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新しい出会い
新しい出会い1/4
しおりを挟むヒューバートが訪問してから数ヶ月。
相変わらず外は暑く、夕方になっても暑さが体に堪えた。
水桶を張って、いつの間にか歩き出して言葉もしっかり話せるくらいまで育ったアケロとアドラ。
元の世界で4歳くらいだろうか。
ここまで早く育つなんて誰が想像しただろう。流石のオル婆もこれは早すぎると驚いていた。
ベビーベッドはすぐさま角に追いやられている。
アケロもアドラも流暢に喋り、ごっこ遊びや本を読んで日々目まぐるしく変わる2人に毎日何か驚かされていた。
私は相変わらず読み書きを練習していて、そろそろ2人に追い越されてしまいそう。
「綾香!外に行こう!」
アドラとアケロはもうやんちゃ盛り。
この前初めて、怒ったアドラが魔法をつかって家の中が大変なことになった。オル婆と魔法の訓練も始まって、外に出ることも多くなっていた。
――魔法と言えば、保護魔法変えてもらって無い。
「オル婆!そう言えば私保護魔法かけてもらっていないような?」
家のすぐ隣で野菜に水をあげているオル婆が、そう言えばと顔を上げた。
「あぁ、あれね、やめた」
「やめた?」
「なんで?僕もかけてほしい!」
アドラとアケロが保護魔法とは何かの説明から始まり、この人の庇護下にありますよという魔法だった。
護られているという目印になるため、そりゃかけて欲しいだろう。案の定駄々を捏ね始めてしまった。
「なんでダメかってね、私が街のやつらから追われているからだよ。なんなら既に死んだものとも思われていてもおかしくなくてね。そんなやつが庇護してるってなったらここにいるのも危なくなるんだよ。それを忘れていてね」
そんなこんなでアドラはなんでとなかなか納得しなかったが、アケロは静かに聞いてた、
――そう言えばそうだよね。アドレスみたいなものだって前思ってたから、そこに名前があるのはなんでってなるよね……。
オル婆と魔力とは何だの話から風を起こしてみたり、重いものを浮かせてみたりと畑仕事を手伝う2人を横目に私は庭先の掃除と植物図鑑を見ながらハーブを摘んでいた。
「アドラとアケロを連れて川近くまで行ってくるから、中に居るんだよ」
そう言って天気がいい時はオル婆は2人を連れて家の周りを散策してくる。食べられるものを見つけに行ったり、罠を見に行ったり、魔法の練習と称して散歩に出たり色々理由を付けて良く連れ出してくれていた。オル婆は言わないが、愛子が居ないか見に行くのが1番の目的なんだろうと思う。2人が乳離れしてから綾香の母乳の行き場が無くなった。保存容器に入れてもほぼ無尽蔵にでる事がわかった母乳は行き場を無くしてしまった。
心明のお参りの際にお供えとして置いてくる事が多くなった。行くたびに綺麗に無くなっているので、もしかしたら森の獣が飲んでいるかも知れない。
周りの植物達も気のせいがすくすく育っているし、虫が湧いたらどうしようとか最初考えていたが杞憂であった。
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