、もう少し若い人が着る服?動きやすくてパンツタイプ……。
買い物リストを作りながらいつも買ってきて欲しい物以外の要求に頭にハテナが思い浮かぶ。首を傾げながら続きを読んでいく。
――ハサミと包丁、…………下着…………………………。女性物の下着………………若い子が履くようなやつ……………………。え?
「下着って……いつもアルティマが準備してるんじゃ無いのかよ………………。なんで俺…………ぅ……気持ち悪……」
頭に浮かんだのはピラピラした下着を着たばーちゃん。途端に気持ち悪くなって考えるのをやめたが、いきなり色気付いたばーちゃんが頭から離れなくなってしまった。
――23センチの靴、赤ちゃんの服、おむつ布、服が作れる布と糸、ベビーガード、火おこしの魔石…………。ばーちゃんが孕んだ…………?!!?!いや、また森で赤子拾って育ててるのか?
1番可能性が高い状況を考えるが、どうしても若い女性者の下着を用意する意味がわからない。
――……男を連れ込んだ?!……いや、あの森で成人したやつに会うのはかなり稀だし、見つかったらやばい。……でも、悠長に下着買ってこいって、意気投合した?
ばーちゃんが男を連れ込んでその男との子を孕んだ可能性がある。パンツタイプの細身のズボンや上下の服、そして若い人が履くような下着なんて男がいるとしか思えない。オル婆の心配もあるが、買い物を頼まれているのですぐには行けない。
「これは、早く準備して相手の男の顔を拝まないとだな」
他にも色々頼まれているからそれを集めつつ、もし、森で他の人に真新しい日用品を見られて、怪しまれないようにゴミも集めて送らないといけない。
オル婆が森にいる事を知られてはいけない為だ。
転送魔法は基本、ゴミを森へ転送する転送機関、人を転送するテレポート機関、愛子を送る送還所がある。
一般家庭は決まった日にゴミを送る転送機関に持ち込みをする。
ここの者は何でも森へ還すのだ。
家で個人的にゴミの処分は基本やらず、人を秘密裏に転送したりと犯罪にも使われる為に転送魔法の魔法陣は許可を得て特定の人に書いてもらうか、書いてある紙を買ってくるかしか使用できない。
ただ抜け穴はもちろんあって、ヒューバートの家にとても小さな転送魔法陣がある。これは森から一方的に送るもの専用で30センチくらいのサイズの物しか送れないが、魔力の流入にも気が付かれにくいし、引き出しの中に隠しているから余計見つからない。
オル婆が森で捕まえた獲物や薬草などを送ってもらって、買い物のお金の足しにしている。
いつも買い物リストが届いた後に何かしら珍しい物を送ってきてくれる。この送ってきてもらった物を売りに出すのにも怪しまれないように、森に狩をしに定期的に出かけなければなかない。
本当は結構面倒ではあるが、本来死ぬはずだった自分がばーちゃんに育てられ運良く生き延びた。そのお返しは命を代償にしても安いくらいだと思っている。
「でもよ、ばーちゃん………………結構年齢いってるだろ……パンツって……きついよ」
後日下着屋さんに顔を真っ赤にしながら入るヒューバート。
――もう!なるようになれ!!!
何だか割り切ってしまえば潔くもなるもので、定員さんにおすすめと適当にかわいいなって思った物を数点買って。別のお店にも入って追加で買った。
サイズを聞かれて、よくわからないので紙を渡して見繕ってもらった。
――ばーちゃんこんな窮屈なの着れんのか?
買い物リストには入っていなかったが、ノンワイヤーと書かれているものとナイト用の比較的ゆったりしたサイズの物も買った。
これの判断が実はファインプレーであり、綾香から物凄く感謝されることをまだ知らない――。
買った下着を見て、またばーちゃんの下着姿を思い出しては食欲が失せる日が続いた。
自分は職人でもあるから布や木材を仕入れることについては怪しまれることはない。
ただ、この下着を買ったことが仲間内にバレて、いじり倒されるわ、理由を根掘り葉掘り聞かれてとても大変だった。
カモフラージュで下着に合う装飾品を作って欲しいというオーダーがあったと苦し紛れに言い訳をして、店頭にも本当に新しいシリーズのネックレスを置く羽目になった。
色々な柄の布や、肌触りの良い生地、糸、ついでに針を多めに買う。
革はリストになかったが、ヒューバートがばーちゃんの為に手作りする為に買った。
日頃から多めに材料は仕入れていて、こういった時に変に目立たないようにする工夫が大事である。
ただ、家は物置小屋のごとく物で溢れていて、寝室以外は歩くスペースでギリギリであった。
――あれ、家に呼んで女の子にひかれるのってこういうのもあるのか?
今更家の状態もフラれる原因の一つなのかも知れないと思うヒューバートであった。
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